概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(豊田電車区) |
事件番号 |
中労委平成14年(不再)第47号
中労委平成14年(不再)第48号
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再審査申立人 |
個人X1 |
再審査申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
個人X1 |
命令年月日 |
平成17年10月19日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
会社は、国労臨時大会の会場付近で公務執行妨害の疑いで逮捕拘留された組合員に対し、釈放後、(1)同人を日勤勤務とし、約3ヶ月にわたり除草作業を命じたこと、(2)その後リネン業務と電車乗務等が混在する勤務に就かせたこと、(3)企画課長が同人の組合活動を批判する言動をしたことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、東京都労委は、会社に対し、(1)日勤勤務指定がなかったものとしての取扱い及び運転士業務への復帰並びに相当期間のバックペイ、(2)企画課長をして申立人の組合活動に対し介入する言動の禁止を命ずる一部救済命令を交付した。 会社及び申立人個人は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
主 文 本件各再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
1602 精神・生活上の不利益
会社が10月の「勤務表」を作成する9月25日の時点では、X1組合員の逮捕勾留後2か月半近くが経過しており、既に警察からの呼出しが懸念される状況にはなく、同時点で同人を引き続き日勤勤務に指定する合理的理由があるとは判断できないこと、X1に対し人事操配上の裁量により一定の事実上の不利益を課すことは首肯できないことではないが、7月の逮捕勾留に対して会社として何らの処分もなされなかったこととのバランスが考慮されるべきであること、それまでに除草作業を業務として1人に連日命じたことはなく、X1の性格や態度を考慮に入れても、10月以降の引き続き同人に除草作業を命じたことは、人事操配上の必要性が希薄になったことや作業の厳しさからみて、会社の裁量の範囲を逸脱するものと考えられること等から、同人に対し10月以降も日勤勤務に指定し、除草作業をさせたことは、同人の組合活動を嫌ってなされた不当労働行為であるとした初審命令は相当であるとされた例。
1302 就業上の差別
1602 精神・生活上の不利益
X1のリネン業務への勤務指定については、他の運転士と比較して、X1の運転技術が劣ることなどを認定するに足りる具体的疎明がないこと、改めて格別の事情が認められない本件において、会社が、組合バッジを着用していたことを理由に、同人にリネン業務を勤務指定する合理性は見出し難いこと、同人が過去にリネン業務の補助に従事したことは、ことさらに当該業務の従事経験を積極的に評価できるものではないこと、会社の人事操配上の裁量といえども、当該業務の必要性、当該業務の期間、命じられた者の本来業務との関連、そうした業務を命じるこれまでの慣行等を考慮した一定の合理的な裁量の範囲に限られると考えるべきであること、X1が当該業務に就くことは、電車乗務に直接関係のない、乗務員手当の減少等として経済的不利益になるとともに、職業的熟練の維持・形成を困難にし、精神的不利益を伴う、合理的な人事操配上の裁量の範囲を逸脱したものといわざるを得ないこと等から、会社がX1に除草作業に引き続き、リネン業務をさせたことは、同人の組合活動を嫌ってなされた不当労働行為であるとした初審命令は相当であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社の処分が決定しないまま除草作業を行っているX1に対し、敢えて具体的な不利益取扱いを予告するような話し方をし、組合活動のあり方や国労に加入し続ける理由を質したY1企画課長の言辞は、自己の地位ないし立場を利用してX1の組合活動に対する批判と一定方向への誘導を行ったものと解され、また、Y1企画課長とX1との面談は、Y2区長が設定し、勤務時間内に会社施設内で行われた業務行為であり、その発言の内容を考慮すると、Y2区長の意を体したものであるから、労組法第7条第3号の不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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