労働委員会裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  広島高裁令和元年(行コ)第15号
西日本旅客鉄道不当労働行為救済命令取消請求控訴事件 
控訴人  X労働組合(「組合」)  
被控訴人  広島県(同代表者兼処分行政庁 広島県労働委員会) 
参加人  Z株式会社(「会社」)  
判決年月日  令和元年11月22日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社の行った印刷事業所の廃止が、労組法7条3号の不 当労働行為に当たるとして救済申立てがあった事件である。
2 広島県労委は、本件申立てを棄却した。
3 組合は、これを不服として、広島地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、組合の請求を棄却した。
4 組合は、これを不服として、広島高裁に控訴したところ、同高裁は、組合の控訴を棄却した。 
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。 
判決の要旨  1 当裁判所も,組合の請求は理由がないものと判断する。その理由 は,次のとおり補正(注:補正部分(略))し,2のとおり当審における組合の補充主張に対する判断を加えるほかは,原判決の 「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。

2 当審における組合の補充主張に対する判断
(1) 事業所廃止等の労働者の地位に影響を及ぼすような経済活動であっても原則的には使用者の営業の自由の範囲内であると いえ,それが経営判断として合理性を有する場合には,専ら労働組合を嫌悪し,その活動に打撃を与える目的をもってされたもの であるなどの特段の事情のない限り,ある事業所の廃止それ自体が不当労働行為となることはないと解するのが相当である。そし て,経営判断の合理性の判断は,使用者の営業の自由の範囲内といえるかとの観点から検討されるべきであることを踏まえれば, 実際に行われた経営判断そのものを対象として,その時点において前提とした事実やその事実に基づく意思決定の過程に不合理な 点がなかったかについて判断されるべきである。本件で,本件事業所の創設から廃止後の全過程を考慮しなければ上記合理性につ き判断することができないなどということができないことはもちろん,仮に,労働者に不利益が生じるとしてしても,そのことか ら直ちに事業所の廃止等が許されないともいえず,この点に関する組合の主張は理由がない。以上を前提とした場合に,会社が本 件事業所の廃止を決定するに際して前提とした事実やその経営判断には合理性が認められることは,原判決認定説示のとおりであ る。
(2) 本件事業所の廃止についての検討がなされるようになったのは平成26年春頃,廃止時期は平成28年7月で,A組合員 が本件事業所に配転された平成22年とは時間的隔たりがあり,この間,本件事業所において組合の組織拡大が見込まれる状況が 客観的に存在したとは認められないことからすれば,組合主張のA組合員が本件事業所に配置された経緯等は,本件事業所の廃止 が組合に対する支配介入行為であることを推認させる事情とはなり得ない。そして,A組合員が五日市駅に配属されたことはA組 合員の明示の意思に反するなど不利益取扱いといい得るものではなく,組合の組合活動に特段影響を与えるものでもないことは補 正の上で引用に係る原判決認定説示のとおりであるし,A組合員が五日市駅への配転を希望していなかったことや会社がそのよう に予測していたことを認めるに足りる証拠もない。その他,当審における組合の主張立証を考慮しても,本件事業所の廃止が組合 に対する労働組合法7条3号の支配介入に当たるともいえない。
(3) 以上のとおり,組合の各主張は,いずれも理由がない。

3 結論
 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却する。 
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
広労委平成28年(不)第3号 棄却 平成29年10月27日
広島地裁平成30年(行ウ)第16号 棄却 令和元年5月8日
最高裁令和2年(行ツ)第48号 棄却 令和2年3月24日
 
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