労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  南労会(配転等) 
事件番号  大阪地労委 平成 7年(不)第33号 
大阪地労委 平成 7年(不)第35号 
大阪地労委 平成 7年(不)第55号 
大阪地労委 平成 7年(不)第67号 
申立人  全国金属機械労働組合港合同南労会支部 
申立人  全国金属機械労働組合港合同 
被申立人  医療法人南労会 
命令年月日  平成 9年11月18日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、病院が、<1>M診療所看護科の婦長職導入について団交で協議中であるにもかかわらず、組合らに予告することなく、Y1を婦長として新たに採用したこと、<2>看護科X1主任に対し、訪問看護ステーション(「ウェルビー」)に主任を免じて配転通告を行ったこと、<3>看護婦X2ら3名に対し、業務命令に従わなかったことを理由に配転通告を行ったこと、<4>上記X1主任ら4名に対し、配転に応じなかったこと等を理由に懲戒解雇したこと、<5>さらに、これらの問題について誠実に団交に応じなかったことが、それぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で、<1>X1主任に対する懲戒解雇及び配転がなかったものとしての取扱い並びにバッペイ、<2>看護婦3名に対する懲戒解雇及び配転がなかったものとしての取扱い並びにバックペイ、<3>文書手交(<1>及び<2>に関して)を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1に対してなした、平成7年8月30日付け懲戒解雇及び同年6月8日付け通知による主任を免じて被申立人訪問看護ステーション・ウェルビー勤務を命じる配置転換がなかったものとして取り扱い、同年8月21日から就労させる日までの間、同人が同松浦診療所看護科で就労していれば得られたであろう賃金相当額(既に支払われた分を除く)及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員X2に対してなした、平成7年8月30日付け懲戒解雇及び同月15日付け通知による被申立人松浦診療所健診部勤務を命じる配置転換がなかったものとして取り扱い、同月21日から就労させる日までの間、同人が同松浦診療所看護科で就労していれば得られたであろう賃金相当額(既に支払われた分を除く)及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人組合員X3及び同X4に対してなした、平成7年8月30日付け懲戒解雇及び同月15日付け通知による被申立人紀和病院看護部勤務を命じる配置転換がなかったものとして取り扱い、同月21日から就労させる日までの間、同人らが同松浦診療所看護科で就労していれば得られたであろう賃金相当額(既に支払われた分を除く)及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
                 記
                              年 月 日
全国金属機械労働組合港合同
 委員長   X5 殿
全国金属機械労働組合港合同南労会支部
 執行委員長 X6 殿
                        医療法人南労会
                         理事長 Y2
 当医療法人の行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
                 記
(1)平成7年6月8日付け通知により、貴組合員X1氏に対し、主任を免じて訪問看護ステーション・ウェルビー勤務を命じたこと。
(2)平成7年8月15日付け通知により、貴組合員X2氏に対し松浦診療所健診部勤務を、同X4氏及び同X5氏に対し紀和病院看護部勤務をそれぞれ命じたこと。
(3)平成7年8月30日付けで、貴組合員X1氏、同X2氏、同X3氏及び同X4氏を懲戒解雇したこと。
5 申立人らのその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  3103 労働協約締結をめぐる行為
組合らの、医療法人が診療所看護科に婦長職を導入したことは、事前協議合意協定に違反する不当労働行為であるとの主張が、婦長職導入が直接組合員の労働条件に関するものとは認められず、同協定にいう事前協議等の対象外事項であると判断されるとして斥けられた例。

1604 その他
組合らの、医療法人が診療所看護科に婦長職を導入したことは、支部組合員である主任から勤務割の権限を剥奪する不利益取扱いであり、組合らに対する支配介入を目的としたものであるとの主張が、主任から勤務割の権限をなくすこと自体は直接労働条件の不利益変更をもたらすものではなく、Y1婦長が現実に医療法人の指示する勤務割の権限を行使した事実は認められないとして斥けられた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3100 スパイ
組合らの、Y1婦長が、テープレコーダー等を携帯して勤務したこと、X1主任に対して退職勧告発言をしたこと等が、医療法人の意を体した不当労働行為であるとの主張が、医療法人がY1婦長に対する組合らの個人攻撃等の対抗策として同人にテープレコーダー等を携帯させたとしてもやむを得ないと判断され、X1主任に対する発言についても、組合側の行き過ぎた行為に対する個人的反発と判断されるとして斥けられた例。

1200 降格・不昇格
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
看護科X1主任に対する主任降格後の配転命令は、業務上の必要性がなく、慣行に反し、身分上の不利益を課すもので、同人の組合活動を嫌悪し、診療所から排除する目的でなされたものと判断され、同人に対する不利益扱いであるとともに組合らの運営に対する支配介入行為であるとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
X2組合員ら3名の配転は、同人らの行為に行き過ぎは認められるものの、業務上の必要性も乏しく、慣行に反し本人の同意を得ずに実施されたもので、同人らの組合活動を嫌悪し、診療所看護科から排除する目的でなされたものと判断され、組合らの運営に対する支配介入行為であるとされた例。

1602 精神・生活上の不利益
組合らの、Y3事務長がX2組合員ら3名に対して夜間から深夜にかけて電話で配転を内示したことが不当労働行為であるとの主張が、同行為は常識を欠くものではあるが、このことをもって直ちに不当労働行為とはいえないとして斥けられた例。

1102 業務命令違反
主任X1ら4名に対する、配転命令に従わないこと等を理由とする懲戒解雇は、同人らに対する配転命令は不当労働行為であり無効であること等から、正当な理由がなく、同人らの組合活動を嫌悪した不利益取扱いであるとともに診療所から排除することにより組合の勢力削減を企図した支配介入行為であるとされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集109集154頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成9年(不再)第48号・第49号 一部変更 平成18年2月1日
東京地裁 平成18年(行ウ)第583号 棄却 平成20年4月21日
東京高裁平成20年(行コ)第220号 棄却 平成21年3月4日
 
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