労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 東海旅客鉄道(訓告等)
事件番号 中労委平成20年(不再)第37号
再審査申立人 ジェイアール東海労働組合
再審査申立人 ジェイアール東海労働組合新幹線地方本部
再審査被申立人 東海旅客鉄道株式会社
命令年月日 平成22年2月17日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、会社が、①組合員に対する期末手当の減額について現場管理者に抗議を行った組合員のうち1名を訓告に付し、同訓告を理由として期末手当に減率を適用して支給したこと、②会社管理者の言動について現場管理者に抗議を行った組合員4名を訓告に付し、同訓告を理由として減率措置としたこと、③組合員に対する期末手当の減額について現場管理者に抗議を行った組合員17名のうち、2名を訓告に付し、同訓告を理由として減率措置としたこと及び組合員15名を厳重注意又は注意指導としたこと、④組合員に対する期末手当の減額についてに現場管理者に抗議を行った組合員13名のうち、組合員1名を訓告に付し、同訓告を理由として減率措置としたこと及び組合員12名を厳重注意としたことが不当労働行為であるとして、救済申立てがなされた事件である。
 初審東京都労委は、上記①は不当労働行為に該当するとして、会社に対し、当該訓告がなかったものとしての取扱い及び減率措置による減額分支払を命じ、その余の救済申立てを棄却したところ、組合らは、当該棄却部分(上記②ないし④)を不服として再審査を申し立てたが、中労委は申立てを棄却した。
命令主文 本件再審査申立てを棄却する。
判断の要旨 1 組合らの抗議は、組合員Aが体調不良にあったにもかかわらず、会社管理者から勉強会出席を繰り返し強要する等の威圧を受けたこと及び退職の強要もされていたことから行ったもので、組合として当然の行為である旨主張するが、Aは健康診断の結果では通常勤務可能とされており、Aが体調不良の事実を会社に対し申し出たことがなかったことから、会社は、Aに健康上の問題があったという認識はなかった。
 組合らは、Aの状態を子細に確認しないまま抗議を行ったもので、同抗議は、通常の労使協議等により解決を図ることが困難であるといった必要性及び緊急性を有するものであったとはいえない。
 また、同抗議は、会社の営業施設に営業時間中になされ、会社の業務に具体的な支障を生じるおそれが高かったこと等から、正当な組合活動の範囲を逸脱するもので、同処分は不当労働行為には該当しない。
2 組合らは、14年以降組合員の期末手当に不当な減率措置が行われ、会社が十分な説明をしないまま不当な減率措置を続けていたことから抗議を行ったもので、労働組合として当然である旨主張する。
 期末手当の減率措置は、社員が定められた規程等の遵守を確実にし、もって旅客運送のより一層の安全の確立を図ることを目的に設けられたものと考えられるから、社員の執務状況に不都合な行為が認められる場合には、当該社員にその根拠を説明し、反省と改善を求めることが合理的な対応であると考えられる。そうであるのに会社が、減率措置を受けた組合員に説明を求められても抽象的な理由しか述べなかったことは、安全の向上を図る上で相当な態度とはいえない。また、団体交渉等の場で減率適用の基準を説明する等して組合らの理解を得ようとしなかったことは、労使関係上の配慮に欠けていたといえる。
 一方、当該抗議を行った2つの分会と車両所は、会社と組合で締結している労働協約において団体交渉の単位として想定していないにもかかわらず、同抗議は事実上交渉を求めるものであった。また、組合らは、同協約で定められた苦情処理会議の審議を重視しない等同協約で認められた手続・手順を尽くさないまま抗議を行ったものである。さらに、これら抗議により通常の執務環境が乱され、執務を行っていた社員に影響が生じたことは否定できないから、同抗議は会社施設内の職場秩序を乱したものであり、正当な組合活動の範囲を逸脱するものであったので、両処分は不当労働行為に該当しない。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成17年(不)第95号 一部救済 平成20年8月26日
東京地裁平成20年(行ウ)第622号 全部取消 平成21年12月24日
東京高裁平成22年(行コ)第35号 棄却 平成22年7月21日
 
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