概要情報
事件名 |
協和出版販売 |
事件番号 |
東京都労委平成13年(不)第21号
|
申立人 |
日本出版労働組合連合会 |
申立人 |
協和出版販売労働組合 |
被申立人 |
協和出版販売株式会社 |
命令年月日 |
平成17年11月15日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が、組合との合意が成立しないまま就業規則を改定し、定年年齢を60歳に引上げるとともに、55歳以上の社員を嘱託社員として大幅に賃金を減額したことに関し、嘱託職員の賃金の根拠について、団体交渉において組合が要求する資料を開示するなどして具体的に説明しなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。 東京都労委は、会社に対し、①55歳以上の組合員の賃金に関する誠実団交応諾、②文書手交及び履行報告を命じ、申立期間を徒過した申立て部分を却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人協和出版販売株式会社は、55歳に達した組合員の賃金について、申立人日本出 版労働組合連合会及び同協和出版販売労働組合から団体交渉における説明を求められた場合 は、貸借対照表、損益計算書等の特定項目のみにとどまらず、賃金決定の具体的根拠を説明 する資料を提示するなどして、誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人日本出版 労働組合連合会及び同協和出版販売労働組合に交付しなければならない。
記
年 月 日
日本出版労働組合連合会
中央執行委員長 X1 殿
協和出版販売労働組合
執行委員長 X2 殿
協和出版販売株式会社
代表取締役 Y1
当社が、55歳に達した組合員の賃金について、貴組合から貸借対照表、損益計算書等の計算書類を示して団体交渉において根拠を説明するよう要求されたことに対し、賃金決定の具体的根拠を示す資料を掲示するなどして説明しなかったことは、東京都動労組合において不当労働行為であると認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
4 平成12年3月27日以前に行われた団体交渉に係る申立てを却下する。 |
判定の要旨 |
5200 除斥期間
本件申立ては平成13年5月28日になされたものであるから、申立事項のうち、同12年5月27日以前の団交に係る部分については、労組法第27条第2項により申立期間徒過として却下せざるを得ないが、本件で問題とされている定年延長と嘱託社員の賃金問題は、同10年5月に既に実施されたものである等から、同12年5月28日以降の団交の不誠実性の有無を判断するのに必要な限りで、それ以前の経過についても検討するとされた例。
2240 説明・説得の程度
定年延長に伴い55歳以降の賃金の大幅引下げに関して組合が団交を申し入れたときはその根拠となる資料を開示するなどして誠実に説明すべきであるところ、会社が就業規則の改定により行った合理的なもので、不利益な変更ではないなどとして総論的・抽象的な説明に終始していることは労組法第7条第2号の不当労働行為に該当するとされた例。
|
業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
 
|