労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪地裁平成29年(行ウ)第205号
ナンセイ不当労働行為救済命令取消請求事件
原告  株式会社X1(「X1会社」) 
原告  株式会社X2(「X2会社」) 
被告  大阪府(同代表者兼処分行政庁・大阪府労働委員会) 
被告補助参加人  Z1労働組合Z2支部(「組合」) 
判決年月日  平成30年9月26日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、①X2会社が、組合員1名に対して、組合加入通知後、皆勤手当の支給をやめたり、ダンプカー乗務からミキサー車乗務へ配置転換したり、その後、ミキサー車乗務から外して除草作業等を命じたり、さらに、出勤時に帰宅を命じて賃金を減額したりしたこと、②X1会社及びX2会社が、X1会社に雇用されていた組合員2名に対して、X2会社への転籍を命じたこと、が不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件である。
 大阪府労働委員会は、X2会社に対し、①の行為をそれぞれなかったものとしての取扱い、原職復帰、バックペイ、①について文書の手交・掲示を命じるとともに、X1会社に対し、②について文書の手交・掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。
 X1及びX2会社は、これを不服として大阪地裁に訴訟を提起したところ、同地裁は会社の請求を棄却した。 
判決主文  1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用(補助参加によって生じた費用も含む。)は原告らの負担とする。 
判決の要旨  1 争点1(X2会社が,C3に対し,平成27年1月分以降皆勤手当を支給しなかったことが労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たるか)について
C3は,X2会社に入社した当初から平成27年3月23日に本件除草作業等を命じられるまでの間,X1会社の業務を行っていたのであるから,同年1月分の給与についても,これまでと同様の給与計算がなされるのであれば,X1会社の賃金規則・給与規定に従った計算がされることとなるはずである。しかしながら,X2会社は,C3の勤務形態が何ら変更されていないにもかかわらず,C3の組合加入通知の3日後が支給日である同年1月分の給与から,突如X2会社の賃金規則・給与規定を適用し,その結果として,C3は,同月分の給与以降,皆勤の有無にかかわらず,皆勤手当の支給が受けられないこととなったのである。そうすると,本件訴訟において提出された証拠(タイムカード及び出向契約書)を考慮したとしても,C3が組合員であるが故をもって皆勤手当を支給しない不利益な取扱いをしたと認めるのが相当であり,この点を覆すに足りる的確な証拠は認められない。
 また,X2会社が,組合員になった従業員に対し,かかる取扱いをすることは,本件組合に係る労働者らの組合活動意思が萎縮し,組合活動一般に対して制約的効果が及ぶものであると認められる。
以上認定説示したとおり,X2会社が,C3に対し,平成27年1月分給与からX2会社の賃金規則・給与規定を適用し,同年1月分以降皆勤手当を支給しなかったことは,労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認められる。
2 争点2(X2会社が,平成27年3月2日,C3を,ダンプカー乗務員からミキサー車乗務員へ配置転換したことが労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たるか)について
  C3がハローワークを通じてX2会社に入社した際,ハローワークの求人票には「※大型ダンプの運転手をしていただきまず。」と記載されており,C3は,X2会社入社後も主としてダンプカーの運転手業務に従事していたこと,もう一人のダンプカー運転手であるC8運転手は引き続きダンプカーに乗務していること,本件配置転換後,C3が従前乗務していたダンプカーには,X1会社のミキサー車運転手であるC7運転手が乗務するようになったこと,以上の事情が認められ,これらの点に,C3がミキサー車の運転業務に従事していたのは,飽くまでも人手が足りない等の理由による臨時的なものであり,本件配置転換とは趣を異にするものであると認められることをも併せ勘案すると,従前ダンプカーに乗務していたC3をミキサー車運転手にして,代わりにX1会社のミキサー車運転手をダンプカー運転手にするという本件配置転換については,特段の合理的な理由を見出すことはできない。
以上認定説示した点に,本件配置転換が,一方的かつ突然のものであったこと,上記のとおり,本件配置転換は,それまで行われていた人手不足の際の臨時的なものとは趣を異にしていると認められることからして,C3には,一定の精神的な不利益があったと認めるのが相当であること,本件配置転換は,皆勤手当の支給停止に続いて行われたものであることをも併せ鑑みれば,X2会社が,平成27年3月2日,C3を,ダンプカー乗務員からミキサー車乗務員へ配置転換したことは,C3に対して,組合員であるが故に不利益な取扱いをし,もって,本件組合を萎縮させ,その弱体化を図るものであって,労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認めるのが相当である。
3 争点3(X2会社が,平成27年3月23日以降,C3をミキサー車乗務から外し,本件除草作業等を命じたことが労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たるか)について
C3を運転業務から外して本件除草作業等を命じた理由に係るX2会社の主張については,いずれも理由がなく,C3を運転業務から外して専ら本件除草作業等を命じる合理的な理由があったとは認め難い。
そして,他の従業員の中には,車両に乗務せず,専ら本件除草作業等に従事していた者はいないこと,かかる取扱いはC3の組合加入通知から約1か月半後になされたものであること,X1会社X2会社の代表者は,C3に係る事項が議題となった平成27年3月21日の団体交渉において,「C3君はX2会社におってくれ。X1会社行かんとX2会社におってくれ。」「場内整備したり片付けしたり。」「C3君,明日から生コン行かなくていいから,ここにカード置いとくからな。」などと述べ,実際に,同月23日にC3を運転業務から外していること,同団体交渉の席上,本件組合の担当者に対し,「わが身も恥ずかしいやろうが。ええ格好ばっかり言ってるんちゃんか?他のものには。」「要求要求ってええ格好言ってるけどな,おねがいなんや。」などと述べ,組合に対する敵意をあらわにしていることをも併せ鑑みれば,C3が組合員であることの故をもって不利益取扱いをしたと認められ,また,労働組合への加入により,このような不利益取扱いがされるとなれば,労働者らの組合活動意思が萎縮し,そのため組合活動一般に対して制約的効果が及ぶようなものであると認められる。
以上のとおりであって,X2会社が,平成27年3月23日以降,C3をミキサー車乗務から外し,本件除草作業等を命じたことは,労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認められる。
4 争点4(X2会社が,平成27年9月7日以降,C3に対し,出勤時に帰宅を命じて賃金を減額したことが労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たるか)について
C3を運転業務から外す合理的理由があるとは認め難く,また,X2会社のミキサー車の人手が足りない場合には,会社の代表者が乗務したり,X1会社の従業員が乗務したりしていることを併せ鑑みれば,C3のみに毎日帰宅を命じることに合理性があるとは認められない。
そして,上記で認定説示したとおり,X2会社は,C3に関し,C3が本件組合の組合員であることの故をもって不利益取扱いをしていることからすると,最終的に本件除草作業等への従事も命じず,毎日帰宅を命じて賃金を減額することも,C3が組合員であることの故をもっての不利益取扱いであると認めるのが相当である。
  また,組合の加入によりこのような不利益取扱いがされるとなれば,本件組合に係る労働者らの組合活動意思が萎縮し,組合活動一般に対して制約的効果が及ぶものであると認められる。
以上によれば,X2会社が,平成27年9月7日以降,C3に対し,出勤時に帰宅を命じて賃金を減額したことは,労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認められる。
5 争点5(X1会社が,平成27年9月1日,C1及びC4に対し,X2会社への転籍を命じたことが労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たるか)
①処分行政庁における審問手続もさることながら,本件訴訟に至っても,X1会社は,本件転籍の必要性に関する個別具体的な立証をしているとはいえないこと(X1会社及びX2会社は,X2会社が自動車運送事業の許可を得て,傭車を受託するなどして売上げの確保を図った,運送部門を一本化して競争力を高めるためにミキサー車の名義を変更した旨主張するが,これらの事情を個別具体的に認めるに足りる的確な証拠は認められない。また,これらの事情と本件転籍との関係も不明といわざるを得ず,かえって,X1会社の主張は,自動車運送事業の許可を受けるためには一定額の預貯金残高を保有していることを証明しなければならないが,当時のX1会社は,それが不可能であったというものであり,必ずしも上記許可と従業員の転籍とは関係があるとは認め難い。),②X1会社とX2会社は,代表者がいずれも代表取締役を務めていたこと,C3は,X2会社に入社したにもかかわらず,明確に出向する旨を告げられないままX1会社の業務に従事していたこと等の事情に照らずと,両社の関係区別は不明確・不分明であるといわざるを得ないこと,③本件転籍前後で,転籍されたミキサー車運転手6名の業務内容に変化がないこと,以上の点に鑑みると,当時X1会社の従業員をX2会社に転籍させる合理的な理由は見出し難い。
 そして,本件組合の組合員(C1及びC4)は,本件転籍によって,本件労使協定の保護を受けられなくなるという不利益を被ることになること,X1会社及びX2会社の代表者の本件組合及び同組合員に対する対応等や団体交渉時の発言内容をも併せ鑑みると,同不利益取扱いは,組合員であることの故をもってなされたものであると認められ,ひいては,組合の加入によりこのような不利益取扱いがされるとなれば,組合員の組合活動意思が萎縮し,組合活動一般に対して制約的効果が及ぶものであると認められる。
 以上認定説示したとおり,X1会社が,平成27年9月1日,C1及びC4に対し,X2会社への転籍を命じたことは,労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認められる。
6 結論
  以上の次第で,X1会社及びX2会社の本件請求は,いずれも理由がないのでこれを棄却することとする。 
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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成27年(不)第67号 一部救済 平成29年10月2日
 
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