労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  奥道後温泉観光バス 
事件番号  愛媛県労委平成16年(不)第3号 
申立人  奥道後温泉観光バス労働組合 
被申立人  奥道後温泉観光バス株式会社 
命令年月日  平成17年 8月19日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、①会社事務室に監視カメラ及び盗聴装置を設置して組合員を威圧・監視したこと、②貸切バス運転者に対する配車において、組合員と新会社に転籍した非組合員とを差別的に取り扱ったことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。
 愛媛県労委は、会社に対して、①組合員の会社事務所での勤務・待機・休憩時における監視カメラ及び音声モニター装置の作動の禁止、②貸切バス運転者に対する配車における組合員と非組合員との公平な取扱い、③平等に貸切バス運転業務に従事したものとしての組合員の賃金月額の再計算及びバック、④文章の掲示を命じた 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員が被申立人事務所で勤務、待機あるいは休憩をしているときは、同事務所2階の事務室に設置している2台の監視カメラ及び音声モニターができる防犯装置の音声モニター機能を作動させてはならない。
2 被申立人は、貸切バス運転者に対する配車において、申立人組合員であるバス運転者と非組合員である奥道後交通株式会社所属のバス運転者とを公平に取扱わなければならない。
3 被申立人は、申立人組合員が、奥道後交通株式会社所属のバス運転者との間で平等に貸切バス運転業務に従事したものとして、平成16年4月以降分の賃金月額を再計算し、この再計算額が既支払賃金月額を上回る場合は、その差額を支払わなければならない。
4 被申立人は、縦55センチメートル、横80センチメートルの白紙に次の文書を明瞭に記載し、本命令書写しの交付の日から7日以内に、被申立人事務所の従業員出入口付近の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。
(文書略)
5 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2700 威嚇・暴力行為
新たに設立した別会社にタクシー事業及び貸切バス事業の一部を経営させ、組合員9名のみが貸切バス運転業務に継続して勤務する被申立人会社において、事務所2階の事務室に監視カメラ及び音声モニターを設置したことは、組合員にその存在を十分に意識させ、常時監視されているとの意識までも抱かせるものであり、会社事務所における組合員の行動に、相当程度抑制的効果を及ぼすものと判断され、組合員の組合活動を威圧し、 ひいては組合を弱体化させる労組法第7条第3号に該当する不当労働行為とされた例。

1302 就業上の差別
被申立人会社が新設した別会社で貸切バス運転業務に従事する新嘱託の配車の順序を組合員より優先したことに合理性が認められず、組合員に時間外労働等割増手当が付く配車をしない配車方針を採り続けることによって、組合員を不利益に取り扱うとともに、組合の弱体化を図ったものとみるのが相当であり、このことは労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為とされた例

4415 賃金是正を命じた例
組合員に対する配車差別の不利益取扱いに対する救済としては、会社に対して、別会社発足以降の組合員の賃金月額を再計算し、この再計算額が既支払賃金月額を上回る場合はその差額の支払いを命じることが相当とされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(バス専業) 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成17年(不再)第62号 棄却 平成18年9月20日
東京地裁平成18年(行ウ)第640号 棄却 平成20年12月25日
東京地裁平成19年(行ク)第25号 緊急命令申立ての認容 平成20年12月25日
東京高裁平成20年(行コ)第39号 棄却 平成21年7月15日
 
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