概要情報
事件名 |
ネッスル |
事件番号 |
静岡地労委昭和58年(不)第4号
静岡地労委昭和58年(不)第5号
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申立人 |
ネッスル日本労働組合島田支部 |
申立人 |
ネッスル日本労働組合 |
被申立人 |
ネッスル 株式会社 島田工場 |
被申立人 |
ネッスル 株式会社 |
命令年月日 |
昭和60年 3月30日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社及び同社島田工場が、申立人組合支部からの団体交渉項目である「年末・年始の休日出勤協定」、「支部組合員X1の工場内配転」等に関する団交申入れに対し、会社には、従前から存在する申立人組合と同一名称の申立外組合一つしか存在しないとして団交を拒否したこと、申立人組合支部の組合員からチェック・オフした組合費を申立外組合支部に交付したことが争われた事件で、会社及び同社島田工場は申立人組合及び同支部は存在しないとの理由で団交を拒否してはならないこと、昭和58年4月分以降のチェック・オフした組合費相当額を申立人組合支部に支払うこと及びポスト・ノーティスを命じ、昭和57年12月ないし同昭和58年3月分の組合費相当額の返還については申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人ネッスル株式会社及び同ネッスル株式会社島田工場は、同工場に関する事項について、申立人ネッスル日本労働組合島田支部から団体交渉の申入れがあったときは、「被申立人ネッスル株式会社には、申立外ネッスル日本労働組合一つしか存在せず、また、被申立人ネッスル株式会社島田工場には、申立外ネッスル日本労働組合島田支部一つしか存在しない。それゆえ、申立人ネッスル日本労働組合島田支部なるものは存在せず、したがって、その団体交渉の申入れに応諾する義務はない。」との理由で、これを拒否してはならない。 2 被申立人ネッスル株式会社は、ネッスル日本労働組合と締結していたチェックオフ協定に基づく、との理由で、申立人ネッスル日本労働組合島田支部所属の各組合員の給与から、組合費をチェックオフしてはならない。 また、昭和58年4月以降の同組合員の給与からチェックオフした組合費相当額を、同支部に支払わなければならない。 3 被申立人ネッスル株式会社及び同ネッスル株式会社島田工場は、この命令交付後速やかに、縦30センチメートル、横60センチメートルの白紙に、下記のとおり楷書で明瞭に墨書し、これを本社及び島田工場の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 ネッスル日本労働組合 本部執行委員長 X2 様 ネッスル日本労働組合島田支部 執行委員長 X3 様 ネッスル株式会社 代表取締役 Y1 ネッスル株式会社島田工場 工 場 長 Y2 当社及び島田工場が、昭和58年6月22日以降の貴組合島田支部からの団体交渉の申入れを拒否したこと、並びに貴組合島田支部に所属する組合員の給与から、昭和58年4月分以降の組合費をチェックオフしたことは、いずれも不当労働行為であると静岡県地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を一切行うことのないよう十分留意します。 4 その余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
2113 交渉団体として不適格
島田工場にはX4を支部執行委員長とする組合支部が一つしか存在せず、申立人組合支部の団体交渉申入れは不適式かつ不適法であるとして応じないことが不当労働行為であるとされた例。
2131 支社等の出先機関
島田工場は使用者ではなく、被申立人適格がないとの主張につき、団体交渉項目の「年末・年始の休日出勤協定」、「支部組合員X1の工場内配置転換」などに関しては、島田工場は、同工場が有する権限に属する事項として団交に応ずることが相当であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が申立人組合支部所属の組合員らの給与から昭和58年4月分以降も組合費のチェック・オフ継続し、同組合支部と対立、抗争している別組合島田支部にチェック・オフした組合費の全額を引き渡した行為は、申立人組合支部所属組合員を不利益扱いし、かつ、同組合支部の財政的基盤の弱体化を図った不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集77集265頁 |
評釈等情報 |
 
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