労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  昭文社 
事件番号  東京地労委 昭和56年(不)第105号-1 
申立人  出版労連昭文社労働組合 
被申立人  株式会社 昭文社 
命令年月日  昭和57年11月 2日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  組合結成直後、全従業員に配布した「取締役見解」等の会社文書において、組合執行部への非難・中傷等を行ったことが争われた事件で、一部の文書について不当労働行為と判断し、文書による支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、残りの文書については不当労働行為ではないとして、申立てを棄却した。 
命令主文  主   文
1 被申立人株式会社昭文社は、「取締役会見解」等の文書で、申立人出版労連昭文社労働組合の執行部を非難・中傷したり、同組合執行部内の対立をあおったり、同組合の内部運営ないし財政運営の問題に容喙したりしてはならず、また、このような内容の文書をひろく従業員に配布することによって、申立人組合の運営に支配介入してはならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社5階および8階の各入口の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
             記
                  昭和 年 月 日
 出版労連昭文社労働組合
 執行委員長 X1 殿
               株式会社 昭文社
                代表取締役 Y1
 当社が、昭和56年4月14日付「取締役会見解NO.5」、同年4月16日付「取締役会見解NO.7」、同年4月20日付「取締役会見解NO.9」、同年4月21日付「取締役会見解NO .10」および同年5月12日付「取締役会声明NO .11」の各文書において、貴組合を誹謗・中傷したことならびにこれらの文書を全従業員に配布したことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。
 今後このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注、年月日は文書を掲示した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、前項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。
4 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  2620 反組合的言動
全従業員に配布した「取締役会見解」等の文書のうち2つは、「会社に挑戦的な要求」、「暴力的多人数による長時間拘束」等と一部不穏当な表現がみられるものの、全体としては会社組合間の一般論を披瀝したものであること、荒れた団交についてその経過を明らかにすることに終始していることからみて、これらの文書配布はいずれも組合に対する支配介入とまではいえない。

2620 反組合的言動
会社経営の問題を報告した「取締役会見解」において、「自分達の都合の悪いことは一切組合員にも知らせない組合執行部」というように組合内部問題に容喙したり、「現執行部には、企業の何たるかをも知らぬ人々の集団」等と組合を誹謗・中傷をしていることが、一般従業員のなかに組合批判の風潮を醸成させるとともに、一般組合員と執行部とを離反させることを狙った支配介入である。

2620 反組合的言動
2624 組合人事への干渉
団交実施中に配布した「取締役会見解」の文書において、「はねあがり者達とは現組合執行部であり、更に分析するなら、現組合執行部の中の数名の者達です」として組合が少数の者に牛耳られているときめつけ、さらに「はねあがり者達」の統率力のなさを非難して「暴走族」と同様の「無法集団」呼ばわり等して非難中傷をしたことが組合執行部の内部対立をあおる攻撃を加えたものであるとともに、従業員の中に組合批判の風潮を醸成させ、一般組合員と執行部とを離反させることを狙った支配介入である。

2620 反組合的言動
2624 組合人事への干渉
組合が行った時限ストの情況を報告した「取締役会声明」において、組合の内部問題及び組合の財政運営上の問題について容喙していることが、いずれも組合に対する内政干渉であり、従業員の中に組合批判の風潮を醸成させ、一般組合員と執行部とを離反させることを狙った支配介入である。

2620 反組合的言動
全従業員に配布した「取締役会声明」の文書において、「組合の名を借りた烏合の衆」、「子供じみた、何か特定の思想のために活動したがる労働組合は嫌いです」等と述べたことについて一部、中傷ないし揶揄的表現が認められるものの、全体として組合のストに対する会社の基本的主張を述べたものであることからみて、支配介入になるとまでは断定し難い。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集72集397頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地労委 昭和56年(不)第105号-2 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和58年12月 6日 決定 
中労委 昭和59年(不再)第2号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和60年 8月 7日 決定 
東京地裁 昭和60年(行ク)第131号 一部認容  昭和61年 3月20日 決定 
 
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