労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  エクソンモービル(賃金補償打切措置等)  
事件番号  東京地裁平成25(行ウ)第566号  
原告  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合(以下「組合」)  
被告  国(処分行政庁・中央労働委員会)  
被告補助参加人  EMGマーケティング合同会社(以下「会社」)  
判決年月日  平成27年12月25日 
判決区分  却下・棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、①組合員A1が頸肩腕症候群(以下「本件傷病」という。)により休業したことについて、業務上の傷病であるにもかかわらず、会社が、総額として休業分について欠勤控除がされていない賃金に相当する額を支払う措置(以下「本件補償」という。)を打ち切り、昭和58年9月分の賃金以降、毎月の賃金から前月の欠勤分を控除することとし、平成7年12月分まで欠勤控除をして賃金を支払ったこと、② A1の欠勤分の控除について、団体交渉の申入れに対する会社の対応が、不当労働行為に当たるとして、東京都労働委員会に救済を申し立てた事件である。
2 初審東京都労働委員会は、組合の救済命令の申立てのうち平成7年4月30日以降に係る部分は棄却し、その余は却下する旨の命令を発した。
3 組合は、これを不服として中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対して再審査の申立てをしたところ、中労委は再審査の申立てを棄却した。
4 これを不服とした組合が、行政訴訟を東京地裁に提起したところ、同地裁は、処分行政庁に対する命令の義務付けを求める部分を却下するとともに、組合のその余の請求を棄却した。  
判決主文  1 原告の訴えのうち、別紙1「請求する救済の内容」記載の命令の義務付けを求める部分を却下する。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告の負担とする。  
判決の要旨  第2 当裁判所の判断
4 争点(1) (本件救済命令の申立てのうち、平成7年4月30日以前の不当労働行為に係る部分が労組法27条2項所定の申立期間を徒過したものか否か)について
(1) 本件補償打ち切りの決定及び本件賃金控除について
ア 組合は、会社が本件補償を打ち切る旨の決定をして昭和58年9月以降の本件賃金控除を行っていることについて、これらは会社の決定に基づき定期的に反復継続して行われてきた一連一体の継続的な行為であり、平成7年4月30日より前の部分も含めて申立期間を徒過していないと主張する。
 しかしながら、前記3のとおり、業務上の傷病の療養のため休業した場合については、その休業分について欠勤控除がされた賃金に対して休業補償がされるのであって、本件賃金控除は、単に毎月の休業について欠勤控除額を計算の上、これを翌月の賃金から控除して支払う機械的な措置であり、休業が業務上の傷病の療養のためのものか否かとは無関係に行われるものである。
 それゆえ、本件賃金控除は、本件補償を打ち切るとの決定とは別個独立の措置であり、また、各月の本件賃金控除もそれぞれ独立した行為であるから、本件補償を打ち切るとの決定及び各月の本件賃金控除それぞれについて労組法27条2項所定の申立期間徒過の有無を判断すべきものであり、本件では、本件補償を打切るとの決定及び本件賃金控除のうち平成7年4月30日より前に前月の欠勤分を控除した上で賃金の支払が完了しているものについては、この申立期間を徒過していることになる。
イ 組合は、会社が本件補償の打ち切りを決定し、昭和58年9月分以降、本件賃金控除をし、毎月の本件傷病の療養のための休業についての欠勤控除分に対して補償をしていないこと、すなわち欠勤控除分に対する休業補償給付等の立替払及び就業規則44条に基づく休業補償をしていないことが労組法7条1号の禁止する不利益な取扱い、同条3号の禁止する支配介入に当たると主張しているとも解し得ることから、この点からも申立期間の徒過について検討する。
 そもそも本件補償は、業務上の傷病の療養を理由とする休業のため受けることができない賃金を補償するという、ノーワーク・ノーペイの原則に対して例外的な取扱いであり、また、従業員の業務上の傷病のための欠勤、業務上の傷病の経過という、それ自体としては使用者である会社が関与しない事情によって左右されるものである。
 そして、本件補償を打ち切るとの決定とその後の毎月の本件傷病の療養のための休業についての欠勤控除分に対して補償をしないこととの関係は、例えば、組合に対する嫌悪の情などからされる賃金処遇上の差別的取扱いを意図した昇給、昇格査定とこれに基づく賃金の支払とが、この差別的意図に基づく昇給、昇格査定がなければ、賃金処遇上差別的取扱いをすることができず、また、その差別的意図は昇給、昇格査定における差別のみによっては完結されず、その査定に基づき現に賃金の支払がされて昇給、昇格査定における差別的取扱いの不利益が頭在化することによって初めて実現されるという関係、つまり、差別的取扱いの意図を実現するために不可分の一体の関係にあるのとは異なる。
 すなわち、本件補償を打ち切るとの決定がされた場合、その後は例外的な取扱いがされずに本件傷病の療養のための休業についての欠勤控除分について補償が受けられないことが確定的となり、その差別的意図は完結、実現されているといえる。本件補償を打ち切るとの決定後、欠勤控除分に対して補償がされないことは、本件補償を打ち切るとの決定に従ったものではあるが、ノーワーク・ノーペイの原則に対する例外的取扱いをせずに原則に従った取扱いをしているにすぎず、欠勤控除分に対して補償がされないことは、本件補償を打ち切るとの決定により既に差別的意図が完結、実現された後の、原則的取扱いに従い例外的取扱いはしないという不作為状態にすぎないのであって、欠勤控除分に対して補償がされないことによって本件補償を打ち切るとの決定に係る差別的意図が完結、実現されるという関係にはない。このことは、組合員の業務上の傷病の療養を理由とする欠勤、業務上の傷病の経過という会社の関与しない事情によって差別的意図は実現されなくなることからも明らかというべきである。
 なお、ここで、労組法27条2項が救済命令の申立期間を制限した趣旨は、救済命令の申立てが申立人主張の不当労働行為の日から1年以上経過している場合には、その調査、審問に当たって証拠収集、実情把握がはなはだ困難となり、かつ、1年以上経過後に命令を出すことは却って労使関係の安定を阻害し、また救済命令を発する実益がない場合があることにあるものと解される。しかるに、本件のような場合に、本件補償を打ち切るとの決定によって補償を行わないとの意思が確定的に表明されているにもかかわらず、これを前提とする単なる不作為である欠勤控除分に対して補償をしない状態が継続する以上は救済命令の申立てを行うことができるとすれば、その間、労使関係の安定が図られないこととなり、妥当でない。他方で、本件補償を打ち切るとの意思が確定的に表明されている以上、その決定の時から1年以内に救済命令の申立てをすれば足りることからすれば、本件補償を打ち切るとの決定から1年経過後は救済命令の申立てが認められないとしても、労働組合やその組合員には、あえて申立期間を1年以上にしなければ回避され得ないような特段の不利益はない。
 また、労働者が業務上の傷病の療養のため休業し、この休業についての休業補償を請求した場合において、会社が業務上の傷病と認めず、補償を拒絶した場合には、拒絶時から1年以内に救済命令の申立てをしなければならないと解されるところ、一度行った補償を打ち切る場合には、その決定以後も継続する行為として救済命令の申立てをすることができると解することは、当初から業務上の傷病の療養のための休業に対して補償を行わないと決定した場合との均衡を欠き、妥当でない。
 以上によれば、会社が本件補償の打ち切りを決定したことと昭和58年9月分以降、本件賃金控除をし、毎月の本件傷病の療養のための休業についての欠勤控除分に対して補償すなわち休業補償給付等の立替払及び就業規則44条に基づく休業補償をしていないことが一体の関係にある継続的行為ということはできず、その後の毎月の本件傷病の療養のための休業についての欠勤控除分に対して補償をしていないことも、毎月同種の行為が反復継続されているに留まり、一体の関係にある継続的行為ということはできないというべきである。
ウ また、組合は、本件賃金控除の不当労働行為性の判断に当たっては、会社が本件傷病の療養のための休業を無給の特別休暇の扱いから「その他欠勤」の扱いに変更したことが重要であって、この取扱いの変更も含めて不当労働行為の一体性を判断すべきであると主張する。この主張は、差別的意図に基づき「その他欠勤」として扱うことにしたという点で共通する本件賃金控除は全体が一体の関係にある旨をいうものと解される。
 しかしながら、本件傷病の療養のための欠勤を「その他欠勤」と扱うことは一時金(賞与)からの欠勤控除に関するものであって、この一時金(賞与)からの欠勤控除と各月の賃金の支払に係る本件賃金控除やこの控除分に対する休業補償給付等の立替払及び就業規則44条に基づく休業補償との間には何らの関連性もなく、全体が一体の関係にあるということはできない。
(2) 本件賃金控除に関する団体交渉拒否、不誠実交渉について
ア 組合は、本件補償を打ち切るとの決定及びその後の毎月の本件賃金控除が継続する行為であるとして、これについての団体交渉も継続する行為であると主張するが、前記(1)のとおり、本件補償を打ち切るとの決定及び毎月の本件賃金控除(控除分に対して補償をしないことを含む。)は継続する行為ではない。
イ 本件団体交渉の経過は、前提事実(4)のとおりであり、本件補償を打ち切ることの決定及び本件賃金控除(控除分に対して補償をしないことを含む。)について、組合は、繰り返し本件補償を打ち切ることの撤回並びに昭和58年9月分以降の療養費及び欠勤控除額の返還を請求しているが、会社は、その都度、前提事実(4)ウ(イ)で述べたとおり、労災保険法を基本とするのが会社の基本原則であるとの立場をとり、本件不支給決定がされたことから、組合の要求には応じられないことを回答している。これに対して組合から更なる要求がされ、会社において引き続き協議、検討する旨の回答がされるなどして、団体交渉が継続されたと認めるに足りる事情を認めるに足りる主張立証はない。
 そうすると、本件補償を打ち切ることの決定及び本件賃金控除については、組合の要求に対して、その都度、会社からの回答がされたことによって団体交渉は終了しており、各団体交渉の申入れや団体交渉はそれぞれ別個の行為であって、これらが継続する行為であるということはできない。
5 争点(2) (適法な救済命令の申立てに係る平成7年4月30日以降の本件傷病の療養を理由とする休業についての本件賃金控除及びこれに対して補償をしないことが労組法7条1号の禁止する不利益な取扱い、同条3号の禁止する支配介入に当たるか)について
(1) 前記3のとおり、本件賃金控除は、単に毎月の欠勤について賃金からの欠勤控除額を計算の上、翌月の賃金から控除して支給する機械的な措置にすぎず、会社が本件補償を打ち切ることを決定する以前から本件傷病が業務上の傷病であるか否かとは無関係に行われていた措置であり、現にA1は休業しているのであるから、本件賃金控除は合理的理由に基づくものであって、A1が組合の組合員であることや組合の正当な組合活動の故にされたものとみる余地はなく、平成7年4月30日以降の本件賃金控除を労組法7条1号の禁止する不利益な取扱い、同条3号の禁止する支配介入とみる余地はない。
(2) 組合は、前記4(1)イのとおり、本件補償を打ち切ると決定し、本件賃金控除による控除額に対する補償をしていないことを労組法7条1号の禁止する不利益な取扱い、同条3号の禁止する支配介入として主張するものとも解されるから、この点についても検討する。
ア 前記3(3)のとおり、就業規則に基づく業務上の傷病に対する休業補償は、使用者が業務上の傷病に対して労基法上の災害補償義務を負うことを前提に、労災保険法上の保険給付が使用者の労基法上の災害補償義務に代わるものであることから、業務上の災害か否かの判断については、労災保険法における保険給付についての判断と同一に解して、労働基準監督署長の業務災害に対する専門的知見に基づく判断に委ね、労基法上の災害補償義務に基づく休業補償ないし休業補償給付等によっては欠勤控除分全部が補償されないことから、いわゆる上積補償として、その不足分を会社の負担において補償するものである。
 そして、本件補償は、以上のような就業規則上の災害補償義務を前提として、労災保険法上の休業補償給付等が現に欠勤した後でなければ請求することができず、一旦は、業務上の傷病の療養のための欠勤について欠勤控除された賃金しか支給されない不利益を回避するため、休業補償給付等相当額の立替払をし、休業補償給付等による不足分について就業規則に基づく休業補償を行い、総額として本件傷病の療養のための休業分が控除されていない賃金に相当する額の支払をするものである。
 そうすると、本件不支給決定によって休業補償給付等の立替払をする理由はなくなることから、これを受けて、その後の毎月の休業補償給付等の立替払をしていないことには合理的理由がある。就業規則上の上積補償としての休業補償も、労基法上の災害補償義務の存在を前提に、その発生原因である業務上の傷病の有無については、労基法上の災害補償義務に代わる労災保険法上の保険給付と同一に解して、その判断に委ねる趣旨であり、本件不支給決定において本件傷病の治癒が認定されて休業補償をすべき義務が否定されたことを受けて、毎月の就業規則上の上積補償としての休業補償をしていないことにも合理的理由がある。
イ 組合は、業務上の災害に対する会社の補償責任とは、業務上の傷病が完治するまで労働者に治療を行わせ、リハビリ勤務等を経て職場復帰につなげることであり、労災保険法上の保険給付がされた場合、会社はその限度で災害補償責任を免れるにすぎず、労災保険法上の保険給付が不支給となったことによって会社の補償責任が消滅するものではないと主張する。
 しかしながら、労基法及び労災保険法上、会社が業務上の災害に対する補償責任として業務上の傷病が完治するまで労働者に治療を行わせ、リハビリ勤務等を経て職場復帰につなげる一切の責任を負うべき明文の規定はなく、業務上の傷病に関して労基法81条がいわゆる打切補償を規定し、同法19条1項但書前段が打切補償をした場合には解雇できることを定めていることとも整合しないことから、組合の主張は独自の見解であり採用できない。
 本件不支給決定は、A1の本件傷病が治癒したことを理由にされたものであり、その取消訴訟についての請求棄却判決も確定している上、本件補償の打ち切りを決定した当時、A1の本件傷病が治癒していなかったと認めるに足りる証拠はないことから、会社が、本件不支給決定を受けて本件補償を打ち切ることを決定し、これ以降、毎月の本件賃金控除に対して補償をしていないことには合理的理由がある。このことは本件不支給決定の取消訴訟並びにA1が平成8年に改めて行った本件傷病についての労災保険法上の保険給付請求に対する不支給決定及びこれについての取消訴訟の経過に照らしても、本件通達が撤回されたことによって左右されない。
 労災保険法に基づく労災保険制度は労基法上の災害補償義務から直接派生したものではなく、両者は、業務上の災害補償責任を共通の基盤として、並行して機能する独立の制度であるから(最高裁昭和48年(オ)第927号同49年3月28日第一小法廷判決・裁判集民事111号475頁)、本件不支給決定により直ちに使用者の労基法上の災害補償義務が消滅するものではないが、前記3(3)イのとおり、業務災害に関する労災保険制度は、労基法により使用者が負う災害補償義務の存在を前提として、その補償負担の緩和を図りつつ被災した労働者の迅速かつ公平な保護を確保するため、使用者による災害補償に代わる保険給付を行う制度であり、このような災害補償義務を政府が保険給付の形式で行うものであって、労災保険法上の各保険給付は、これらに対応する労基法上の災害補償に代わるものであるから、労基法上の災害補償義務の発生原因とこれに対する労災保険法上の保険給付の支給原因は同一に解するのが相当である。それゆえ、労基法上の災害補償義務の有無の判断をこれに代わる労災保険法上の保険給付について業務上の災害についての専門的知見を有する労働基準監督署長の判断に委ねることについては、その判断の内容及び手続が不合理であることが明白に窺われるなどの特段の事情のない限り、合理的理由があるというべきである。
ウ 組合は、A1が本件傷病について本件補償を受けるに当たって他の従業員と異なる差別的取扱いを受けた旨を主張するが、本件では、本件補償を開始後、本件傷病が治癒したとして本件賃金控除の控除分に対する補償をしなくなったことの不当労働行為性が問題となっており、前記3の本件補償及び本件賃金控除の内容からすれば、補償義務の有無に関わる本件傷病の治癒の判断について会社に裁量はないから、差別的取扱いに馴染むものではなく、組合主張の事情は本件賃金控除分に対して補償をしていないことの不当労働行為性を推認させるものではない。
 また、本件補償を打ち切るとの決定後、本件傷病の療養のための休業について一時金からの欠勤控除の対象とならない無給の特別休暇として扱っていたところ、平成7年6月以降は一時金からの欠勤控除の対象となる「その他欠勤」として扱った点については、本件傷病の治癒が認定されている以上、本来、直ちに一時金からの欠勤控除の対象となる「その他欠勤」と扱うことも許容されるのであり、むしろ、平成7年6月までの無給の特別休暇としての扱いがA1に対する特別の配慮であって、これを廃止したことをもって毎月の本件賃金控除による控除分に対して補償をしないことの不当労働行為性は何ら推認されない。
(3) 以上のとおりであるから、平成7年4月30日以降の毎月の本件賃金控除(控除分に対して補償をしないことを含む。)は労組法7条1号の禁止する不利益な取扱いに当たらず、それゆえ、組合の結成を阻止ないし妨害したり、組合を懐柔し、弱体化したり、組合の運営・活動を妨害したり、組合の自主的決定に干渉したりする効果を持つものとは認められないから、同条3号の禁止する支配介入にも当たらない。
6 争点(3) (適法な救済命令の申立てに係る平成7年4月30日以降の組合からの本件補償の打ち切り及び本件賃金控除についての団体交渉申入れに対する会社の対応が労組法7条2号の禁止する団体交渉の拒否、不誠実交渉に当たるか)について
 前記4(2)ウのとおり、平成7年4月30日以降の団体交渉は、前提事実(4)オ及びカ記載の経過でされたものであって、同年10月2日に本件傷病の療養のための休業を「その他欠勤」扱いとすることについての団体交渉が行われたほかは、本件賃金控除による控除額の返還請求がされたにとどまり、本件補償を打ち切るとの決定及び本件賃金控除について団体交渉及び団体交渉の申入れがされたとは認められないから、平成7年4月30日以降の毎月の本件賃金控除(控除分に対して補償をしないことを含む。)についての団体交渉に関する会社の対応が労組法7条2号の禁止する団体交渉の拒否ないし不誠実交渉に当たるとする組合の主張には理由がない。
7 処分の義務付けの訴えについて
 組合は、組合主張の不当労働行為の存在を前提に別紙1「請求する救済の内容」記載の内容の救済命令の発令を求める義務付けの訴えを提起するところ、これは行政事件訴訟法3条6項2号に基づく義務付けの訴えであるから、「当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在である」場合に提起することができる(同法37条の3第1項2号)。
 本件においては、前記のとおり、併合提起された本件命令の取消訴訟に理由はないから、本件義務付けの訴えは、同法37条の3第1項2号の要件を満たさず、不適法である。  
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地労委平成 8年(不)第28号 棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 平成16年6月15日
中労委平成16年(不再)第44号 棄却 平成25年2月20日
東京高裁平成28年(行コ)第29号
エクソンモービル(賃金補償打切措置等)再審査申立棄却命令取消請求控訴事件
棄却 平成28年5月17日
 
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