労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  野崎興業  
事件番号  東京高裁平成24年(行コ)第139号 
控訴人  野崎興業株式会社 
被控訴人  国(処分行政庁:中央労働委員会) 
被控訴人補助参加人  野崎興業株式会社労働組合 
判決年月日  平成24年7月19日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 会社が、①組合の組合員7名に対し、夜勤及び日曜祭日勤務を命じず、1か月間の日勤の合計回数を制限したこと(以下「本件配車制限」という。)が労組法7条1号に、②平成17年11月15日数名の非組合員運転手との懇談会(以下「11.15懇談会」という。)で、組合に関する話を持ち出したこと(以下「本件懇談会言動」という。)が同条3号に該当する不当労働行為であるとして、埼玉県労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審埼玉県労委は、会社に対して、上記②の言動は不当労働行為であるとして、文書掲示を命じ、その余の救済申立てを棄却した。
 組合は、これを不服として、19年1月26日再審査を申し立てたが、その後、同年7月13日に上記②に係る再審査申立てを、20年4月23日に上記①中、X1に係る再審査申立てをそれぞれ取り下げた。中労委は、初審命令を一部変更し、本件配車制限が労組法7条1号の不利益取扱いに該当するとして、本件配車制限の取り止め、本件配車制限がなかったものとしての取扱い及びバックペイ(再審査申立て一部取下げに係るX1を除く6名に対する差額相当額の支払)を命じた。
 会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、会社の請求を棄却した。
 本件は、これを不服として、会社が東京高裁に控訴した事件であるが、同高裁は、控訴を棄却した。
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、補助参加によって生じたものも含め、控訴人の負担とする。  
判決の要旨  1 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は、後記2のとおり控訴人の主張に対する判断を付加するほか、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 会社は、本件配車制限を実施した当時、組合の労働組合としての活動実態が実質的にはなかったことを理由に、本件配車制限は、組合員7名が組合の組合員であることを特段意識せず、単に時間外賃金請求訴訟が提起されそうであったから本件配車制限を行ったのであり、不当労働行為意思はなかったと主張する。
 しかし、①平成17年11月4日に組合員7名を含む組合が結成されたことは、同月5日には会社に通知されていること、②11.15懇談会において常務による本件懇談会言動が行われたことなどが認められ、これらの事実に鑑みれば、会社は、少なくとも未必的に組合員7名が組合の組合員であることを認識した上で、組合結成等の組合活動を含め、組合員7名が自らの時間外賃金等の労働条件に係る権利実現に向けた行動を起こしたことを理由に本件配車制限を実施したものと評価しうるとした原判決は相当であり、会社の主張に理由はない。
 また、会社は、組合の組合員3名が、平成22年9月15日に本件配車制限を解除した後も現在まで、夜勤及び日曜祭日勤務を拒否していることから、本件配車制限により、うち2名には実質的に不利益がなかったとか、本件配車制限後の会社と組合員7名又は組合員6名との間の未払賃金請求に関する交渉や訴訟の経緯並びに組合の組合員の脱退の経緯等から、現在の組合は時間外賃金請求訴訟等の訴訟を維持することを主たる目的とする集団ともいうべき状況にあるなどと主張している。
 しかし、①平成17年11月18日以降、組合員6名に対して本件配車制限を実施することにより、結果として勤務回数について組合員6名と非組合員との間に格差を生じさせ、このことにより組合員6名に対し経済的損失を被らせたこと、②会社のこの行為が不当労働行為意思に基づくものと認められることは原判示のとおりであり、本件配車制限から5年が経過した後における組合の組合員の就労状況や組合の活動状況が会社主張のとおりであるとしても、そのことは上記認定判断を左右するものではない。
 会社は、他にも原判決の認定判断を批難してるる主張するが、原判決の認定は証拠に照らして是認でき、同認定に基づく判断にも誤りは認められない。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
埼玉県労委平成17年(不)第6号 一部救済 平成19年1月25日
中労委平成19年(不再)第10号 一部変更 平成20年11月26日
東京地裁平成20年(行ウ)第769号 棄却 平成24年3月19日
 
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