概要情報
事件名 |
平川商事 |
事件番号 |
中労委平成12年(不再)第54号
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再審査申立人 |
奈良県統一合同労働組合奈良ランド&プラザ支部 |
命令年月日 |
平成14年 5月 8日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)組合員1名を飲食代金のレジ操作の不正行為を理由として雇止めとしたこと、(2)組合員1名を来館者用の新聞の持ち出しを理由として降格処分としたこと、(3)協定書及び団体交渉で約束した内容の年末一時金を支払わなかったこと、(4)組合支部長に金員を交付すること等により退職させたこと、(5)会社施設内への録音機の設置問題に関し組合員らを事情聴取し、処分をほのめかし支配介入したこと、(6)録音機の設置問題に関する団体交渉に応じなかったことが争われた事件で、奈良地労委は、会社に対し、組合員1名に対する降格処分がなかったものとしての取扱い及びバック・ペイ並びに組合支部長に金員を交付することにより退職させる等による支配介入の禁止を命じ、その余の申立てを棄却した。組合及び個人2名はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は本件再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0900 不正行為
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1の雇止めは、同人が組合員であること等の故をもってなされ、これにより組合の運営に支配介入したものと認めることはできず、専ら同人がレジ操作の不正行為を行ったことを理由としてなされたものであるといわざるを得ず、これを不当労働行為に当たらないとして申立てを棄却した初審判断を維持した例。
2700 威嚇・暴力行為
会社施設内に密かに録音機の設置するという行為は極めて違法性の高い行為であり、会社による個別の事情聴取は、ことさらに組合員のみを呼び出したものではなく、事情聴取の態様も特に組合員のみを威迫したものであるとの疎明はなく、組合員らの全面的に非協力的な態度は誠意のある態度とはいえず、全体として社会通念上相当な範囲に含まれるものであり、これを組合の運営に対する支配介入であるとみることはできないとして申立てを棄却した初審判断を維持した例。
2234 団交の場以外での違法・不当行為
本件団体交渉申入れを行った当時は、会社は録音機設置問題に関する事実関係を明らかにするための調査を行っていた段階であって、組合員に対する個別の事情聴取の実施・対応は不当労働行為に当たるものではなく、組合員の処分問題が発生していたわけではないことから、録音機設置問題に関する団体交渉を会社が拒否したことには正当な理由があるというべきであり、不当労働行為に当たらないとして申立てを棄却した初審判断を維持した例。
4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
組合員X2が、本来来館者用に取り揃えておくべき新聞を来館者が読む前に持ち出して勤務時間中に自席に持ち帰って読んだ行為は本人の責めに帰すべきものであること、分会長X3が退職に至ったそもそもの原因は同人が録音機設置を決定してこれを指示したことにあり、このような録音機設置が極めて違法性の高い行為であることを勘案すると、初審命令が謝罪文の掲示を認めなかったことは相当であるとされた例。
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業種・規模 |
娯楽業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集123集666頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 審査第二課 2002年8月 1001号 13頁 
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