労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  直源会 
事件番号  神奈川地労委 平成 6年(不)第14号 
神奈川地労委 平成 7年(不)第1号 
申立人  神奈川県医療労働組合連合会 
申立人  相模原南病院労働組合 
被申立人  株式会社藤沢医科工業 
被申立人  医療法人直源会 
命令年月日  平成10年12月 3日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、(1)直源会が組合員X1ら6名に対し、配転命令拒否、服務規程違反等を理由に解雇あるいは懲戒解雇としたこと及び当該解雇問題に関する組合らの団体交渉申入れを拒否したこと、(2)直源会の警備業務を担当している藤沢医科工業が、組合員X2に対し、同人の直源会職員への発言を一方的に辞意表明ととらえて退職取扱いとし、就労と賃金支払いを拒否したことが争われた事件で、神奈川地労委は、X1ら6名の解雇がなかったものとしての取り扱い、誠意ある団交の応諾、X2の退職扱いがなかったものとしての取り扱い及びポスト・ノーティスを命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人医療法人直源会は、申立人組合員X1に係る平成6年10月21日付
け解雇、同X3に係る同年11月8日付け解雇、同X4に係る同月30日付け解雇、
同X5及び同X6に係る同年12月1日付け解雇、同X7に係る同月5日付け解雇がな
かったものとして取り扱い、次の措置を講じなければならない。
 (1) X1を平成6年9月1日付け配置転換命令前の職種に、X5、X6及びX7を
同年12月1日付け配置転換命令前の職種に、X3を原職に、X4を原職相当職にそ
れぞれ復帰させること。
 (2) X1、X3、X4、X5、X6及びX7に対し、前記解雇日から原職又は原職相当
職に復帰するまでの間に支給されるべきであった賃金相当額に、年率5分相当額
を加算した額の金員を支払うこと。
2 被申立人医療法人直源会は、申立人らからの団体交渉申入れに対し、上部団
体の出席等を理由に拒否することなく、誠実に応じなければならない。
3 被申立人株式会社藤沢医科工業は、申立人組合員X2に係る平成6年9月30
日付け退職取扱がなかったものとして取り扱い、同人に対し、退職取扱がなかっ
たならば支給されるべきであった賃金の額と現に支払った賃金の額との差額に相
当する額に、年率5分相当額を加算した額の金員を支払わなければならない。
4 被申立人医療法人直源会及び同株式会社藤沢医科工業は、本命令受領後、速
やかにそれぞれ下記の文書を縦1メートル、横1.5メートルの白色木板にかい
書で明瞭に墨書し、相模原南病院の従業員通用口付近の見やすい場所に、毀損す
ることなく10日間掲示しなければならない。
                 記
             文書 1 (直源会)
  当法人が、貴組合員のX1を平成6年10月21日付けで、X3を同年11月8
日付けで、X4を同月30日付けで、X5及びX6を同年12月1日付けで、X7を同月
5日付けでそれぞれ解雇したこと並びに貴組合が申し入れた団体交渉について、
上部団体の出席等を理由に拒否し、あるいは誠実に応じなかったことは、神奈川
県地方労働委員会において労働組合法第7条に該当する不当労働行為と認定され
ました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
   平成 年 月 日
   横浜市保土ヶ谷区岩井町222番地1
   神奈川県医療労働組合連合会
    執行委員長 X8殿
   相模原市南台一丁目4番18-106号
   相模原南病院労働組合
    執行委員長 X3殿
                     相模原市大野台七丁目10番7号
                     医療法人直源会
                      理事長 Y1
            文書 2 (藤沢医科工業)
  当社が、貴組合員X2を平成6年9月30日付けで退職取扱にしたことは、神
奈川県地方労働委員会において労働組合法第7条に該当する不当労働行為と認定
されました。
  今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
   平成 年 月 日
   横浜市保土ヶ谷区岩井町222番地1
   神奈川県医療労働組合連合会
    執行委員長 X8殿
   相模原市南台一丁目4番18-106号
   相模原南病院労働組合
    執行委員長 X3殿
                       町田市原町田三丁目2番7号
                       株式会社藤沢医科工業
                        代表取締役 Y2
5 申立人らのその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  0700 職場規律違反
1102 業務命令違反
直源会は、組合員X1を、同人の配転拒否及び協定成立の条件違反である相談業務を行ったことを理由に解雇したが、配転拒否については地労委のあっせんで解決済みであったこと、相談業務について、同人は必要な範囲内でやむを得ず対応したものであることから、同人の解雇理由に該当する正当事由があったとはいえないとされた例。

1102 業務命令違反
直源会は、組合員X3を、渉外日報及び業務報告の提出の指示に従わなかったことを理由に解雇したが、渉外日報が提出されなかったことによる業務上の支障は明らかではなく、これらの提出を全く督促していないことから、同人の解雇理由に該当する正当事由があったとはいえないとされた例。

0200 宣伝活動
0202 会社施設の利用
0422 実行行為者の責任
直源会は、組合員X4を、本件ビラの記載内容及び配布が正当な組合活動を逸脱しており、直源会の経営する病院の信用・名誉を傷付け、施設管理権を侵すものである等として懲戒解雇したが、本件ビラの内容及び配布は正当な組合活動の範囲内であると判断され、ビラ記載の内容により施設管理権の侵害ないし病院業務の阻害があったとはいえないことから、同人の解雇理由に該当する正当事由があったとはいえないとされた例。

1102 業務命令違反
3500 処分の時期
直源会は、組合員X5ら3名を、同人らが病棟のナースアシスタントへの配転命令に従わないことを理由に懲戒解雇したが、当該配転の必要性が疑わしいところ、X6については選定基準適用の合理性に疑問があるほか、同人らが配転命令を拒否した場合は解雇する旨決定した上で同人らと面接を行い、配転を受けられないと意思表示をした直後に解雇する等、辞令交付前後の直源会の対応を勘案すれば、同人らの解雇理由に該当する正当事由があったとはいえないとされた例。

1101 承認・合意(含退職金等の受領)
組合員X2の退職取扱いについて、同人は直源会職員Y3に対する発言により退職の意思を明らかにしており、同人と会社の間には退職についての合意が成立していたとの会社の主張が、X2の発言は、待遇改善を強く求めるためになされたものと考えられ、これをもって退職の申出と解することはできないとして斥けられた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件解雇及び退職取扱にはいずれも正当な事由がなく、組合の存在及びその活動を嫌悪する直源会らが組合結成を契機に組合を消滅させようと意図し、組合員を職場から排除しようとして行ったものであり、労組法7条1号及び3号に該当すると判断された例。

2301 人事事項
2307 その他
直源会が、組合員X1の配転問題に関する組合の団交申入れに対して回答を行わず、その後、X1に直源会と組合との約束違反があったことを理由に団体交渉を拒否したことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとされた例。

2212 交渉の場所・時間
2213 交渉人数
2215 上部団体参加否認
2231 組合の不誠実
直源会らが、組合員らの解雇問題に関する組合の団交申し入れに対し、上部団体の排除や開催時間及び出席者数の制限あるいは謝罪等の前提条件を提示してこれに応じず、または誠意ある対応をしなかったことが不当労働行為に当たるとされた例。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
不当労働行為と認められる組合員X1らに対する本件解雇はなかったものとして取り扱うのが相当であるので、各人の原職への復帰とバック・ペイを命じることとするが、組合員X1については、同人が原職として所属していた歯科が廃止されていることから、原職相当職への復帰とバック・ペイが併せて命じられた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集112集394頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成10年(不再)第44号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成13年 6月 6日 決定 
東京地裁 平成13年(行ウ)第199号   平成14年 7月 4日 判決 
東京地裁 平成13年(行ク)第148号   平成14年 7月 4日 決定 
 
[全文情報] この事件の全文情報は約524KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。