労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大久保製壜所 
事件番号  東京地労委 昭和62年(不)第80号 
申立人  大久保製壜所新労働組合 
被申立人  株式会社 大久保製壜所 
命令年月日  平成 2年 3月 6日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  (1)会社の管理職らが従業員に対し、組合大会への参加ないし組合への加入を妨害・阻止する言動を行ったこと、(2)社長、役員、管理職らが、組合からの脱退を勧奨・強要したこと、(3)副委員長X1に対し、上司に反抗的暴力的言動を行ったとして「警告書」を発したこと、(4)会社が「会社の不当労働行為について」、「Y1班長の暴力行為について」、「組合員の配転・出向・研修についての事前協議・同意」の各議題に関する団体交渉に誠実に応じなかったことが争われた事件で、(1)及び(2)については、これら言動による支配介入の禁止及び文書掲示、(3)については、「警告書」の撤回及び文書掲示、(4)については、「会社の不当労働行為について」の不誠実団交の部分に関する文書掲示を命じ、その余の団交議題についての申立ては棄却し、併せて、上記命令の履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社大久保製壜所は、会社役員、管理職および職制らをして、従業員に対し申立人大久保製壜所新労働組合へ加入しないよう働きかけたり、同組合所属の組合員に対して同組合からの脱退を勧奨・強要するなどの言動を行わせることによって、申立人組合の組織運営に支配介入してはならない。
2 被申立人会社は、申立人組合所属の組合員X1に対して発した昭和62年7月29日付「警告書」を撤回しなければならない。
3 被申立人会社は、本命令受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
4 被申立人会社は、第2項および第3項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。
5 その余の申立てを棄却する。
                記
                平成  年  月  日
大久保製壜所新労働組合
 執行委員長 X3 殿
             株式会社 大久保製壜所
              代表取締役 Y2
 当社が行った下記の行為は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会で認定されました。今後このような行為を繰り返さないよう留意します。
                記
(1) 昭和62年5月20日、当社の管理職、職制らが貴組合加入予定の従業員らに対し、組合結成大会への参加を妨害したり、貴組合への加入を妨害したこと。
(2) 昭和62年6月20日から同年7月8日までの間、当社の社長が貴組合の委員長に対し、東京東部労働組合大久保製壜所支部との関係を断ち、かつ貴組合からの脱退と、大久保製壜所労働組合への復帰を勧奨する旨の言動を行ったことをはじめ、当社の専務、管理職、職制らが貴組合所属の組合員らに対し、貴組合からの脱退を勧奨・強要したこと。
(3) 貴組合の副委員長であったX1氏に対し、昭和62年7月29日付「警告書」を発したこと。
(4) 昭和62年5月26日から同年7月28日までの間、貴組合との間で行った「会社の不当労働行為」についての議題に関する団体交渉において、誠実に対応しなかったこと。
(注:年月日は掲示した日を記載すること。) 
判定の要旨  2242 回答なし
会社の極めて明白な不当労働行為について組合から責任を追求されたのに対して、責任を回避する回答をくり返すのみで、事態を打開しようとする態度がみられなかったことが実質的に団交拒否に当たるとされた例。

2249 その他使用者の態度
班長の暴力行為は偶発的なものであって、会社の行為責任を問うのは妥当でなく、本件会社の対応をもって団交拒否であるとまではいえないとされた例。

2249 その他使用者の態度
組合員の配転、出向、研修についての事前協議、同意問題については、団交が平行線をたどったというにとどまり、会社の団交の対応が不誠実であるとはいえないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
会社管理職及び職制らの従業員に対する組合結成大会参加及び組合加入を妨害する言動が支配介入に当たるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社役員、管理職及び職制らが組合員に対して、組合からの脱退を勧奨、強要したことが支配介入に当たるとされた例。

2620 反組合的言動
組合の副委員長X1に対し、上司に反抗的暴力的言動を行ったとする警告書を発したことが支配介入に当たるとされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
管理職及び職制らによる一連の組合加入阻止ないし組合脱退等の言動が、会社の指示に基づき一体となってなされた会社の行為であるとされた例。

4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
本件団交の対象となった会社の一連の行動については支配介入として本件で救済を与えているので、この問題について改めて団交を命ずる必要はないとして、ポスト・ノーティスのみを命じた例。

業種・規模  窯業・土石製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集89集599頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成 2年(不再)第34号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 5年 2月 3日 決定 
東京地裁 平成 5年(行ウ)第10号 請求の棄却  平成 6年 9月 8日 判決 
東京高裁 平成 6年(行サ)第187号 控訴の棄却  平成 7年 2月14日 判決 
最高裁 平成 7年(行ツ)第89号 上告の棄却  平成 7年 9月22日 判決 
 
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