概要情報
事件名 |
平川商事 |
事件番号 |
奈良地労委 平成10年(不)第1号
奈良地労委 平成11年(不)第1号
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申立人 |
奈良県統一合同労働組合奈良ランド&プラザ支部 |
被申立人 |
平川商事株式会社 |
命令年月日 |
平成12年 9月11日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員1名を飲食代金のレジ操作の不正行為を理由として雇止めとしたこと、(2)組合員1名を来館者用の新聞の持出しを理由として降格処分としたこと、(3)協定書及び団体交渉で約束した内容の年末一時金を支払わなかったこと、(4)金員を交付すること等により、組合支部長を退職させたこと、(5)会社施設内の録音機設置問題等に関し、組合員らを事情聴取し、処分をほのめかしたこと、(6)録音機設置問題に関する団体交渉に応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)降格処分がなかったものとしての取扱い、役職手当のバックペイ(半額支給)、(2)組合支部長に金員を交付することによって退職させるなどしての支配介入の禁止を命じ、その余の申立(労働契約更新拒否等)については棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人X1に対して、次の措置を講じなければならない。 (1)同人に平成9年12月26日付けでなした、係長から7等級主任への降格処分がなかったものとして取り扱うこと。 (2)上記降格処分の日から原職に復帰するまでの間に同人が受けるはずであった役職手当を支払うこと。ただし、本命令交付の日までの文については、その半額を控除して支払うこと。 2 被申立人は、申立人組合の支部長に金員を交付することによって退職させるなどして、申立人組合の活動に支配介入してはならない。 3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0900 不正行為
1106 契約更新拒否
3601 処分の程度
3604 労働者に落度がある場合
組合員に対する飲食代金のレジ操作に関する不正行為を理由とした懲戒処分としての雇止めは、不当に重い処分とは言えない等、合理性を有するものであり、それを不当労働行為に該当するとの組合の主張は認容できないとされた例。
1400 制裁処分
3601 処分の程度
3604 労働者に落度がある場合
組合副支部長に対する来館者用の新聞の持出しを理由とした降格処分については、会社の懲戒権の行使が一定の正当性を有するとしても、同人が行った非違行為から見て過重であり、組合活動を嫌悪し、同人の非違行為に藉口して相当と認められる程度を越える不利益な処分を課したものと認められ、労組法第七条第一号の不当労働行為であるとともに、組合への支配介入とも認められ、労組法第七条第三号の不当労働行為でもあるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
組合は、調理人の年末一時金の平均アップ額は27,342円となると主張しているが、これは、試算数字を取り違えて計算されたものであり、前年支給額平均より6,285円下回ったと主張していることについても、前年との比較において年次給2ヵ月分が控除されていないなど、当該金額も妥当性を欠いており、また、どうのように恣意的な不利益査定がなされたかについての疎明もなされなかったことから、平成9年年末一時金の支給に関し、会社の恣意的不利益査定による不当労働行為がなされたと判断することは困難であるとされた例。
2620 反組合的言動
盗聴行為と判断される録音機の設置問題に関する組合員に対する事情聴取については、誰に、どのような人権侵害行為が会社からなされたかについては、一切の疎明がなく、唯一疎明があった組合員X2に対する人権侵害の主張も、具体性がなく、当該事情聴取のための呼び出しについても、会社が施設管理権に基づいて行う事情聴取に組合員が応じない以上は、再三に亘って呼び出しを行うことがあっても不当とは言えず、事情聴取に当たって、組合員に対して人権侵害がなされたとする主張は、認容できないとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合支部長に対する金員の交付は、支部長が極めて追いつめられた状態であったことにつけ込み、退職の意思をできるだけ早く固めさせるため、不当労働行為をもってなされたものであり、労組法第七条第三号の不当労働行為に該当するとされた例。
2400 その他
録音機設置問題に関する事実解明については、会社がその施設管理権に基づきこれをなし得るのは当然であり、また、その事情聴取に当たって人権侵害があったとは認められないこと等を考慮すれば、「録音機の設置をめぐる問題及び組合の組合員らに対する人権侵害」に関する誠実団体交渉については、会社にはその応諾義務がなく、会社は、懲戒の方針が決定すれば、過去に組合の組合員らの懲戒処分に対して行ったように、事前協議を行うと表明しているのであるから、本件請求に関する範囲で、会社が団体交渉に応じないことが、労働組合法七条二号該当の不当労働行為とは認められないとされた例。
4408 バックペイが認められなかった例
4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
組合副支部長の降格の救済方法としては、かかる降格処分がなかったものとしての取扱い、同人を降格処分の前の職に就労させるよう命ずることを相当とするが、本人の責めに帰すべき点もあり、今後の本件労使関係を考慮した場合、いわゆるバックペイについては一定の控除をなすこと及び陳謝文の掲示は命じないこととするのが相当であるとされた例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集118集32頁 |
評釈等情報 |
 
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