労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  四国旅客鉄道(香川不採用) 
事件番号  中労委 平成 1年(不再)第117号 
再審査申立人  四国旅客鉄道株式会社 
再審査被申立人  X2 
再審査被申立人  国鉄労働組合四国本部 
再審査被申立人  X1 
命令年月日  平成 8年 6月05日 
命令区分  全部変更(初審命令を全部取消し) 
重要度   
事件概要  国鉄改革の際に、四国管内の国鉄労働組合の組合員であるX1(国労四国地本の役員としてストライキに参画、1ヵ月及び3ヵ月の停職処分を受けている。)及びX2(同僚X3への傷害を理由に6ヵ月の停職処分を受けている。)が採用を希望した四国旅客鉄道株式会社に採用されなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件であり、初審香川地労委の救済命令を不服として、会社から再審査の申立てがなされ、中労委は、<1>不採用に関して不当労働行為が成立する場合には、会社がその責任を負わなければならないとして初審命令の判断を結論において支持し、<2>X1及びX2の不採用について、不当労働行為は成立しないとして、初審命令を取り消した。 
命令主文  初審命令を取り消し、再審査被申立人らの本件各救済申立てを棄却する。 
判定の要旨  4911 解散事業における使用者
日本国有鉄道改革法(以下「改革法」という。)では、設立委員に会社の職員の募集から採用の決定にいたるまでの行為について最終的な権限と責任が与えられており、設立委員のなすべき採用手続の一部を委ねられた国鉄の立場は、設立委員の補助機関の地位にあったものと解されることから、国鉄が行った採用候補者の選定及び採用候補者名簿作成の過程において、労働組合の所属等による差別的取扱いと目される行為があったと判断される場合、その責任は設立委員に帰属させることが法の趣旨に沿うものと解さざるをえないとされた例。

4911 解散事業における使用者
設立委員と会社の関係について、改革法は、会社の職員の採用に関し、設立委員のした行為は会社のした行為とする旨規定している。この規定は、会社の職員の採用に関する設立委員の行為につき、その効果とともに責任も会社に帰属させようとするものといえるから、採用に関する最終的な権限を有する設立委員が負うべき不当労働行為とされる行為の責任は、会社に帰属すると解することが相当であるとされた例。

0421 幹部責任
1401 労務の受領拒否
X1は、国労四国地本の執行副委員長として、ストライキに参画し、業務の正常な運営を阻害したとして、昭和60年3月に1ヵ月及び同61年3月に3ヵ月の停職処分を受けているが、これらの懲戒処分は、当時、公労法下にあって国鉄職員及び組合には争議行為が禁止されていたこと、同人が国労四国地本の執行副委員長として上記ストライキに参画したこと等を併せ考えると、いずれも相当性に欠けるということはできないとされた例。

0700 職場規律違反
1401 労務の受領拒否
X2は、昭和59年2月、同僚X3への傷害を理由に6ヵ月の停職処分を受けているが、この傷害事件は、X3に対して、故なく怒鳴った上、ヘルメットをX3が腰掛けている椅子の前にあるテーブルに叩きつけ、これが跳ね返ってX3に全治1週間の負傷をさせ、その後、さらに、X3の腕をつかもうとして、助役らに制止されたというものであって、当時、国鉄の職場規律の是正・確立が強く求められていたことを併せ考えると、本件停職処分が相当性に欠けるとまでいうことはできないとされた例。

1500 不採用
国鉄が両名を採用候補者名簿に登載しなかったのは、上記の停職処分を受けるような行為をした両名は、会社の業務にふさわしくないとの理由によるものであり、両名が国労組合員であること又は労働組合の正当な行為をしたことによるものとは認められず、国鉄の名簿不登載の結果、設立委員が両名を会社の職員として採用しなかったことをもって不当労働行為とはいえないとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集105集604頁 
評釈等情報  中央労働時報 1996年9月10日 912号 12頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
香川地労委 昭和62年(不)第7号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 1年11月 7日 決定 
東京地裁 平成 8年(行ク)第86号 参加決定  平成 9年 1月29日 決定 
東京地裁 平成 8年(行ウ)第210号 救済命令の全部取消し  平成14年 3月28日 判決 
 
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