概要情報
| 事件番号・通称事件名 |
東京高裁令和6年(行コ)第293号
労働委員会救済命令取消請求控訴事件
|
| 控訴人 |
X支部(「組合」)
|
| 被控訴人 |
国 (処分行政庁 中央労働委員会) |
| 被控訴人補助参加人 |
Z会社 |
| 判決年月日 |
令和7年6月19日 |
| 判決区分 |
棄却 |
| 重要度 |
|
| 事件概要 |
1 本件は、会社が、組合員A2に対し、刑事事件の共犯者として逮捕及び起訴されたことを理由として解雇したこと(本件解雇)が不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事案である。
2 大阪府労委は、本件申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。
3 中労委は組合の再審査申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起した。同地裁は組合の請求を棄却した。
4 組合はこれを不服として、東京高裁に控訴したところ、同高裁は組合の控訴を棄却した。 |
| 判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は、控訴人の負担とする。
|
| 判決の要旨 |
1 当裁判所も、Z会社が、A2が組合の組合員であること又は組合の正当な行為をしたことの故をもって、A2を解雇したと認めることはできず、本件解雇が不当労働行為(労組法7条1項)に当たらないと判断した本件命令に違法不当なところはないから、組合の請求は理由がないと判断する。その理由は、後記2を加えるほかは、原判決に記載のとおり(ただし、一部削除あり。)であるから、これを引用する。
2 控訴理由を踏まえた補足説明
組合は、当審においても、Z会社がA2の刑事事件について推定無罪原則が及ぶ有罪確定前に本件解雇がされたことなどを根拠として、本件解雇は、Z会社が組合を嫌悪し、組合の分会を社内から一掃するために行われたものであって、不当労働行為に当たると主張する。
しかし、Z会社が本件解雇をしたのは、前代表者のB1が、C2工事の現場等において、軽微な不備に因縁をつけて対応をさせて業務を中断させる嫌がらせを繰り返すとともに、害悪の告知をした行為が恐喝未遂に当たるとして、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を受け、これが確定した後に、A2も、C2工事の現場において動画を撮影しながら細かな規制の不遵守を指摘するなどの行為をしていたことがB1の上記恐喝未遂事件の共犯に当たるとして逮捕され、起訴されたことを受けて行われたものである。
このような客観的な事実経過に照らせば、Z会社が本件解雇をしたのは、A2がしていた行為がB1の行為と同様に刑事責任を免れない行為であり、Z会社の社会的な信用・評価を維持するためには厳正に対処する必要があると判断したことによるものと認められるのであって、A2の有罪確定前に本件解雇がされたことをもって、それがA2の行った個別の行為自体ではなく、A2が組合の組合員であることを嫌悪し、組合の組合員を社内から一掃するという目的をもって行われたものであると認めるべき合理的根拠があるとはいえない。
3 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却する。 |
| その他 |
|