概要情報
事件名 |
中央観光バス |
事件番号 |
大阪地労委昭和50年(不)第7号
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申立人 |
中央観光労働組合 |
被申立人 |
中央観光バス 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年11月25日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
別件事件で職場に復帰した組合員に対し、乗務担当車及び運行先の割当差別、利益還元賃金制度の導入とこれに応じない組合員の賃金に格差を設け、年末一時金を支給しなかった事件で、同人らの原職復帰以前に入社していた乗務員と同等の担当車及び運行先の割当、賃金格差分の支払を命じポスト・ノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1及びX2に対して、同人らの原職復帰の日以前に被申立人会社に入社し ていた乗務員が現に乗務担当している観光バスと同等の観光バス及び運行先を割当てなけれ ばならない。 2 被申立人は、昭和49年8月分から同50年1月分までの賃金の差額相当額として、X1に対 し金 339,579円、X2に対し金 365,968円を支払わなければならない。 3 被申立人は、縦1m×横2mの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社本社 正面玄関付近及び鶴見車庫入口付近の、それぞれ従業員の見やすい場所に、10日間掲示しな ければならない。 記 年 月 日 申立人組合代表者あて 被申立人会社代表者名 当社が、貴組合員X1氏及び同X2氏に対し、下記行為を行い、もって同氏らを不利益に 取り扱うとともに貴組合を壊滅させようとしたことは労働組合法第7条第1号及び第3号に 該当する不当労働行為であることを認め、ここに深く陳謝しますとともに、今後このような 行為を繰り返さないことを誓約いたします。 記 1観光バス及び運行先の割当において不利益に取り扱い、特別収入額を低額ならしめたこと 2昭和49年8月分から同50年1月分までの賃金支給において不利益に取り扱ったこと 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。 4 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
組合員2名が契約期間1年を前提とした利益還元賃金制度の契約に応じないのは同制度が同人らを企業外に排除し、組合の壊滅を狙ったものであること等によるものであって正当理由があり、同人らに現に支払われた賃金額と新制度を適用した場合の賃金額との格差は、同人らがあくまで組合にとどまり、新制度の契約を拒否したことによって生じたもので同人らを不利益に取扱い、組合の壊滅を企図したものと判断するのが相当である。
1302 就業上の差別
2901 組合無視
別件事件の和解で、職場に復帰した組合員2名に対して長期間にわたって、従来新入乗務員に割当てられていた低性能バスとか通勤バスを割当てたこと、途中から代務としたこと、観光バス業界は入社順位の古い乗務員から高性能車が割当られていること等を勘案すると、同人らの乗務担当車の割当並びにそれに付随する運行先の決定について非組合員乗務員とことさら区別したことは、同人らを不利益に取扱い、これを通じて組合の壊滅をはかろうとした不当労働行為である。
4413 給与上の不利益の場合
観光バス運行に際して乗務員が乗客等から受領するチップ等の特別収入は、会社の乗務担当車割当並びにそれに伴う運行先の指示によって決定的に影響をうけるがそれ自体は会社が支給しているものではないから、会社に対して組合員2名に他の乗務員との特別収入額の差額相当額の支払いを命じることはできず、この点に関する組合の請求は棄却せざるを得ない。
4407 バックペイの支払い方法
利益還元賃金制度の適用を受けなかったことによって生じた賃金格差の是正として、当該組合員に同制度を適用し、同人らの月平均走行キロ数によって算出した賃金差額相当額の支払いを命じるのが合理的であり、また年末一時金相当額はこれに含まれているので、これを別個に救済する必要は認めない。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集57集231頁 |
評釈等情報 |
 
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