概要情報
事件名 |
ナトコペイント |
事件番号 |
愛知地労委昭和57年(不)第4号
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申立人 |
総評全国一般愛知県中小企業労働組合連合会名古屋合同支部 |
被申立人 |
ナトコペイント 株式会社 |
命令年月日 |
昭和61年 2月 7日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、書記長ら組合活動家6名に対し配転命令を発したこと、これを拒否し指名ストに入っていた同人らを諭旨解雇したこと、さらに、スト解除後も配転命令に従っていないとして予備的に諭旨解雇したことが争われた事件で、上記6名に対する配転命令及び諭旨解雇処分の撤回、原職復帰・第一次解雇以降のバック・ペイ(年6分加算)の支払い(ただし、仮処分決定に基づく支払済みの金額及びこれに年6分を乗じた金額を控除)、文書手交を命じ、陳謝文の掲示は棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人の下部組織であるナトコ労働組合の組合員X1、X2、X3、X4及びX5 に対する昭和57年5月1日付配置転換命令及び昭和57年5月11日付、昭和58年2月1日付諭 旨解雇処分並びに同組合員X6に対する昭和57年5月1日付転属命令及び昭和57年5月11日付 諭旨解雇処分を撤回し、同人らを原職へ復帰させなければならない。 2 被申立人は、上記X1ら6人に対して、昭和57年5月11日付論旨解雇の日の翌日から原職 に復帰させるまでの間の賃金相当額及びこれに年6分を乗じた金額を支払わなければならな い。 但し、名古屋地方裁判所における仮処分決定に基づく支払済の金額及びこれに年6分を乗 じた金額を控除するものとする。 3 被申立人は、申立人に対し、下記文書を本命令書交付の日から7日以内に交付しなければ ならない。 記 当社が貴組合員であるX1、X2、X3、X4及びX5に対して行った昭和57年5月1日付配置 転換命令及び昭和57年5月11日付、昭和58年2月1日付諭旨解雇処分並びに同組合員X6に対 して行った昭和57年5月1日付転属命令及び昭和57年5月11日付論旨解雇処分は、労働組合 法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると愛知県地方労働委員会によって 認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 昭和 年 月 日 総評全国一般愛知県中小企業労働組合連合会 名古屋合同支部 支部長 X7 殿 ナトコペイント株式会社 代表取締役 Y1 4 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
1102 業務命令違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会書記長ら6名の組合活動家に対する配転(転属)命令が不当労働行為である以上、この命令に従わず指名ストに入った同人らを第1次及び第2次解雇したことも不当労働行為とされた例。
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
分会書記長ら組合活動家6名に対する勤務地の変更を伴う等の配転(転属)命令は、合理性が認められないこと、会社は分会の公然化以来、分会を嫌悪してきたことからみて不当労働行為とされた。
4408 バックペイが認められなかった例
諭旨解雇に対する救済としてバック・ペイを命ずるにあたり、仮処分決定に基づき既に支払っている金額を差し引くのが相当であるとされた例。
4825 その他
人事労務係長及び経理係長は、職務内容及び職務権限からみて労組法2条但書1号にいう使用者の利益を代表する者に該当すると認められないとして、同人らの参加する申立人組合の申立人適格を認めた例。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集79集184頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 杉浦豊 1986年4月10日 1141号 60頁 
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