概要情報
事件名 |
南労会(配転等) |
事件番号 |
中労委平成 9年(不再)第48号
中労委平成 9年(不再)第49号
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再審査申立人 |
全国金属機械労働組合港合同 |
再審査申立人 |
医療法人南労会 |
再審査申立人 |
全国金属機械労働組合港合同南労会支部 |
再審査被申立人 |
全国金属機械労働組合港合同南労会支部 |
再審査被申立人 |
医療法人南労会 |
再審査被申立人 |
全国金属機械労働組合港合同 |
命令年月日 |
平成18年 2月 1日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
法人が、組合と協議することなく、婦長職を導入したこと、組合員X1に対し主任を免じ配転を命じたこと、組合員X2ら3名に配転を 命じたこと、組合員X1ら4名を懲戒解雇としたこと等が不当労働行為であるとして、争われた事件で、大阪府労委は、法人に対し、懲戒 解雇及び配転がなかったものとして取扱い及びバックペイ並びに文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 これを不服として法人及び組合が再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令の一部を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文
Ⅰ 初審命令主文を次のとおり変更する。 1 平成9年(不再)第48号再審査申立人・同第49号再審査被申立人医療法人南労会(以下 「南労会」という。)は、平成9年(不再)第49号再審査申立人・同第48号再審査被申立 人全国金属機械労働組合港合同及び全国金属機械労働組合港合同南労会支部(以下「組合 ら」という。)に対し、下記文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全国金属機械労働組合港合同 委員長 X3 殿 全国金属機械労働組合港合同南労会支部 執行委員長 X4 殿 医療法人南労会 理事長 Y1 当医療法人が行った下記の行為は、中央労働委員会において、労働組合法第7条1号及び 第3号に該当する不当労働行為であると認められました。 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 平成7年6月8日付け通知により、貴組合員X1に対し、主任を免じて訪問看護ステーシ ョン・ウエルビー勤務を命じたこと。 2 その余の本件救済申立てを棄却する。 Ⅱ 南労会のその余の本件再審査申立てを棄却する。 Ⅲ 組合らの本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1604 その他
3103 労働協約締結をめぐる行為
法人が行った課長職の新設等の組織変更及び婦長職導入は、いずれも診療所の業務管理体制をどのようにするかという意味での経営に関する事項であり、かつ、婦長職導入そのものが、直接労働条件に関するものとはいえないから、婦長職導入は、事前協議合意協定が失効したか否かにかかわらず、事前協議合意協定の対象外の事項であるとする初審判断は相当であるとした例。
1604 その他
診療所の主任と婦長職とにどのように勤務割作成の権限を配分するかは、婦長職導入と同様に診療所の業務管理体制をどのようにするかという意味での経営に関する事項であり、婦長職を導入してこれに勤務割作成権限を与え、結果的に主任から勤務割の権限がなくなったとしても、そのこと自体が労働条件の不利益変更や新たに不利益を課すものということはできないとされた例。
2240 説明・説得の程度
各団交において、本件婦長導入の必要性について、診療所の診療時間及び職員の勤務時間の変更に従わない組合員の違法勤務をやめさせることが目的であるというような回答をすること自体は、使用者側としての主張の整合性の範囲内にあると認められ、組合らの弱体化を企図したものとまではいうことができず、また、法人が婦長を通じて具体的に勤務割の権限を行使した事実も認められないことからすると、本件婦長導入が組合らの運営に対する支配介入に当たるともいえないとされた例。
3100 スパイ
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
労使間の緊張関係の中で法人が対抗策として婦長にテープレコーダー等を携帯させたとしてもやむを得ないものであり、婦長の発言についても、組合側の行き過ぎた行為に対する個人的発言から出たものと解するのが相当であるから、この点に関する組合らの主張は採用できないとされた例。
1300 転勤・配転
3700 使用者の認識・嫌悪
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X1に対する配転命令について、法人のいう訪問看護事業計画は具体性に欠け、配転の対象者として同人を選任した理由についても誠意ある説明をしたとは認められず、同人の組合活動を嫌悪してなされた不利益取扱いであるとともに組合員らの運営に対する支配介入に当たり、労組法第7条第1号及び第3号に該当するとする初診命令は相当であるとされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X2ら3名に対する配転命令について、同人らの抗議や勤務拒否等の行動により診療所の正常な業務運営や秩序が阻害されたことに対し何らかの対応策が必要であったと認められること、抗議行動等には正当な組合活動の範囲をこえるとみられるものが多いこと、懲戒処分等他の手段は既に講じられていること、勤務体制のあり方をめぐって労使紛争が継続している中、支部側の勤務割と法人側の勤務割が相違しており、このままでは必要な看護婦の確保ができないといった事態が再び生じる虞が認められること、経営側としては正常な業務運営を確保するために勤務時間に関し必要かつ相当な業務命令を発することができるものと考えられることから、本件配転命令を発したことはやむを得ないものがあったと認められるので、本件配転命令は、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるとした初審命令主文を取り消すこととした例。
1102 業務命令違反
X2ら4名に対する懲戒解雇の主たる理由は、同人らの就労闘争によって診療所の業務と秩序に重大な支障を生じさせたことにあったと判断され、組合員であると否とを問わず懲戒に値するものであるから、本件懲戒解雇は同人らの組合活動を嫌悪して行われた不利益取扱いであるとか、組合らの弱体化を企図した支配介入であるということは相当でなく、労組法第7条第1号及び第3号に該当するとした初審命令は取り消すこととした例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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