労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大久保製壜所 
事件番号  東京高裁平成 6年(行サ)第187号 
控訴人  大久保製壜所 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  大久保製壜所新労働組合承継人東京東部労働組合大久保製壜所支部 
判決年月日  平成 7年 2月14日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、(1)会社管理職らが、新労組を結成しようとした従業員らに対し、新労組への加入を妨害する言動を行い、また、新労組結成後も組合員に対し、脱退慫慂や強要の言動を行ったこと、(2)班長から暴行を受けた新労組の副委員長に対して、会社が『警告書』を発したこと、(3)新労組の申し入れた『会社の不当労働行為についてを議題とする団体交渉における会社の態度が不誠実であったこと等が不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。初審東京地労委は、これらを不当労働行為であるとして、支配介入の禁止、新労組の副委員長に対して発した『警告書』の撤回及び文書掲示を命じたところ、これを不服として、会社から再審査の申立てがなされ、中労委は、初審東京地労委の救済命令を維持し、再審査申立てを棄却した。会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、平成6年9月8日、会社の請求を棄却した。さらに、会社は、これを不服として、東京高裁に提起していたところ、同高裁は、平成7年2月14日、控訴を棄却する旨の判決を言い渡した。 
判決主文  本件控訴を棄却する。
控訴費用は、控訴人の負担とする。 
判決の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
新労組加入予定者に対し、管理職らが行った新労組結成大会への参加及び新労組への加入を抑制する旨の発言は、個人的関係による言動とは認められず、会社がかねてから嫌悪している東部労組と関係をもつ新組合の結成を好ましくないとして行った支配介入であるとした原判決が相当とされた例。

1400 制裁処分
2700 威嚇・暴力行為
会社が組合執行副委員長X1に警告書を発したことは、偶発的に発生した本件トラブルを理由に警告書を発して組合に動揺を与え、その弱体化を意図した支配介入であるとした原判決が相当とされた例。

2611 その他の従業員の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員が多く入居していた従業員寮に、寮監としてX1を採用して寝泊まりさせたのは、寮の監視を強め、組合員の脱退工作を行わせることを目的としたものとした原判決が相当とされた例。

2611 その他の従業員の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3411 その他の従業員の言動
別組合の副書記長による参加人組合の組合員X2に対する発言は、別労組役員としての立場からなされたものではなく、会社の意を受けて参加人組合の弱体化ないし壊滅させることを意図した支配介入であるとした原判決が相当とされた例。

6140 訴の利益
単に会社・組合間で交渉議題とされなくなってから長期間を経過したというだけでは、団交拒否について救済利益が消滅するものではないとした原判決が相当とされた例。

2249 その他使用者の態度
会社の不当労働行為を議題とする団交に臨む会社の態度が誠意をもって応じたとはいえず、そのことに正当な理由があったとはいえないから、労組法7条2号の団交拒否に当るとした原判決が相当とされた例。

業種・規模  その他の製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集30集63頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地労委昭和62年(不)第80号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 2年 3月 6日 決定 
中労委平成 2年(不再)第34号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 5年 2月 3日 決定 
東京地裁平成 5年(行ウ)第10号 請求の棄却  平成 6年 9月 8日 判決 
最高裁平成 7年(行ツ)第89号 上告の棄却  平成 7年 9月22日 判決