概要情報
事件名 |
広島県(教育委員会) |
事件番号 |
広島県労委平成12年(不)第1号
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申立人 |
X1 外5名 |
申立人 |
広島県高等学校現業職員組合 |
被申立人 |
広島県 |
命令年月日 |
平成18年 3月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、県が、①勤務時間中に組合活動のため職場を離脱することを黙認するいわゆる「組合年休」と呼ばれ慣行を無効とする通達を発して、同慣行を一方的に破棄したこと、②組合年休の行使状況を調査する職務命令を発し、調査に応じなかった現業職員である組合員を戒告処分としたこと、③組合員の戒告処分を議題とする団交を拒否したこと等が不当労働行為であるとして、争われた事件である。 広島県労委は、県に対し、戒告処分を議題とする団体交渉応諾を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合から平成12年1月19日及び同年2月17日付けで申入れのあった団体交渉について、速やかに誠意をもって応じなければならない。 2 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
3106 その他の行為
県教委が各校長に発した本件組合年休無効の通達は、同年休が職員の勤務管理の適正化を目的になされたものと認められ、組合年休が社会問題化する中で法令に違反する労使慣行は無効である旨の通達を発出することに相応の理由があるから、県教委が組合年休の慣行を破棄したことが支配介入であるとはいえないとされた例。
3106 その他の行為
県教委が行った組合年休の行使状況調査は、県議会で問題とされた組合年休の実態を解明する必要性からのされたものであり、組合活動が抑制されたとの疎明もないことからすれば、本件調査が不当労働行為に該当するとの組合らの主張は採用できないとされた例。
3106 その他の行為
組合年休の行使状況を調査する調査票を提出しない職員に対して校長が調査票提出の職務命令を発したことは、服務監督権者の権限行使として行き過ぎとは認められず、本件調査が著しく不当・不法な方法で実施されたといえず、職務命令も自白の強制といった状況も認められないから、本件職務命令が不当労働行為に該当するとの組合らの主張は採用できないとされた例。
1602 精神・生活上の不利益
県教委による組合年休の無効通達及び組合年休の行使状況調査に係る通知は、組合員に精神的苦痛を与えたとの疎明はなく、反組合的意思に基づいて行ったとは認められず、組合活動を抑制されたとの疎明もないことからすれば、精神的不利益取扱いの不当労働行為に当たらないとされた例。
1400 制裁処分
県教委による組合年休の行使状況調査の職務命令に応じない組合員に対して、職務命令違反が職場の秩序規律違反するとして実質的に昇給延伸措置を伴う戒告処分を科したことは、戒告処分が懲戒処分の中で最も軽い処分であって相当性を欠くとはいえないから、本件戒告処分が労組法第7条第1号及び第3号に該当するとの組合らの主張は採用できず、また、昇給延伸措置についても、組合員であるがゆえの不利益取扱いとみることはできないとされた例。
2301 人事事項
2302 労務管理・労使関係
組合の申入れた組合員に対する戒告処分に関する団交は、処分に連動して昇給延伸を受けることからすると、戒告処分そのものは管理運営事項であるとしても、昇給という労働条件に影響が生じることになるのであり、その限りにおいて団交の対象となり得るというべきであるから、県教委が組合の申入れた団交の交渉事項は管理運営事項であるとして団交に応じないことは労組法第7条第2号に該当する不当労働行為とされた例。
4918 自治体
教育委員会は地方公共団体の一執行機関に過ぎず、不当労働行為救済命令の名宛人である法律上独立した権利義務の帰属主体と認めることはできないから、本件申立ては「広島県教育委員会」を被申立人としているが、権利義務の帰属主体である広島県を被申立人とし、その代表者を島県教育委員会として命令を出すこととされた例。
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業種・規模 |
地方公務(都道府県機関) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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