労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  池上通信機 
事件番号  神奈川地労委昭和48年(不)第13号 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方本部 
被申立人  池上通信機  株式会社 
命令年月日  昭和50年 4月11日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  団交未妥結を理由とする年末一時金不支給、会社役員の組合幹部批判の言動、鉢巻及び組合旗のとりあげ等をめぐる事件で、年末一時金の支給、鉢巻・組合旗の返還、ポスト・ノーティスを命じた。 
命令主文  主      文
1 被申立人会社は、その従業員たる申立人組合に対し、昭和48年年末一時金について平均   2.8箇月を下らない額をただちに支給しなければならない。
2 被申立人会社は、その保管する申立人組合又はその組合員所有の旗一流及び鉢巻2本をた だちに返還しなければならない。
3 被申立人会社は、本命令交付後1週間以内に下記誓約書を申立人組合に手交するととも  に、縦・横1m以上の白紙に鮮明に墨書して被申立人会社藤沢工場正門傍らに掲示後1週間に わたって破損することなく掲示しなければならない。
                 誓  約  書
  池上通信機株式会社は、貴組合又はその組合員に対し、昭和48年年末一時金を支給せず、 組合旗及び鉢巻をとりあげて長期間返還せず、また、会社幹部が中傷誹謗的発言をなす等の 不当労働行為を行ったことを認め、今後このような行為をしないことを誓約します。
                               昭和 年 月 日
   総評全国一般労働組合神奈川地方本部
    執行委員長 X1 殿
   同湘南地域支部池上通信機藤沢分会
    分会長 X2 殿
                            池上通信機株式会社
                             代表取締役社長 Y1 
判定の要旨  0210 リボン・ワッペン等の着用
3020 組合活動への制約
組合の鉢巻着用闘争は、会社の団交拒否の態度に抗議してなされたもので、その鉢巻も特別奇異なものでもなく職場秩序を乱したとも認められないので、組合活動の範囲を逸脱したものではない。したがって、会社職制が個々の分会員に対し直接鉢巻を取り外すよう干渉し、無理やり取上げ、返還しないことは支配介入である。

1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
年末一時金未妥結の原因は会社が団交に応じないためであって妥結しないから支払わないとする会社主張は容認できず、また組合としては妥結の見通しがたたないため暮が押し詰まった時点で止むを得ず非組合員と同率分の仮受領を申入れたのに対し、これをも拒否したことは組合員を故意に差別するものであり、組合弱体化を意図した不当労働行為である。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
社長が分会役員、会社幹部を集めた席上で組合執行委員長らを公然と誹謗、中傷し、組合を非難したことは、経営のトップとして当然な内容のものとは認められず、会社代表者たる者のかかる場での発言は、社長個人の私的な所信表明とは認められない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
会社専務が、社長の組合幹部を誹謗、中傷した発言を録音し、工場の全従業員を集めてこれを聞かせたうえで解説を加え、会社の組合敵視の態度を明確にしたことは、非組合員に組合に対する警戒心を植えつけ、組合員に不安と動揺を与え、組合の弱体化をねらった支配介入である。

3020 組合活動への制約
工場正門脇に立てた組合のシンボルである分会旗を撤去し、返還すればまた立てるとの理由のみで、これを組合に返還しないことは支配介入である。

4413 給与上の不利益の場合
会社が一時金の平均支給月数は2.4ヶ月プラスαと発表しながら実際にはF工場の非組合員には2.8ヶ月分を支給しているとの組合主張について会社は、F工場の非組合員は査定の上で良好なものであったと主張するのみで、組合員と同程度の者の一時金支給実態について何らの疎明もしなかったので、組合の主張を認めざるを得ない。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集55集436頁 
評釈等情報  労働判例 昭和50年 8月 1日  227号 51頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和50年(不再)第38号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和51年 2月18日 決定 
東京地裁昭和51年(行ク)第84号 全部却下  昭和53年 5月24日 決定 
東京地裁昭和51年(行ウ)第52号 救済命令の一部取消し  昭和53年 5月24日 判決