概要情報
事件名 |
エッソ石油 |
事件番号 |
東京地労委 平成 8年(不)第28号
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申立人 |
スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合 |
被申立人 |
エクソンモービル有限会社 |
命令年月日 |
平成16年 6月15日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)組合員X1の業務災害に対し労働基準監督署長が症状固定・治癒と認定し、労災保険法上の補償給付を打ち切ったことから、会社が就業規則に基づき行っていた欠勤時間分の賃金額と休業補償給付との差額支給を打ち切り(賃金補償打切措置)、不就労分を月例賃金から控除した(賃金控除措置)こと、(2)X1に対する賃金カットについて組合の京浜支部連合会との団体交渉に誠実に応じていないことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、申立時に1年を経過した会社の行為についての申立ては却下し、それ以降の行為についての申立ては棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てのうち、平成7年4月30日以降に行われた申立人スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合の組合員X1に対する賃金控除措置及び申立人組合京浜支部連合会と被申立人エクソンモービル有限会社との間の団体交渉に係る申立てを棄却し、その余の申立てを却下する。 |
判定の要旨 |
5200 除斥期間
5201 継続する行為
組合員X1に対する賃金補償打切措置は、これを決定したときの一回限りの行為であると認められるから、決定から1年を経過後に申立てられた本件申立ては却下せざるを得ず、また、賃金控除措置は欠勤日・欠勤時間があった場合にその相当額を控除しているのであり、その月の賃金支払行為により完結する一回限りの行為と認められるから、申立日現在で1年を経過した賃金控除措置及びこれに関する団体交渉についての申立ては却下せざるを得ないとされた例。
1203 その他給与決定上の取扱い
会社が組合員X1に対する賃金控除措置をとったことは組合と災害補償について労働協約が締結されておらず、就業規則等に則った扱いをするにあたって休業補償給付との差額を支給する等X1ないし組合に対して配慮していること、支部連とのX1の頸腕症に関する団体交渉に応じていることが認められ、これらからするとX1に対する賃金控除措置は同人が組合員であるが故に不利益に取り扱ったものとはいえないとされた例。
2250 未妥結・打切り・決裂
X1の労災問題に関する団体交渉は、行詰まりの状態にあり、今後双方が歩み寄り、合意を見出すことは不可能と考えざるを得ないから、会社がもはや合意形成の見込みがなくなったとの考えに基づいて対応していたと見るのが相当であり、組合員X1の欠勤控除分の返還要求に関する交渉が対立したまま終結して、X1に対する補償を変更したことにはそれ相応の理由があり、このような会社の対応が不誠実団体交渉といえないとされた例。
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1に対する賃金控除措置及び同問題に関する団体交渉がいずれも不当労働行為に当たらないのであるから、会社がX1のリハビリ就労を認めず、不就労分を賃金から控除したことは、組合の活動等に対する支配介入とはいえないとされた例。
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業種・規模 |
石油製品・石炭製品製造業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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