労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ネスレジャパンホールディング 
事件番号  静岡地労委 平成14年(不)第2号 
静岡地労委 平成15年(不)第1号 
申立人  ネッスル日本労働組合島田支部 
被申立人  ネスレジャパンホールディング株式会社 
命令年月日  平成16年 4月16日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要  会社が、(1)支部が4回にわたり申し入れたS工場での団体交渉を拒否したこと及び本部及び5支部を相手方として一括して団交を開催する等の団交方式に固執したこと、(2)工場従業員の給与所得源泉徴収票等にグループ会社の名義を使用したことについて具体的な説明をせず、これにより団交応諾義務の相手方が判然としない等組合活動に支障を生じさせたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、(1)団交応諾及び会社提案の団交方式でなければ応じられないとの理由による支部の団交申入れ拒否の禁止、(2)工場の従業員と会社及び給与所得源泉徴収票等の名義会社との法律関係について文書により具体的に説明すること、(3)文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人から平成13年10月3日付け、同年11月6日付け、同年12月25日付け及び平成14年1月17日付けの文書で、それぞれ団体交渉の要求があった事項について、速やかに、被申立人島田工場内において、申立人との団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人から団体交渉を申し入れられたときは、団体交渉申入書に基づき、これに誠実に応じなければならず、開催地を神戸市内又は、東京都内、組合側の出席者を5名以内、ネッスル日本労働組合本部並びに同組合の島田、霞ヶ浦、東京、神戸及び姫路の各支部からの団体交渉要求事項を一括して議題とする団体交渉の方法でなければ応じられないとの理由で、これを拒否してはならない。
3 被申立人は、申立人に対し、島田工場の従業員と、(1)被申立人、(2)ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社、(3)ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社、(4)ネスレジャパングループ、との間の各法律関係について、本命令交付の日から2週間以内に、文書により具体的に説明しなければならない。
4 被申立人は、申立人に対し、下記文書を本命令交付の日から1週間以内に、手交しなければならない。(用紙の大きさはA4版とし、読みやすい大きさの文字で楷書し、年月日は手交の日を記載すること。)
       記
                   平成16年 月 日
ネッスル日本労働組合島田支部
執行委員長 X1 殿
                ネスレジャパンホールディング株式会社
                 代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、静岡県地方労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為と認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
       記
1 貴支部から申し入れのあった、(1)平成13年10月3日付けの、貴支部の組合員2名の社内住宅融資に基づく利子補給の申請を拒否したことについて、(2)同年11月6日付けの、島田工場の職場環境改善等について、(3)同年12月25日付けの、貴支部の組合員2名に対して職場配置転換を行ったことについて、(4)平成14年1月17日付けの、貴支部の組合員20名に対し25年永年勤続表彰を行うことについて、の島田工場における各団体交渉に、いずれも応じなかったこと。
2 ネッスル日本労働組合本部及び貴支部を含む全国5支部を連盟の名あて人として、この6者からの団体交渉要求事項を一括して議題とし、日時を指定、開催地を神戸市内又は東京都内、組合側の出席者を5名以内、とする方法によることを理由として、貴支部との団体交渉を拒否したこと。
3 島田工場の従業員の給与支給明細書等に、当社以外の会社名義が用いられていることについて、貴支部から説明を求められたにもかかわらず、具体的な説明をしなかったこと。

5 その余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2244 特定条件の固執
2249 その他使用者の態度
 支部からの4回の団体交渉申入れに対し、これを拒否したことは正当な理由を欠くものであり、また、これは会社の団体交渉は全て会社の提案する団交方法により行い、支部団交は行わないものという会社の意向に基づいたものと解されるところ、支部申入れの団体交渉を拒否することは、支部の固有の団体交渉権を事実上否定し、支部の団結権を侵害するものであるから、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に該当するとされた例。

2620 反組合的言動
 会社は、新たにグループ会社が設立されたが、従業員の身分は会社に引き継がれ、労働条件は従来どおりであるとしているのに、給与支給明細書等に会社以外の名義を使用しており、このことについて、支部がその法律関係について説明を求めたにもかかわらず、何ら具体的な説明を行わないことは、それ自体が支部の存在を否定するものであって、支部の団結権を侵害又は侵害するおそれのある行為であり、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  社会保険、社会福祉 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成16年(不再)第31・32号 一部変更 平成19年5月9日
東京地裁 平成19年(行ウ)第602号 却下 平成20年6月19日
東京高裁 平成20年(行コ)第264号 全部取消 平成20年11月12日
最高裁平成21年(行ヒ)第71号 上告不受理 平成22年10月19日
 
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