労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京地裁平成28年(行ウ)第8号
日本放送協会不当労働行為救済命令取消請求事件 
原告  X協会(協会) 
被告  国 
被告補助参加人  Z2労働組合Z1支部(組合) 
判決年月日  平成29年4月13日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 協会が、地域スタッフにより組織されているZ1支部の執行委員長からキュービット(電子通信決済端末機器)を返還させたこと、本件団交申入れに対し部外者の交渉出席は困る旨述べ応じなかったことは、労組法第7条第1号ないし第3号の不当労働行為であるとして、救済申立てが行われた事案である。
2 初審大阪府労委は、本件団交申入れに対する協会の対応は労組法第7条第2号の不当労働行為に当たるとして、協会に文書手交を命じ、その余の救済申立てを棄却したところ、協会はこれを不服として再審査を申し立てた。
3 再審中労委は、原告の再審査請求の申立てを棄却したところ、協会はこれを不服として提訴した。
4 東京地裁は、原告の請求を棄却した。 
判決主文  原告の請求を棄却する。
訴訟費用は,補助参加によって生じた費用も含め,原告の負担とする。 
判決の要旨  1 地域スタッフが労組法上の「労働者」に当たるか(争点1)について
 地域スタッフは,事業継続に不可欠な労働力として原告の事業組織に組み込まれ,契約内容の重要部分は原告により一方的に決定され,その報酬には労務対価性が認められる。一方で,個別的な業務の依頼に応じるべき関係や,個別的な労務の提供について具体的な拘束を与え,あるいは,指揮監督を行うという関係は見いだし難いものの,他方で,目標達成に向けて業務に関する事細かな指導を受け,目標達成に至らなかったときは委託業務の削減や本件委託契約の解約等の段階的な措置を講じられることが予定されているなど,その業務遂行が原告の相当程度強い管理下に置かれていることに鑑みれば,本件委託契約で委託された業務全体について,原告の業務依頼に応ずべき関係が存在し,その労務の提供について一定の拘束や指揮監督を受けている関係が認められる反面,顕著な事業者性を認めることはできない。
 これらの事情からすれば,地域スタッフは,原告との交渉上の対等性を確保するために労組法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められるのであって,労組法上の労働者に該当すると解するのが相当である。
2 本件団交申入れに対する原告の対応が労組法7条2号の不当労働行為に当たるか(争点2)について
 本件団交申入れに対する原告の対応は,正当な理由のない団体交渉拒否に当たり,不当労働行為に該当する。
3 以上によれば,地域スタッフは労組法3条に定める「労働者」に当たり,本件団交申入れに対する原告の対応が不当労働行為に当たるとして再審査申立てを棄却した本件命令は適法というべきである。 
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成23年(不)第68号 一部救済 平成25年7月30日
中労委平成25年(不再)第53号 棄却 平成27年11月4日
東京高裁平成29年(行コ)第178号 棄却 平成30年1月25日
 
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