労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(豊田電車区) 
事件番号  東京地労委 平成12年(不)第95号 
申立人  X1 
被申立人  東日本旅客鉄道株式会社 
命令年月日  平成14年 8月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  国労臨時大会の会場付近で公務執行妨害の疑いにより逮捕された個人1名に対し、同人の釈放後、会社が、(1)電車の運転業務から外して日勤勤務とし、約3ヵ月にわたり除草作業を命じたこと、(2)その後更にリネン業務を命じ、同業務と電車の乗務等が混在する勤務を指定したこと、(3)会社の八王子支社企画課長が同人の組合活動に介入する発言をしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)平成12年10月1日以降の除草作業及びリネン業務の指定がなかったものとしての取り扱い、(2)従前の運転士業務への復帰、(3)従前の交番勤務の平均回数を下回らない交番勤務が行われたものとしての処遇、(4)従前の平均支払額と既払額との差額の支払い、(5)組合活動に介入する言動の禁止、(6)履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人X1に対する平成12年10月1日から16日までの日勤の除草作業及び同月17日以降の日勤のリネン業務の指定がなかったものとして取り扱い、同年7月1日以前に従事していた運転士としての業務に復帰させるとともに、同年4月、5月及び6月における交番勤務の平均回数を下回らない交番勤務が同年10月1日以降行われたものとして処遇しなければならない。
2 被申立人会社は、12年10月1日以降申立人X1を前項の同年7月1日以前に従事していた運転士としての業務に復帰させるまでの間、毎月、108,085円と申立人X1に対し既に支払った乗務員手当、超勤手当、夜勤手当、祝勤手当及び宿日直手当の合計額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、八王子支社企画課長をして申立人X1の国鉄労働組合の組合員としての活動に対し介入する言動をさせてはならない。
4 被申立人会社は、1項及び2項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
5 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
7月中の勤務指定を取り消したことは真にやむを得ない措置であり、また8月及び9月に交番勤務に就けなかったことは、警察からの呼出し、会社上層部からの事情聴取などの可能性からリスクが大きく、本人の独善的態度も認められることから、当分の間日勤指定とし除草作業を命じたことを不当な措置ということはできないとされた例。

1302 就業上の差別
除草作業を10月以降も継続すること及びその後リネン作業を命じることについては、いずれも妥当性がなく、同人の組合活動を嫌ってなされた不当労働行為であるとされた例。

1602 精神・生活上の不利益
1604 その他
リネンの担当者が休職することを見越して引き続き除草作業をさせ、その後欠員補充として、運転士としては初めてリネン業務を命じ、交番勤務から除外もしくは他の運転士より格段に少ない交番勤務しか指定しなかったことは、将来にわたって重大な経済的不利益をもたらすほか、職業的熟練の維持・形成を困難とする精神的不利益も伴うものであるとされた例。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
たとえ旧知の間柄だったとはいえ、現在交流がなく、一方が支社の課長であり、他方は国労組合員である立場を考慮すれば、友人としての忠告の域を超え自己の地位ないし立場を利用した組合活動に対する非難等であったと解され、また、当該面談は勤務時間内に会社施設内で行われた業務行為であり、その場での具体的人事に関する発言は区長の意を体するものであるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
4415 賃金是正を命じた例
会社は申立人に対し、平成12年5月から7月に交番勤務に伴う各手当を月平均108,085円支払っていたので、これと申立人に対して既に支払った各手当額との差額を支払うように命ずるが、申立人が求める年6分の付加金については、主文の程度をもって足りるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集123集467頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成14年(不再)第47・48号 棄却 平成17年10月19日
東京地裁 平成17年(行ウ)第589号 全部取消 平成18年10月23日
東京地裁、平成18(行ク)第50号 緊急命令申立ての却下 平成18年10月23日
東京高裁 平成18年(行コ)第296号 全部取消 平成19年6月18日
最高裁  平成19年(行ヒ)第272号 上告不受理 平成20年10月31日
 
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