労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  星ケ丘病院 
事件番号  中労委昭和47年(不再)第3号 
再審査申立人  社会法人 全国社会保険協会連合会 
再審査被申立人  健康保険星ケ丘病院労働組合 
命令年月日  昭和48年 6月 6日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  夏期一時金についての団交、抗議行為および48時間スト夜勤ストにおける組合および組合員の行為を理由に、昇給停止処分、戒告処分に付した事件で、昇給停止処分の取消し、バックペイ、戒告処分の取消しおよび陳謝文の手交を命じた初審命令を支持して再審査申立てを棄却した。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  0204 団交・争議に付随する行為
2235 その他組合の態度
3700 使用者の認識・嫌悪
一時金交渉に多数の組合員が傍聴し、交渉が喧噪、長時間にわたったとしても、多数の傍聴者が参加する交渉が慣行化しており、また、組合の行き過ぎ行為が使用者の硬直的態度に起因するものと認められるので、これをもって組合活動の正当性の範囲を逸脱したものとは認められない。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
0204 団交・争議に付随する行為
2235 その他組合の態度
組合員が勤務に支障がないような方法で職場を離脱して団交を傍聴することが慣行化していること、使用者が慣行是正について格別の努力を払うことなく、一方的に慣行破棄の態度に出たこと、具体的な業務上の支障が生じていないこと等からみて、本件職場離脱は正当な組合活動と認められる。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
2235 その他組合の態度
一時金交渉における組合の抗議行動は、使用者の一方的な態度に起因したものであり、かつ格別暴行脅迫に類する行為を伴ったとも認めされないので、本件行動は、正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認められない。

0204 団交・争議に付随する行為
1400 制裁処分
組合員X1の問責理由である副院長あるいは次長の退去阻止行為をみると、病院側にも手落ちが認められ、あるいは一時金交渉の早期解決を図るための交渉続行を求める意思表示とも認めされるので、正当な組合活動というべく、これを理由とする懲戒処分は不利益扱いである。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
1400 制裁処分
3600 処分の差別
組合員らの大衆団交出席のための職場離脱が正当な組合活動と認められるのみならず、当日の団交に参加した組合員については何ら問責しなかったにもかかわらず、ことさら同人のみを懲戒処分に付したことは不利益扱いといわざるを得ない。

0413 ストライキ(含部分・指名スト)
0417 法令・協約・信義則違反
保安要員を提供せずに行なったストライキは、保安要員の数につき病院側の不誠意な交渉態度により協議が調わないまま時間ぎれとなりストが実施されたこと、組合は救護班の設置等安全確保に配慮していたこと等からみて、正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認められない。

0204 団交・争議に付随する行為
0205 第三者・取引先等への働きかけ
0420 その他の争議行為
スト突入と同時に、組合員が病棟内に立入り、患者にビラを配付し、代替要員に質問をしたことは、その目的が、患者の支援を得ることや、スト破り対策のためと認められ、その時間も安静時間を避けるなど業務妨害の事実も認められないから、とくに行きすぎた行為とは認められない。

0420 その他の争議行為
組合が、病客受付カウンター前に多数のビラを貼付したことは、その内容が一時金に関する病院の態度を非難する趣旨のものであり、貼付方法も原状回復が容易であり建造物を毀損しその効用を減損したものとは認められないから、正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認められない。

0200 宣伝活動
0202 会社施設の利用
0203 職場闘争と業務妨害
玄関ロビーにおける集会で、マイクを用いて演説や労働歌を合唱したことが多少喧噪にわたったとしても、入院患者に影響を与えたり、外来患者との間にトラブルが発生したわけでもないので、病院という特殊な職場環境を考慮に入れても未だ正当な組合活動の範囲を逸脱したものとは認めがたい。

0411 怠業
0417 法令・協約・信義則違反
0421 幹部責任
1400 制裁処分
3102 争議対抗手段
保安要員を提供せずに行なったストライキが、正当性の範囲を逸脱したものとは認められない以上、スト中の組合員に対して就労命令を発したことは問題であり組合幹部を業務命令違反として処分することは誤りである。

0413 ストライキ(含部分・指名スト)
0417 法令・協約・信義則違反
組合が夜勤スト中における患者の生命・身体の安全保持について十分配慮していたことが認められ、しかも、この間の保安業務は、病院が手配した代替要員らによって維持され、かつ、患者の生命・身体の安全に危険が生じた事実もないので、本件ストが適法の限界を越えたものとは認められない。

0411 怠業
1400 制裁処分
3102 争議対抗手段
会社が、スト中に発した就労命令を拒否したことを理由に婦長である組合員2名を懲戒処分に付したことは、本件ストが正当性の範囲を逸脱したものでないこと、監督的地位にある者といえども組合員である以上組合決定に従って行動すべきであることから、当を得ないものというべきである。

3102 争議対抗手段
3800 行為の結果・その他
病院がすでに代替要員を手配済みであったにもかかわらず、25名におよぶ多数の組合員に業務命令を発したことは、保安協定に関する団交の前日になされているうえ、組合員に大きな影響を与えていることなどからみて、組合員のスト脱落を意図した支配介入行為といわざるを得ない。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集50集489頁 
評釈等情報  労働法律旬報 1974. 3.25  853号 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地労委昭和44年(不)第39号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和46年12月27日 決定 
東京地裁昭和48年(行ウ)第110号 請求棄却・訴えの却下  昭和50年10月24日 判決 
東京高裁昭和50年(行コ)第64号 控訴の棄却  昭和53年 5月17日 判決