概要情報
						
					
					
						| 事件名 | 
						ネスレジャパンホールディング(団交) | 
					
					
						| 事件番号 | 
						東京地裁平成19年(行ウ)第602号 | 
					
					
						| 原告 | 
						ネスレ日本株式会社 | 
					
					
						| 被告 | 
						国(処分行政庁:中央労働委員会) | 
					
					
						| 被告補助参加人 | 
						ネッスル日本労働組合島田支部 | 
					
					
						| 判決年月日 | 
						平成20年6月19日 | 
					
					
						| 判決区分 | 
						却下 | 
					
					
						| 重要度 | 
						  | 
					
					
						| 事件概要 | 
						本件は、X組合からの合計6回にわたる団体交渉の申入れに対する各対応が労働組合法7条2号(団交拒否)の不当労働行為に当たるとされ、中労委による救済命令を発せられたY会社が、上記各対応はいずれも不当労働行為に当たらないと主張し、その取消しを求めた事案である。 | 
					
					
						| 判決主文 | 
						1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用(補助参加費用を含む。)は原告の負担とする。 | 
					
					
						| 判決の要旨 | 
						① 救済命令が適法に発出された場合であっても、その後の事情の変化により、当該救済命令の履行を客観的に不可能にする事情が発生したときなどのほか、当該救済命令の趣旨・目的が意義を失い、その履行をする義務が消滅したときは、当該救済命令はその基盤を失って拘束力を失うこととなると解される。救済命令がその拘束力を失った場合には、使用者が当該救済命令に従うべき公法上に義務がなくなるから、その取消しを求める法律上の利益は消滅するものというべきであり、当該救済命令の取消しを求める訴えは却下を免れない。 ② 平成19年12月21日にX組合のX1組合員が退職した以降、X組合には現にY会社に雇用されている労働者である組合員は存しないから、Y会社は、X組合から退職の効力を交渉事項とする団体交渉の申入れでない限り、現在、労働組合法7条2号の規程によりX組合からの団体交渉の申入れに応ずべき義務をそもそも負うものではない。本件団体交渉申入れは、X組合の組合員のY会社からの退職の効力を交渉事項とするものではない。そうすると、仮に過去において、Y会社が本件団体交渉申入れ事項についてX組合との団体交渉に応じなければならない義務があったとしても、当該義務は既に消滅しているというほかはない。 ③ Y会社が、現在、X組合からの団体交渉の申し入れについて応諾すべき義務を負わない以上、今後、X組合から組合員の労働条件等に関わる事項について団体交渉を申し入れられたときは、これに誠実に応ずべきこと、及び会社団交方式によらなければならないという理由によりその申入れを拒むことの禁止を命じる命令についても、会社の義務は消滅したというほかない。 ④ このほか、文書交付命令については、Y会社が、現在、X組合からの団体交渉の申入れに応諾する義務を負わない以上、Y会社による不当な団体交渉拒否の再発を抑制し、Y会社が負うべき団体交渉の応諾義務を適切に履行させるという本件文書交付命令の趣旨は失われている。したがって、同命令につても、現時点においては、命じられた義務は消滅してというほかはないから、拘束力を失っているといわざるを得ない。
 
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