労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  高知県観光 
事件番号  高知地労委昭和63年(不)第1号 
申立人  自交総連高知県観光労働組合 
被申立人  高知県観光 株式会社 
命令年月日  平成 2年 1月11日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)新勤務シフトに違反したとして組合員4名を出勤停止処分に付したこと、(2)組合員に対し有給休暇の休日への振替え及び休日の指定を行ったこと、(3)就業時間内の組合活動のための休務を禁止したこと、(4)就業時間中に組合活動を行った組合員X1を出勤停止処分に付したこと、(5)新賃金計算方式の導入とともに組合員の時間外労働を拒否し、これに反して時間外労働を行った組合員を出勤停止処分及び減給処分に付したこと、(6)組合が新賃金計算方式に同意すれば、非組合員と同一の勤務シフト及び時間外労働を認めるとしたことが争われた事件で、(1)、(4)ないし(6)については、出勤停止処分、減給処分及び時間外労働禁止措置がなかったものとしての取扱い、バックペイ並びに非組合員とは異なる勤務シフトによる勤務をさせる等の差別的取扱いの禁止及び支配介入の禁止を命じ、(2)及び(3)については、申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、次の処分がなかったものとして取り扱い、当該処分がなければ、受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
(1) X1に対する昭和62年4月7日から同月14日まで及び昭和63年3月26日から4月24日までの出勤停止処分並びに同年1月分、2月分及び3月分賃金の減給処分
(2) X2に対する昭和63年5月2日から同月11日までの出勤停止処分並びに同年1月分、2月分及び3月分賃金の減給処分
(3) X3に対する昭和62年4月7日から同月12日まで、同年7月8日から同月21日まで及び昭和63年4月23日から5月2日までの出勤停止処分並びに同年1月分、2月分及び3月分賃金の減給処分
(4) X4に対する昭和62年4月8日から同月15日まで、同年7月9日から同月22日まで及び同年12月18日から同月27日までの出勤停止処分並びに昭和63年1月分及び2月分賃金の減給処分
2 被申立人は、申立人の組合員のみに時間外労働を禁止したり、当該組合員以外の乗務員に認めているものとは異なる勤務シフトによる勤務をさせるなどの差別扱いをしてはならない。
3 被申立人は、昭和62年11月26日以降、X1及びX2にあっては被申立人が同人らを時間外労働に従事させ、かつ、申立人の組合員以外の乗務員に認めている勤務シフトによる勤務をさせる日まで、X3及びX4にあっては被申立人の従業員としての身分を失った日までの賃金相当額(当該期間の賃金として既に支払われた金額(主文第1項により受けることとなる賃金相当額を含む。)を除く。)をそれぞれ、同人らに支払わなければならない。この場合において賃金相当額は、当該期間における各月ごとの申立人の組合員以外の全乗務員(懲戒等により、当該賃金月額が通常の額に満たない者は除く。)の1人当たりの平均賃金月額を基礎に算出するものとする。
4 被申立人は、申立人の組合員のみに時間外労働を禁止したり、当該組合員以外の全乗務員に認めているものとは異なる勤務シフトによる勤務をさせたり、当該組合員に対する昭和62年4月2日及び7月3日の処分や、X1に対する昭和63年3月24日の処分などの差別扱いをして申立人の運営に支配介入してはならない。
5 申立人のその余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
新賃金計算方式への同意がない限り、新々勤務シフト及び新36協定の締結を認めず、組合員に時間外労働をさせなかったことが不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
会社が一方的に変更した勤務シフトに従わず、従来どおりの勤務を続けた組合員を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
就業時間内の組合活動のための休務を認めず、これに反した組合委員長を出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
組合員の時間外労働を禁止し、これに反して時間外労働を行った組合員を減給処分又は出勤停止処分に付したことが不当労働行為であるとされた例。

1600 休暇の取扱い
新勤務シフトに違反したとして組合員が既に取っている有給休暇を休日に振替えたこと及びその後の休日を指定したことが不当労働行為ではないとされた例。

1604 その他
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
就業時間内の組合活動のための休務を禁止したことが不当労働行為ではないとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
依頼退職したX4及び諭旨解雇されたX3の両名については、組合が労働委員会に請求を継続する旨の意思表示をしていることから、被救済利益を失っていないものとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
新勤務シフト及び時間外労働に関する差別扱いに係る賃金相当額は、当該期間における各月ごとの非組合員の全乗務員の1人当りの平均賃金を基礎とするのが相当であるとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集89集51頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
高知地裁平成 2年(行ウ)第1号 請求の棄却  平成 3年 6月18日 判決 
高松高裁平成 3年(行コ)第4号 控訴の棄却  平成 5年 6月22日 判決 
最高裁平成 5年(行ツ)第141号 控訴審判決の一部破棄自判  平成 7年 4月14日 判決 
 
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