概要情報
事件名 |
亮正会高津中央病院 |
事件番号 |
中労委昭和58年(不再)第41号
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再審査申立人 |
医療法人 社団 亮正会 |
再審査被申立人 |
X1 |
再審査被申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 |
再審査被申立人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 |
命令年月日 |
昭和62年 4月 1日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
社団が、(1)支部が行った指名ストは違法であるとして、支部及び参加支部組合員に対して警告書を交付したこと、(2)冬季一時金の団交で新たな条件を提示するなどして妥結を遅延させたこと、(3)副院長らが組合員に対して脱退勧奨等の言動を行ったこと、(4)申立人X1の停年退職に際し、同人を嘱託として採用しなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、警告書による意思表示を撤回する旨の文書の交付、X1の嘱託採用、助産婦への復帰及びバックペイ、不利益取り扱いの示唆、組合脱退勧奨等による支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じた初審命令のうち、救済申立てを取り下げる旨の文書を提出したX1に対する初審命令主文を削り、ポスト・ノーティスを一部変更したほかは、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 本件初審命令主文第2項を削り、第3項を第2項とする。 2 本件初審命令主文第4項を次のとおり改め、同項を第3項とする。 社団は、縦1メートル、横2メートルの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、2号館入口付近の従業員の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。 記 年 月 日 総評全国一般労働組合神奈川地方連合 川崎地域支部 執行委員長 X2 殿 総評全国一般労働組合神奈川地方連合 川崎地域支部高津中央病院分会 執行委員長 X3 殿 医療法人社団亮正会 理事長 Y1 当社団が行った次の行為は、中央労働委員会において不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 (1) 昭和57年11月25日から同年12月7日までの間、当社団は、貴組合から昭和57年冬期一時金の要求がないなどとして貴組合が申し入れた団体交渉に応じないで、一時金の交渉、妥結を遅延させたこと。 (2) 当社団が、昭和57年12月7日、貴組合のストライキに参加した組合員に対し、重大な職場規律違反行為として取り扱う旨の「警告並びに通告書」を交付したこと。 (3) 当社団が、貴組合に加入していると今後就職先はないなどと言って貴組合員の切崩しを図ったこと。 (4) 当社団が、貴組合員X1の停年退職に際し、昭和57年12月16日付けで同人を嘱託として採用しなかったこと。 (5) 当社団が、昭和57年12月14日の団体交渉で、貴組合が既に冬期一時金闘争の収拾を機関決定したことを承知のうえで、再度支給対象者の問題及び三六協定即日締結の問題を提案するなど不誠実な団体交渉態度をとって、冬期一時金の妥結を遅延させたこと。 (6) 当社団が、昭和57年12月18日従業員に同意書を配布し、同意書を提出した非組合員に冬期一時金を支給し、貴組合員の動揺を図ったこと。 3 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
社団側の提示内容に同意した非組合員にのみ一時金を支給し、組合には新たな条件を提示して、妥結を遅延させたことが不当労働行為であるとした初審判断が相当とされた例。
2245 引き延ばし
社団が、団交申入書の要求内容が不明確であることに藉口して、組合との団交開催を故意に遅らせたことが団交拒否とされた。
2244 特定条件の固執
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
社団が、一時金の支給決定以降の団交については新たな条件を提示し、調印を条件に団交に応ずるとの態度は不当労働行為であるとした初審判断が相当とされた例。
1400 制裁処分
2620 反組合的言動
スト参加組合員に「警告書並びに通告書」を交付したことが不当労働行為であるとした初審判断が相当とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
副院長が組合員に対し、組合を中傷・非難したほか、脱退を勧奨する発言が支配介入であるとした初審判断が相当とされた。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
組合のあり方及びストを非難し、当該ストが違法ストであるとした総婦長と婦長との会話が支配介入であるとした初審判断を取り消した。
2610 職制上の地位にある者の言動
2611 その他の従業員の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
婦長が組合を中傷・誹謗する発言を行ったことが支配介入であるとした初審判断を取り消した例。
2611 その他の従業員の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
主任が組合脱退勧奨発言を行ったことが支配介入であるとした初審判断を取り消した例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
定年退職後の嘱託不採用に係る救済申立てにつき、申立人X1は取り下げる旨の文書を提出したことにより、同人の救済利益は放棄したものと解され棄却した。
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
申立人X1が嘱託不採用にかかる救済申立てを取り下げたことにより、救済利益は放棄したと認められるが、一方の申立人である組合の組合活動に対する支配介入については、ポスト・ノーティスを命じた。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集81集587頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1987.6.10 764号 9頁 
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