労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る] [顛末情報]
概要情報
事件名  油研工業 
事件番号  神奈川地労委昭和41年(不)第8号 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方本部 
被申立人  油研工業株式会社 
命令年月日  昭和42年 5月12日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 会社が、外注会社から派遣されたいわゆる社外工に対し、外注会社との請負契約の解除を理由に同人らの仕事を打切ったこと、及びこれに関する団交拒否が、不当労働行為に当たるとして神奈川地労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審神奈川地労委は、労使関係を否認し組合の請求を棄却した。
命令主文  本件申立を棄却する。
判定の要旨  1 〔1〕X1、X2及びX3の組合員3名は、有限会社T設計所より会社に派遣されていたが、T設計所は、たとえその設立が会社の強要によったものであるとしても、有限会社法による有限会社であることには変りはないこと。〔2〕T設計所設立前、X1、X2及びX3は従前、別の外注会社の各従業員として、会社とこれらの外注会社との請負契約に基づき、会社に出向派遣されていたもので、同人らが従前の外注会社を退き、他の4名とともにT設計所の名のもとに従来どおり会社の仕事を継続し、その間設立登記を経た経由からしても、特に最初の請負契約態様が変更されたとみるべき行為がなされない限り、会社とT設計所との間には請負契約があったとみる外ないこと。〔3〕仕事上会社の職制の指揮監督下におかれ、出勤時にはタイムカードに打刻し、設計図単価表に基づいて出来高又は時間単価で代金が支払われ、仕事の場所が会社の設計部室で、材料、製図器具等会社の所有に属するものを使用し、組合員3名等に他のT設計所従業員と交代する機会を与えなかった等の事実があるとしてもこれらによって直ちに請負契約を否定する根拠とするには十分でないこと。〔4〕かえって次の事実により、会社とT設計所との間には設計図製作の請負契約がなされ、組合員3名はこの契約に基づき請負業務を遂行するため、その従属するT設計所より会社に派遣されていたものと認められること。
①組合員3名の仕事に対しては、仕事が完成した数量に応じ会社はT設計所に請求書を提出させ、毎月末日これを締め切り、翌月末日に代金をその代表者に支払っていたこと。②会社は同人らの給料等の支払をしていない。その当然の結果として年次有給休暇もないし、遅刻、早退してもこれによって代金を差し引くことはないこと。③同人らに対し賞与支給をしていないし、社会保険等の取扱いもしていない。共済会にも加入させていないし、会社の記念行事旅行会にも参加させていないこと。④同人らのタイムカードは会社に対する代金請求のチェック資料に過ぎないこと。⑤同人らの会社での使用バッチには外注設計会社名が明示されていること。
等により、会社と組合員3名の間には雇傭契約又はこれに類似する契約関係(労働契約)があったとする組合の主張は認めることはできない。
2 以上記述したとおり、会社と組合員3名の間に労働契約の存在が認められない本件においては、同人らの仕事を打ち切ったことは、T設計所との請負契約を解除した結果に基づくものというべく、そこに解雇を論ずる余地はなく、上記解除を不当として他にこれが救済を求めるならば格別、不当労働行為として当委員会に救済を求めるのは失当である。
 また、上記解除につき、会社は組合に対し、団体交渉義務を負ういわれもないから、団体交渉拒否を理由とする不当労働行為と考えられない。
3 次に組合は、会社のY1設計部長とY2第三製造部係長とが、有限会社M技研からの派遣員Z1、Z2が組合加入工作を受けていたのを断念させたのは不当労働行為であると主張するが、会社と同人らとの関係が、会社と組合員3名との関係と同様であるから、支配介入の事実の有無を判断するまでもなく、組合の主張は失当である。
その他  

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
横浜地裁昭和42年(行ウ)第17号・昭和43年(行ウ)10号 全部取消 昭和47年10月24日
東京高裁昭和47年(行コ)第70号 棄却 昭和49年5月29日
最高裁昭和49年(行ツ)第94号 上告棄却 昭和51年5月6日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約153KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。