概要情報
事件名 |
奥道後温泉観光バス |
事件番号 |
東京地裁平成18年(行ウ)第640号 |
原告 |
奥道後温泉観光バス株式会社 |
被告 |
国(処分行政庁:中央労働委員会) |
被告補助参加人 |
奥道後温泉観光バス労働組合 |
判決年月日 |
平成20年12月25日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
X組合は、愛媛県労委に対し、Y会社が①会社の事務室に2台の監視カメラなどの防犯装置(以下「監視カメラ等」という。)を設置して、X組合の組合員を威圧・監視したこと、②貸切バスの配車において、X組合の組合員をY会社所属の非組合員と比して差別的に取り扱ったことが不当労働行為に当たるとして救済を申し立てた。愛媛県労委はY会社のこれら行為は不当労働行為に当たるとして、監視カメラ等の作動の禁止、貸切バスの配車におけるX組合員の組合員と非組合員の公平な取扱いなどの救済命令を発した。Y会社は愛媛県労委の命令を不服として、中労委に再審査を申し立てたが、中労委は愛媛県労委の命令を維持し、Y会社の申立てを棄却した(以下「本件命令」という。)。本件は、Y会社が本件命令を不服として、その取消しを求めた事案である。
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判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用(補助参加によって生じた訴訟費用を含む。)は原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
① Y会社は、新会社開業以降、現在までの間、X1らの業務妨害の抑止、記録は必要なくなっているのに監視カメラの設置を続け、さして防犯上の必要性がないにもかかわらず、新たな防犯装置を設置しているのであり、Y会社の事務所が継続勤務者等であるX組合の組合員だけが勤務する場所となったため、同組合員らの行動を監視してその活動を牽制するために、監視カメラの設置を続け、新たな防犯装置を設置したのではないかと強く疑われる。少なくともY会社は、防犯上等の必要性がそれほどなににもかかわらず、X組合に対する威圧やその活動の萎縮の効果があることを認識しながら、監視カメラ等を設置していると認めることができる。したがって、Y会社は、X組合の運営に支配介入する意思により、監視カメラ等を設置していると認められる。 ② Y会社が新会社を開業して以降も本件配車方針を継続して採り続け、継続勤務者等によって不利益となる扱いを続けたことは、人件費抑制という当初の目的にとどまらず、X組合の組合員に不利益になることを認識した上で行われたというだけでなく、X組合に対する嫌悪、敵視に基づく行為の一つというべきであり、継続勤務者等がX組合の組合員であることの故をもってしたことであると認めるのが相当である。Y会社がこのような本件配車方針を新会社開業後も採り続けたことは、労働組合法7条1号に該当する不当労働行為である。
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