労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  聖光学院 
事件番号  神奈川地労委 昭和56年(不)第5号 
神奈川地労委 昭和56年(不)第16号 
神奈川地労委 昭和56年(不)第20号 
申立人  聖光学院教職員組合 
申立人  X1 
被申立人  学校法人 聖マリア学園 
命令年月日  昭和57年10月14日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  元執行委員である組合員X1について、(1)県教職員庭球大会案内書の配布をめぐって校長を誹謗するなど服務規律違反があったとして譴責処分に付したこと、(2)譴責処分の際にあわせて命じた始末書の不提出を理由に減給処分に付したこと、(3)国体庭球選手強化合宿及び国体参加のための休暇を承認せず、承認が得られないままの合宿参加を無断欠勤として扱ったこと、さらには(4)譴責処分に関する団交を拒否したことが争われた事件で、両処分の取消し、減給金額の返還、「無断欠勤」ないし「欠勤」としての取扱いを有給休暇として取り扱うこと並びにこれらに関するポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  主   文
1 被申立人学園は、申立人X1に対して昭和56年3月14日付けでなした譴責処分を取り消さなければならない。
2 被申立人学園は、申立人X1に対して昭和56年4月6日付けでなした減給処分を取り消し、この減給処分に係る減給金額 5,900円を申立人X1に支給しなければならない。
3 被申立人学園は、申立人X1に係る昭和56年10月2日の取扱いについて、「無断欠勤」ないし「欠勤」として取り扱ってはならず、有給休暇として取り扱わなければならない。
4 被申立人学園は、本命令交付後速やかに下記文書を聖光学院中学校及び聖光学院高等学校の職員室内及び事務室内の見やすい場所に1週間掲示しなければならない。
                記
 当学園が行った次の行為は、神奈川県地方労働委員会によって労働組合法第7条に該当する不当労働行為と認定されました。貴組合及び組合員X1氏に対して遺憾の意を表すとともに、今後、このような行為を繰り返さないことを約束いたします。
1 貴組合組合員X1氏に対して昭和56年3月14日付けで譴責処分を行ったこと及びこの譴責処分問題についての貴組合からの団体交渉の申込みを拒否したこと。
2 貴組合組合員X1氏に対して昭和56年4月6日付けで減給処分を行ったこと。
3 貴組合組合員X1氏が、昭和56年10月13日から同月18日まで開催された第36回国民体育大会の庭球競技に神奈川県代表選手として、神奈川県体育協会によって決定されたのに対して、同氏から選手強化合宿ないし同大会参加のための欠勤承認申請及び有給休暇申請がなされたにもかかわらず、正当な理由なくこれを拒否したこと。
4 貴組合組合員X1氏が欠勤承認申請のうえ国民体育大会選手強化合宿に参加した昭和56年10月2日について無断欠勤として取り扱ったこと。
  昭和57年 月 日
   聖光学院教職員組合
    執行委員長 X2 殿
    組合員   X1 殿
          学校法人 聖マリア学園
           理事長 Y1
           理事  Y2 
判定の要旨  1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
県教職員庭球大会案内書の配布をめぐって、校長に対する誹謗、生徒に対する反教育的行為があった等として、元執行委員である組合員X1を譴責処分に付したことが、X1の言辞に多少の礼譲に欠けることがあったにせよ、学園のX1に対する懲戒処分は根拠に乏しく、手続においても慎重さに欠けたものであって、組合を敵視し嫌悪する学園がX1を不利益取扱いするとともに、それによってひいては組合の弱体化を意図した不当労働行為である。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
譴責処分の際にあわせて命じた始末書の提出を拒否したことを理由とする減給処分が、譴責処分そのものが不当な行為であることから減給処分もまた不当労働行為である。

1600 休暇の取扱い
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1の国体庭球選手強化合宿及び国体参加のための欠勤承認申請及び有給休暇申請を教育上支障があるとして承認せず、承認が得られないままの合宿参加を無断欠勤として扱ったが、時季変更権を行使する特別の理由もないのにあえて、行使し、有給休暇を認めないのは、組合員X1の国体参加を阻止するところにあり、教育上の支障はその口実に過ぎないものであって、組合員X1に対する差別的取扱いであり、組合の弱体化を意図した不当労働行為である。

2301 人事事項
X1に対する譴責処分は個人的な服務規律違反に関する処分であって労働問題ではない等として組合員X1に対する譴責処分に関する団交を拒否したが、処分理由のなかには組合員X1の身に覚えのない事実も含まれているから、組合員であるが故の懲戒処分であると組合が疑うのは当然であって、組合嫌悪、組合活動抑制の意図から発した不当労働行為であるとされた。

4503 他の救済との関係で団交の必要性を認めなかった例
組合員X1に対する譴責処分及び減給処分に関し、これらの処分を不当労働行為と認定し、その取消しを命じた以上、改めて当該処分に関する団交を命ずる必要は消滅したとしてポスト・ノーティスのみを命じた。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集72集350頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
横浜地裁 昭和58年(行ク)第3号 全部却下  昭和58年 3月 8日 決定 
東京高裁 昭和58年(行ス)第9号 全部認容  昭和58年 5月20日 決定 
最高裁 昭和58年(行ト)第12号 全部却下  昭和58年 7月15日 決定 
 
[全文情報] この事件の全文情報は約252KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。