概要情報
事件名 |
奥道後温泉観光バス |
事件番号 |
東京地裁平成19年(行ク)第25号 |
申立人 |
中央労働委員会 |
被申立人 |
奥道後温泉観光バス株式会社 |
判決年月日 |
平成20年12月25日 |
判決区分 |
緊急命令申立ての認容 |
重要度 |
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事件概要 |
X組合は、愛媛県労委に対し、Y会社が①会社の事務室に2台の監視カメラなどの防犯装置(以下「監視カメラ等」という。)を設置して、X組合の組合員を威圧・監視したこと、②貸切バスの配車において、X組合の組合員をY会社所属の非組合員と比して差別的に取り扱ったことが不当労働行為に当たるとして救済を申し立てた。愛媛県労委はY会社のこれら行為は不当労働行為に当たるとして、監視カメラ等の作動の禁止、貸切バスの配車におけるX組合員の組合員と非組合員の公平な取扱いなどの救済命令を発した。Y会社は愛媛県労委の命令を不服として、中労委に再審査を申し立てたが、中労委は愛媛県労委の命令を維持し、Y会社の申立てを棄却した(以下「本件命令」という。)。Y会社が本件命令を不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したため、中労委は、同地裁に緊急命令の申立てを行った。 |
判決主文 |
被申立人は、被申立人を原告、申立人を被告とする当庁平成18年(行ウ)第640号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決の確定に至るまで、申立人が中労委平成17年(不再)第62号事件について発した命令によって維持するものとした愛媛県労委平成16年(不)第3号事件について、愛媛県労働委員会がした平成17年8月19日付けの命令の主文第1項ないし第3項に従い、 1 被申立人は、申立外奥道後温泉観光バス労働組合(以下、「申立外組合」という。)の組合員が被申立人事務所で勤務、待機あるいは休憩をしているときは、同事務所2階の事務室に設置している2台の監視カメラ及び音声モニターができる防犯装置の音声モニター機能を作動させてはならない。 2 被申立人は、貸切バス運転者に対する配車において、申立外組合の組合員であるバス運転者と非組合員である奥道後交通株式会社所属のバス運転者とを公平に取り扱わなければならない。 3 被申立人は、申立外組合の組合員が、奥道後交通株式会社所属のバス運転者との間で平等に貸切バス運転業務に従事したものとして、平成16年4月以降分の賃金月額を再計算し、この再計算額が既支払賃金月額を上回る場合は、その差額を支払わなければならない。
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判決の要旨 |
中央労働委員会が発した救済命令の適法性に疑義は認められず、Y会社が当該命令を履行していないため、X組合の組合員は経済的の困窮するなどして組合活動が弱体化してしまうおそれがあることが認められるから、現時点において、①組合員の事務室での勤務時等における監視カメラ等の作動の禁止、②貸切バスの配車における組合員と非組合員の公平な取扱い、③平成16年4月以降分の組合員の賃金月額の再計算及び差額の支払について、緊急命令の必要性があるというべきである。 |