概要情報
事件名 |
第二鳩タクシー |
事件番号 |
東京地労委昭和38年(不)第25号・第45号
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申立人 |
東京自動車交通労働組合
個人6名 |
被申立人 |
第二鳩タクシー株式会社 |
命令年月日 |
昭和39年 2月26日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
1 会社が、人員過剰等を理由に、組合役員ら6名を解雇したことが、不当労働行為に当たるとして、東京地労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審東京地労委は、原職復帰、バックペイを命じたが、バックペイから中間収入の控除を認めなかった。 |
命令主文 |
被申立人会社は、申立人6名を原職に復帰させ、同人らが解雇された日から原職に復帰するまでの間に受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。 |
判定の要旨 |
1 X1、X2、X3の解雇(第1次解雇)
(1) 会社がX1の解雇理由として挙げる「業務命令違反」とは顛末書を会社の指示するとおり書き直さなかったことをいうのであるが、そのことがただちに解雇に値するかどうか疑問であり、しかも帰庫時間がおくれたことについて顛末書を提出させた前例もない。
会社はX1が東京自動車交通労働組合(以下「東自交」という。)に加盟していることを知っていたと認められること、(昭和38年)4月2日の臨時大会でX1が組合存続を強く主張した直後に解雇されていることなどに徴すれば、会社はX1の組合活動を嫌って同人を排除したものと認めるのが相当である。
また会社は、X1はすでに解雇を承認しているというが、X1は会社から退職届を書けといわれたのを断わり、「解雇届」という書面を提出しているのであって解雇を承認したものとはいえない。 (2) X2、X3の解雇理由は「人員過剰」であるが、会社は「運転手さん募集」の看板が取り付けられたままであるし、現に(昭和38年)4月下旬から5月上旬にかけて数回新聞紙上に運転手募集の広告をのせているほどであるからこの解雇理由は肯首できず、この両名が組合存続を一貫して主張していたこと、Y1所長代理の「東自交と手を切れ」との勧告に従わず東自交分会員として活動を続けたことが解雇の原因と認められる。 2 X4、X5、X6の解雇(第2次解雇)
(1) X4、X5の解雇理由は「とばく行為」であって、たとえX4の居室内で明け番のたいくつしのぎにしたことであっても厳に戒められるべきことはいうまでもない。
しかし会社はさきに(昭和38年)5月ごろ類似のことがあった場合、関係者から始末書を提出させただけですませており、この両名も同じく始末書を提出して反省の意を示しているのに今回はただちに懲戒解雇を行ない、しかも即日退寮を要求したのは何か別の意味が含まれていると感じられ、むしろ両名が東自交分会員として会社への抗議に参加したり、ビラ配布を行なったりしたことを会社が嫌った点に重点があったと認められる。 (2) 会社はX6を本採用にするため前の勤務先から必要な前歴証明書を貰ってくるように要求したのに応じなかったこと、および同人が勤務中に法律事務所に立寄ったことについての顛末書の提出を求めたが拒んだことなどのため同人を解雇したと主張する。
しかし、X6に解雇を申渡したY2所長はX6は経歴を詐っていたことが発覚したので自分からやめたと思う、さんざん会社の悪口をいっていたのでやめるつもりと見たとか、解雇理由がはっきりしないとも証言している。
X6が会社に雇われた際、前歴を正確に告げなかったことは望ましいことではないし、また勤務中に法律事務所へ立寄っていたことも会社が咎めるというならばそれも理由なしとはいい切れないにしても以上の経緯からみると会社がX6をそれらの理由で解雇したとは認め難く、むしろ同人が第1次解雇後集団抗議に加わり、またX4、X5の解雇撤回のために尽力するなど分会の活動の表面に出てきたことなど同人の組合活動を嫌い、そのため同人を解雇したものと認めざるを得ない。 3 法律上の根拠
(1) 以上の次第であるから、会社の行為は労組法7条1号に該当する。
(2) なお、X1、X2、X3は解雇された後、他のタクシー会社に勤務し自動車運転手として収入を得ていたことが疎明されているが、本件においては諸般の事情からみて被申立人の行なった不当労働行為を排除しそれがなかったと同様の状態を回復するためには、同人らが被申立人会社から受けるはずであった賃金相当額全額の遡及払を命ずることが相当である。
そして前記全額の支払を命じたとしても、もともと申立人らを解雇しなかったならば被申立人が当然負担したであろう出費額の限度内であるから、被申立人に対して新たな負担を課したり懲罰を科することにならないのはもちろんである。 |
その他 |
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