労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 エスアールエル
事件番号 東京都労委平成20年(不)第49号
申立人 SRL契約社員労働組合
被申立人 株式会社エスアールエル
命令年月日 平成22年6月1日
命令区分 一部救済
重要度  
事件概要 被申立人会社が有期雇用契約社員の労働条件の変更や雇止めを行ったところ、申立人組合はこれを議題とする団交を行い、またビラ配布、ストライキの予告・実施をした。
本件は、これに対して会社が、①ストライキに参加した組合員の雇用契約期間を短縮したこと、②組合役員3名を懲戒処分としたこと、③団交に会社役員を出席させなかったこと、④ストライキ参加組合員と面談を実施したこと、が不当労働行為に該当するか、また、同時期に、⑤雇止め通告をした社員5名の継続雇用を組合と約束した後、反故にしたこと、⑥会社管理職による、組合を嫌悪・威嚇する言動、及び元組合役員にストライキへの不参加や組合からの脱退の働きかけを行わせたこと、があったか、あったとすれば不当労働行為に該当するかが争われた事件である。
東京都労委は申立ての一部を認め、会社に(ⅰ)前記②の懲戒処分をなかったものとしての取扱い、(ⅱ)前記①、②、④、⑥に係る不当労働行為の認定についての文書交付・掲示、(ⅲ)履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文 1 被申立人株式会社エスアールエルは、申立人SRL契約社員労働組合の執行委員会議長X1、組合員X2及び同X3に対して行った平成20年7月1日付懲戒処分(譴責)をなかったものとして取り扱い、その旨を被申立人会社の社内電子掲示板に7日間掲載しなければならない。
2 被申立人会社は、本件命令受領後10日以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、業務部検体受付課が所在する事業場内で従業員が見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。

年 月 日
SRL契約社員労働組合
執行委員会議長  X1    殿
株式会社エスアールエル
代表取締役  Y1
当社が、①平成20年3月21日に貴組合が実施したストライキに参加した貴組合の組合員のうち10名を無断欠勤として扱い、その無断欠勤扱いを理由として、20年4月の契約更新に当たり6名の組合員の雇用契約期間を短縮したこと、②ストライキに参加した貴組合の組合員を、3月24日から25日にかけて、個別に呼び出し、貴組合の行為に係る面談を行ったこと、③貴組合のストライキに関連するビラ配布及び取引先への文書送付を理由に、貴組合の執行委員会議長X1氏、組合員X2氏及び同X3氏に対して7月1日付けで懲戒処分(譴責)を行ったこと、並びに④3月19日の朝、会社管理職が貴組合に対してストライキに対する損害賠償請求をすると発言したこと、及び3月19日から20日にかけて、非番であった元組合役員を出勤扱いとしつつ、これらの者が職務を離脱して貴組合の組合員に対し、ストライキに参加せず、貴組合から脱退するように働きかけることを積極的に支援したことは、いずれも不当労働行為であると東京都労働委員会において認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は交付した日を記載すること。)
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3 被申立人会社は、前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
4 その余の申立てを棄却する。
判断の要旨 1 ストライキ参加組合員の無断欠勤扱い及び雇用契約期間の短縮について (1)会社のスタッフ社員は、通常は1年間の雇用契約を締結・更新していたが、組合員が所属する検体受付課には、無断欠勤等があった者に対する「3か月契約ルール」があり、これを適用されると次期雇用契約期間が短縮されるほか、雇用期間を1年に戻すための更なる条件を付加されるという不利益が課されていた。
(2)会社は、平成20年3月21日に組合が実施したストライキに参加した組合員のうち、非番であった者を除く15名を無断欠勤扱いとしたが、その後、社前行動への参加を確認した者については、ストライキの正当性を問題とすることなく無断欠勤扱いを変更した。一方、その余の10名のストライキ参加組合員については、組合からストライキ参加組合員の名簿が提出されたにもかかわらず、無断欠勤扱いを変更せずに維持したものである。そうすると、会社が、当該10名のうち、3月21日以外の無断欠勤等により3か月契約ルールが適用される4名を除く6名の組合員に対し、不利益を伴う3か月契約ルールを適用したことは、ストライキに参加したことを理由とする不利益取扱いであり、かつ、組合の組織及び運営に対する支配介入にも該当する。
2 組合役員3名への譴責処分について
 会社は、20年3月19日にX1ら3名が構内に立ち入り、ビラを配布したこと及び取引先への通知を送付したことを理由に、X1らに対して懲戒処分(譴責)を行い、その結果、X1らは、社内電子掲示板に同人らの懲戒処分(譴責)の記事を掲示され、精神的な負担を強いられるなどの不利益をも受けることとなった。本件懲戒処分(譴責)は、従前の会社の取扱いとも異なり、組合の正当な行為を懲戒処分の事由とするものであり、組合員に対する不利益取扱いに当たる。
 また、本件処分は、X1らが、新スタッフ社員制度を巡る紛議の中心となっていたことを考えれば、X1らを見せしめにすることによって、組合活動を萎縮させることを企図したものといわざるを得ないから、組合の組織及び運営に対する支配介入にもあたる。
3 団交の出席者(交渉員)について
 20年2月から4月の間の組合と会社との交渉が、取締役が出席していないことによって実質のないものであったとまではいえず、交渉に具体的な支障も発生していないことから、この間の交渉において会社が取締役を出席させなかったとしても、その対応が不誠実であったとはいえないから、組合の主張は、採用できない。
4 20年3月24日の会社管理職らによる面談について
 Y2副部長らが行った組合員との面談は、会社が、これを通じて組合及び組合員に動揺を与えることを企図した、組合の組織及び運営に対する支配介入であると判断せざるを得ない。
5 雇用の継続に係る「約束」について
 3月18日の予備折衝でのストライキ回避という前提が、組合のストライキ実施という対応の変化により崩れたのであるから、会社が、結果的に、用意していた回答書を組合に交付しなかったとしても、一方的に前言を撤回したとはいえない。
 また、会社が組合員5名の雇用の継続を約束したとの事実は認められないから、組合員らの雇用を継続しなかったとしても、合意を撤回したとまではいえず、雇用継続の約束があったことを前提とする組合の主張は採用できない。
6 Y3部長らの言動について
(1)Y3部長の言動について
 3月19日、会社のY3部長がX1らに対し、組合員に損害賠償請求すると発言したことは、組合の運営に対する支配介入に該当するといわざるを得ない。
 他方、Y3部長が同日夜、組合役員3名によるビラ配布を注意し、その様子を部下に写真撮影させたことは、支配介入とまではいうことができない。
(2)元組合役員X4とX5の言動について
 Y3が損害賠償請求について前記(1)の発言をしてから40分後、X4らが同様の考えをもって相談していたこと等を勘案すると、X4らによる組合員への働きかけは、Y3の意を受けて行われたものであるか、仮にそうでないとしても、少なくとも会社が、本来非番であったX4らを出勤扱いとした上で、職務を離脱することを容認し、組合員への働きかけを積極的に支援したものということができる。かかる会社の行為は、組合に対する支配介入に該当するといわざるを得ない。
7 結論
 会社が、20年3月21日のストライキに参加した組合員を無断欠勤扱いとし、それのみを理由として、同年4月からの雇用契約期間を短縮したこと及び組合役員3名に対して7月1日付けで懲戒処分を行ったことは労組法7条1号及び3号に、3月24日にY2らをしてストライキ参加組合員との個別面談を実施させたこと、3月19日にY3をして組合員に対して損害賠償請求すると述べさせたこと、及び3月19日から20日にかけて元組合役員が組合員に対して働きかけることを容認し積極的に支援したことは、同法同条3号に該当するが、その余の事実は、同法同条に該当しない。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地裁平成22年(行ウ)第425号 棄却 平成24年2月27日
東京高裁平成24年(行コ)第125号 棄却 平成24年8月29日
最高裁平成24年(行ヒ)第451号 上告不受理 平成25年2月7日
 
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