概要情報
事件名 |
中央観光バス |
事件番号 |
中労委昭和50年(不再)第82号
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再審査申立人 |
中央観光バス 株式会社 |
再審査被申立人 |
中央観光労働組合 |
命令年月日 |
昭和51年10月20日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
別件事件の和解で職場に復帰した組合員に対し、乗務担当車及び運行先の割当て差別、利益還元賃金制度の導入に応じない組合員の賃金に格差を設け、さらに年末一時金を支給しなかった事件で、同人らの原職復帰以前に入社していた乗務員と同等の担当車及び運行先の割当て、新賃金制度を適用したものとして算出した賃金差額相当分の支払い、ポスト・ノーティスを命じた初審命令のうち、賃金差額相当分の支払いについては年末一時金相当額の支給のみとし、ポスト・ノーティスについてもこれに関する部分などを変更した。 |
命令主文 |
1 初審命令主文第2項を次のように変更する。 再審査申立人は、昭和49年年末一時金相当額としてX1に対し金 268,500円、X2に対し金 268,150円を支払わなければならない。 2 主文第3項中、「鶴見車庫入口」とあるのを「門真営業所入口」に、記の記の2「昭和49年8月分から同50年1月分までの賃金支給において不利益に取り扱ったこと」とあるのを「昭和49年年末一時金を支給しなかったこと」と改める。 3 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
利益還元賃金制度に反対し従来の賃金制度の適用を受けている申立組合の委員長と書記長に対し、従来支給していた年末一時金を支給せず、また、賃上げも行わないことによって賃金に著しい格差を生じさせており、このような不利益取扱をすることにより、組合脱退、新賃金制度へ移行を図ろうとしたものであるから、不当労働行為である。
1302 就業上の差別
2901 組合無視
観光バス業界では、通常入社順位の古い乗務員から性能の高い車が割当てられており、会社においてもほぼ同様の取扱であったと推認される。組合委員長と書記長は最も古参の乗務員であり、乗務についての事故もなく技能等についても問題となる点があったとは認められないのに、乗務担当車として低性能車を割り当てたことは不当労働行為である。
4407 バックペイの支払い方法
4413 給与上の不利益の場合
新賃金制度に反対し従来の賃金制度の適用を受けている申立組合委員長と書記長に対する一時金の不支給等の不利益取扱いにかかる救済方法につき、新賃金制度を適用した形での賃金是正を命じた初審命令は相当でなく、両名に適用されている賃金制度下で年末一時金を支給しないことを是正するのが相当である。従来会社の年末一時金は、同業6社の妥結平均額とほぼ同額を支給していたことなどからみて、両名の年末一時金の額は同業6社の妥結平均額をもって相当であると判断される。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集60集447頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1977年 5月10日・ 6月25日 928.9号 137頁 
労働判例 1977年 4月 1日 268号 67頁 
中央労働時報 1977年 1月10日 597号 14頁 
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