労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日野車体工業 
事件番号  石川地労委昭和50年(不)第5号 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部 
申立人  日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部日野車体工業支部 
被申立人  日野車体工業 株式会社 
命令年月日  昭和52年 8月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  別組合に実施した賃上げ、一時金の支給について、交渉未妥結を理由(会社は妥結月からの賃上げ実施を主張して妥結できなかった)に申立組合員には旧賃金を支給するのみで賃上げ、一時金の支給を行わなかった(仮払いは実施)事件で、49年度・50年度賃金引上げの遡及実施、同賃上げ後の本給による49年度・50年度夏季、年末一時金の支給(それぞれ年5分の割合による金員を付加)、文書による履行状況報告を命じ、謝罪文の提出、掲示及び新聞掲載は棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員(対象人員36名)に対し、昭和49年度賃金引上げ分として、平均本給の31.05 %(25,060円)を、一律30%、給与割30%、考課割30%、是正10%に配分し、同49年4月度に遡及し、かつ、同50年5月1日以降支払済に至るまで年5分の割合の金員を付加して支給しなければならない。但し既に支払われた賃金引上げ分相当額並びに同支払済み賃金引上げ分相当額に対する同支払日の翌日以降の年5分の割合の金員はこれを控除するものとする。
2 被申立人は、申立人組合員(対象人員35名)に対し、昭和50年度賃金引上げ分として、平均本給及び家族手当引上げ平均額の合計額の14.002%(13,637円)を、一律30%、給与割30%、考課割30%、是正10%に配分し、同50年4月度に遡及し、かつ、同50年5月1日以降支払済に至るまで年5分の割合の金員を付加して支給しなければならない。但し、既に支払われた賃金引上げ分相当額並びに同支払済賃金引上げ分相当額に対する同支払日の翌日以降の年5分の割合の金員はこれを控除するものとする。
3 被申立人は、前記1の申立人組合員に対し、昭和49年度夏季一時金として、前記1の賃金引上げ後の本給月額の2.6 カ月分及び同年度年末一時金として、同上の本給月額の2.54カ月分を、本給比例配分により、かつ、昭和50年5月1日以降支払済に至るまで年5分の割合の金員を付加して支給しなければならない。但し、既に支払われた一時金相当額並びに同支払済み一時金相当額に対する同支払日の翌日以降の年5分の割合の金員はこれを控除するものとする。
4 被申立人は、前記2の申立人組合員に対し、同50年度夏季一時金として前記2の賃金引上げ後の本給月額の2.54カ月分及び同年度年末一時金として同上の本給月額の2.645 カ月分を本給比例配分により、かつ、前記夏季一時金並びに年末一時金が、日野車体金沢工場労働組合に支払われた日の翌日以降支払済に至るまで年5分の割合の金員を付加して支給しなければならない。但し、既に支払われた一時金相当額並びに同支払済み一時金相当額に対する同支払日の翌日以降の年5分の割合の金員はこれを控除するものとする。
5 被申立人は、上記1.2.3.4 の命令実施後、その履行状況をすみやかに、当委員会に、文書をもって報告しなければならない。
6 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2244 特定条件の固執
2250 未妥結・打切り・決裂
 組合の賃上げ要求に対し会社が妥結を早める方策として妥結月実施という提案をすることは、交渉のかけひきとして必ずしも違法とはいえないが、そのような提案は組合分裂までは一度もなく、また、従来妥結が遅れても常に4月に遡及実施されていたこと等から遡及実施が慣行化されていたと考えられ、さらに組合が妥結月実施以外は会社提案どおりでよいと回答した後も妥結月実施に固執し未妥結を理由に長期間旧賃金を支給したことは、未妥結に籍口して、組合員に経済的不利益を加えたものと判断するのが相当である。

5200 除斥期間
 49年度賃金改訂に関する会社の不当労働行為意思を推認するに足る事実の発生は、組合が妥結月実施以外は会社回答どおり受諾する旨を主張したにもかかわらずなお妥結月実施にこだわった時点(50年4月30日)と思慮されることから本件申立ては除斥期間に抵触しない。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
4413 給与上の不利益の場合
 組合の年7分の利息を付加しての賃上げ分及び一時金支払い請求に対し、年5分の割合の遅延損害金が相当であるとされた例。

業種・規模  輸送用機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集62集156頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
金沢地裁昭和52年(行ウ)第5号 請求の棄却  昭和58年 8月19日 決定 
名古屋高裁昭和58年(行コ)第2号 一審判決の一部取消し  昭和59年 7月11日 判決 
最高裁昭和59年(行ウ)第297号 上告の棄却  昭和61年 9月16日 判決