労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 野崎興業
事件番号 中労委平成19年(不再)第10号
再審査申立人 野崎興業株式会社労働組合
再審査被申立人 野崎興業株式会社
命令年月日 平成20年11月26日
命令区分 一部変更
重要度  
事件概要 1 本件は、会社が、(1)組合の組合員7名に対し、夜勤及び日曜祭日勤務を命じず、1か月間における日勤の合計回数を制限したこと(以下「本件配車制限」)が労働組合法第7条第1号に、(2)17年11月15日、数名の非組合員運転手との懇談会(以下「11.15懇談会」)において、組合に関する話題を持ち出したことが同条第3号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審埼玉県労働委員会は、会社に対して、上記(2)の言動は不当労働行為であるとして、文書掲示を命じ、その余の救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てたものである。
命令主文 (1) 初審命令主文のうち、再審査申立てを取り下げた1名を除く組合員6名に対する配車制限に関する救済申立てを棄却した部分を取り消す。
(2) 会社は、本件配車制限を止め、なかったものとして取り扱うこと。
(3) 会社は、組合員6名に対し、本件配車制限を止めるまでの間の各月について、同人らと同種の業務に従事する非組合員運転手に支払った乗務手当等の平均額と同人らに支払った同手当の額との差額相当額を支払うこと。
判断の要旨 (1) 本件配車制限の不利益性について
会社は、運転手への配車において、組合員と非組合員運転手との間に明白な格差を生じさせ、このことにより、組合員は、経済的不利益を被ったものであるから、会社は、同人らに対し、非組合員運転手と差別して不利益に取り扱ったものと認められる。
(2) 不当労働行為意思について
会社は、17年11月7日に組合の結成を知ると、会社の運転手が組合結成の事実をどのように受け止めているかを確認する趣旨で11.15懇談会を実施し、組合員を除いた運転手らに対し、自ら組合に関する話題を持ちかけ、その3日後に本件配車制限を開始していること、さらに組合員のみを非組合員運転手と差別して不利益に取り扱うことにつき合理性があると認められないことを併せ考えれば、会社は、Aらが組合を結成したことを理由として不利益に取り扱ったものと推認することができる。
(3) 組合員を把握していなかったとの会社の主張について
会社は、Aらの代理人弁護士が会社に送付した提案書や労働組合結成通知書等の内容から、組合の結成を知った時点において、Aらは組合員であると認識したとみることができ、これは会社が11.15懇談会に同人らを含む組合員を呼んでいないことからも裏付けられる。
(4) 組合活動がないから反組合的意図ないし動機は生じ得ないとの会社の主張について
ア 組合結成以前、Aらの代理人弁護士が会社に対し、「組合とかつくられると面倒ですよ」などと発言していること
イ 会社は、同弁護士の上記発言を受けて、Aらに対し、労働組合結成の動きを牽制する目的で17年9月中の勤務回数を調整した疑いがもたれること
ウ 会社と同人らとの間の対立が深まる中で、組合が結成され、会社に通知されたこと
エ 会社は、ことさら組合員を排除して11.15懇談会を実施し、運転手に対し自ら組合の話題を持ちかけていること等から、会社は、組合の活動を牽制し、組合の影響力が増大することを妨げる意思を有していたと認めらる。
(5) 本件配車制限は莫大な未払時間外賃金の支払義務の発生を防止するために行ったものであるとの会社の主張について
Aら組合員に夜勤を命じないことが法定労働時間内で勤務させることとなるものとみることはできず、また、賃金の支払に関する見解の相違から係争に発展する懸念があることを理由に、組合員のみに対し配車制限を行うことに合理的理由があるとは言い難い。
(6) 結論
以上のことから、本件配車制限は、労働組合法第7条第1号の不当労働行為に当たる。
(7) 救済方法
本件配車制限は、本件再審査結審時においても、継続していると認められるとともに、組合員6名の賃金上の不利益を是正する必要があるので、上記のとおり救済を命じる。
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
埼玉県労委平成17年(不)第6号 一部救済 平成19年1月25日
東京地裁平成20年(行ウ)第769号 棄却 平成24年3月19日
東京高裁平成24年(行コ)第139号 棄却 平成24年7月19日
 
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