概要情報
事件名 |
総合花巻病院 |
事件番号 |
岩手地労委昭和45年(不)第5号
|
申立人 |
花巻病院労働組合 |
申立人 |
X1 |
被申立人 |
財団法人 総合花巻病院 |
命令年月日 |
昭和50年 2月19日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
組合の上部団体加盟阻止、病院施設利用拒否および組合副委員長の解雇等をめぐる事件で、原職復帰、バック・ペイ、施設利用拒否の禁止及び誓約文の手交を命じ、上部団体加入を妨害しないことの不作為命令及びポスト・ノーティスの請求については棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人X1に対する昭和45年11月6日付解雇を取消し原職に復帰させるとと もに、解雇の日から原職復帰にいたる間同人が受ける筈であった賃金及び諸手当相当額を支 払わなければならない。 2 被申立人は、従来の労使慣行を無視して特段の理由もなく申立人花巻病院労働組合の被申 立人病院施設の利用を拒否してはならない。 3 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に申立人花巻病院労働組合に対して下記内容を 記した文書を交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 花巻病院労働組合 執行委員長 X1 殿 財団法人 総合花巻病院 理事 Y1 財団法人総合花巻病院は、岩手県地方労働委員会の命令により (イ) 当時花巻病院労働組合の副執行委員長であったX1を解雇し (ロ) 花巻病院労働組合が上部団体に加入することを妨害しようとしたり (ハ) 従来の労使慣行を無視して特段の理由もなく花巻病院労働組合の病院施設利用を拒 否したり などした行為がいずれも不当労働行為であったことを認め、今後この種の行為を繰返さな いことを誓約します。 以 上 4 申立人等のその余の申立は、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0700 職場規律違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3602 違法・不当な行為に使用者側にも責任がある場合
浴室のボイラー管理を担当していたX2が、女子患者入浴中浴室に出入りするなど病院職員としての適格性を欠くとして解雇されたことは、もともと女子で足りるボイラー係をX2が勤めていたことに病院側にも責任があり、その他諸般の事情からすれば、ただちに同人を極刑たる解雇にする理由に乏しく、X2を重宝して特別に目をかけてきた病院長の意図に反して、X2が組合の上部団体加盟阻止の努力をしなかったり、病院の嫌悪する上部団体加盟下の組合副執行委員長として組合活動することを嫌ってなした不当労働行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
組合が上部団体に加盟した前後において、病院長が組合三役や年輩の組合員に対して加盟阻止を働きかけた発言は、それらの者の立場からする発言力に期待し、また病院長たる地位の無形の圧力を考慮に入れて組合が上部団体に加盟しないことの結果を具体的に求めたものというべきであるから、明らかに言論の自由の範囲を越えた不当労働行為である。
2620 反組合的言動
2801 団体運営に関する補助金支給
病院長が書記長には出産祝等の趣旨であるとして、また副執行委員長には新築祝等の趣旨であるとしてそれぞれに高額の金員を提供したことはそのような前例がないこと、組合結成前後を通じて病院長の組合三役に対する上部団体加入阻止の言動等に照らすと、利益誘導をもって組合の上部団体加盟を阻止しようとしたものと認められ、組合がその後上部団体に加盟したことにより結果的には組合の運営を支配するまでに至らなくても介入すること自体不当労働行為であることはいうまでもない。
3020 組合活動への制約
従来組合は病院施設利用についてその都度病院の許可を得ていたところ、副院長が労務担当理事になった直後病院は労使慣行を無視し病院施設を組合に利用させないことにしたことは、当該労使関係に組合の上部団体が介入することに対抗しようとしたほかは特設の事情変更が認められないから、組合の運営に対する支配介入である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2611 その他の従業員の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
給食係主任が同職場従業員数名に対し組合脱退、当該病院を守る会加入を慫慂したこと、農場主任が料亭での会合において組合員数名に対し組合脱退を条件として金員提供の話をしたことについて病院の指示を受けたと信じるに足る裏付けがなく、財政的支援が病院または病院長によってなされたとの疎明もないから、病院の支配介入行為と断定できない。
|
業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集55集172頁 |
評釈等情報 |
 
|