労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エクソンモービル(早期退職支援制度) 
事件番号  中労委平成17年(不再)第9号 
再審査申立人  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合 
再審査被申立人  エクソンモービル有限会社 
命令年月日  平成22年11月4日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   会社は、①組合が「早期退職/セカンド・キャリア支援制度」(以下、「本件早期退職支援制度」という。)の導入に反対している中で、同制度に応募したXら組合員の早期退職を承認し、同人らを退職させたこと、②これに伴い、同人らに組合からの脱退を表明させたこと、③組合の了解なく、同人らのチェック・オフを停止したことが支配介入の不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、いずれも不当労働行為に当たらないとして、組合の救済申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合が本件早期退職支援制度の導入に同意していない中で、会社が同制度に応募したXら組合員の早期退職届を受理し、同人らを退職させたことが組合に対する支配介入に当たるか。
 ①会社の管理職がXら組合員個人に対して本人の意思確認等の面談(カウンセリング)を行っているが、会社と組合間で本件早期退職支援制度等について団交が行われていた間に、会社が面談により同人らに早期退職を誘導したり、組合からの脱退を勧奨したりしたことを認めるに足りる的確な証拠もないこと、また、②会社が労使合意のない中で、管理職が同人らの早期退職届を受け取った際に、引継ぎ書の作成を求め、その作成について有給休暇の不足を休日出勤に振り替えさせるなどして、同人らの退職手続を進めているが、会社がこのような措置をとったとしても不自然ないし不適切な対応とみることはできず、会社がこれらの措置によって、同人らが退職しやすくなるよう、手引や隠蔽を行ったと評価することはできないことなどから、支配介入の不当労働行為に当たるとはいえない。
2 上記1に伴い、会社がXらに組合からの脱退表明をさせたと認められるか。認められるとすると、それが組合に対する支配介入に当たるか。
 当時Xら組合員と他の組合員間で、組合の指令書や社内研修等への出席をめぐってトラブルとなり、もみ合いに至ることがあったこと、また、同人らは早期退職届を会社に提出し、同時期に組合脱退届を組合に郵送しているが、その際上記1のとおり会社が同人らに早期退職を誘導したり、組合からの脱退を勧奨したり強要したとは認められないこと等の事情からすれば、同人らは自らの意思で、徐々に組合と距離を置き、上記トラブルに至って明確に組合活動を否定する言動をなすように至った経過を経て、組合へ脱退届を提出したものとみるのが相当であるから、そのことに会社による支配介入に当たる行為が介在したとは認められない。
3 会社が、組合の了解なく、Xら組合員のチェック・オフを停止したことが、組合に対する支配介入に当たるか。
 組合はXら組合員の脱退を承認していないが、組合員には労働組合からの脱退の自由があることから、組合員の脱退は脱退届の組合への到達をもって成立するというべきで、同人らが組合脱退届を組合に提出したことにより、同人らは組合を脱退していたのであり、会社が同人らのチェック・オフ停止依頼に基づき、同人らのチェック・オフの停止を組合に通知した上で、同人らの脱退後の期間のチェック・オフを停止したとしても、そのことをもって会社の支配介入に当たるとは認められい。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成13年(不)第12号 棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 平成17年 2月10日
東京地裁平成22年(行ウ)第748号 却下・棄却 平成24年7月19日
東京高裁平成24年(行コ)第323号 棄却 平成24年11月29日
 
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