労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  詫間港運  
事件番号  高松地裁平成26年(行ウ)第4号 
原告  詫間港運株式会社(「会社」) 
被告  香川県(同代表者兼処分行政庁・香川県労働委員会)  
被告補助参加人  全日本港湾労働組合四国地方香川県支部(「組合」)  
判決年月日  平成27年12月28日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、組合に加入している従業員に対し、仕事の配分差別を行ったこと、会社のB1社長が、団体交渉を欠席し、組合が要求する資料を提出しないこと、ユニオン・ショップ協定が結ばれているところ、会社が従業員を招集して開催した説明会などを契機に、その後、組合員の脱退が相次いだこと等が不当労働行為に当たるとして争われた事件である。
2 香川県労委は、会社に対して、①平成19年度以降の貸借対照表、損益計算書等の財務資料を提示し、その内容を説明するとともに、権限を有する代表者が出席した上で、組合と誠実に団体交渉をしなければならないこと、②会社の経営状況に関する従業員に対する説明会や仕事配分の差別的取扱いなどによる支配介入の禁止、③通常の業務を行い休業が命じられなかった場合に支払われたであろう賃金と休業手当の既支払額との差額相当額の支払、④文書掲示、⑤履行報告を命じ、組合のその余の請求を棄却した。
3 会社は、これを不服として、高松地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は会社の請求を棄却した。 
判決主文  1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、補助参加によって生じた費用も含め、原告の負担とする。  
判決の要旨  第3 当裁判所の判断
1 争点(l) (本件団交欠席が労働組合法7条2号、3号の不当労働行為に当たるか否か。)について
(2) 不誠実団交の成否(労働組合法7条2号該当性)
ア 憲法28条は、団体交渉を行うことを労働者の権利として保障しており、これを受けて労働組合法7条2号は、使用者が、団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むことを不当労働行為として禁止しているが、同号は、労使間の円滑な団体交渉の樹立を目的として規定されたものと解されるから、使用者は、単に労働者の代表者との団体交渉に応じれば足りるのではなく、使用者には、自己の主張を相手方が理解し、納得することを目指して、見解の対立を可能な限り解消させることに努め、労働者の代表者と誠実に団体交渉する義務があり、使用者が上記義務を尽くさない場合には、そのような団体交渉態度が、団体交渉の拒否として同号の不当労働行為に当たると解される。
  そして、使用者が誠実に団体交渉をしたか否かについては、団体交渉の申入れの段階における対応、交渉事項の内容、労働者側の態度等の具体的事情に応じて、団体交渉の場において労使の対立点を可能な限り解消させる努力を行っていたか、そのための方法として、労働組合が検討可能な程度の客観的な資料を提示するなどして、自己の主張の根拠を具体的に説明するなど相手方の納得を得るよう努力したかなどの観点から判断するのが相当である。
イ 以上を前提として本件について検討する。
(ア) 前記認定のとおり、B1社長は、相当長期間かつ多数回にわたり組合との団体交渉を欠席し続けているところ、本件全証拠によっても、かかる長期間かつ多数回にわたりB1社長が組合との団体交渉に応じることができなかったことを正当化し得るような業務上の支障等の合理的な理由は見受けられない。
  かえって、B1社長が組合との団体交渉を欠席し始めた時期は、平成20年に会社が組合から本件ユ・シ協定違反を指摘され、これを是正したことがあったにもかかわらず、再び本件ユ・シ協定違反が発覚したり、本件労働協定違反が発覚したことから、会社が組合から強く抗議を受けていた最中であったことや、前記のとおり認められるB1社長が本件団体交渉を欠席するようになった直後の夏季一時金に関する会社側の交渉態度等に照らし、B1社長は、組合との直接交渉を回避するため、意図的に本件団交欠席に及んだものといわざるを得ない。
(イ) C1は、B1社長が団体交渉に欠席するようになった以降、会社の交渉代表者として団体交渉に出席しているとはいえ、単に組合との団体交渉に応じているだけにすぎなぃというべきである。上記のとおり認められるC1と組合とのやり取りやC1の発言内容等にかんがみれば、C1が、B1社長に代わって会社の主張を組合が理解して納得することを目指し、交渉の場において労使の対立点を解消させるべく努めている様子は到底見受けられず、そうすると、C1が、会社の交渉代表者として対応していたことをもって、会社につき誠実に団体交渉を尽くしていたと認めることはできない。
(3) 支配介入の成否(労働組合法7条3号該当性)
  労働組合法7条3号により禁止される支配介入行為とは、組合の結成を始め、その組織や運営に関する使用者による干渉、妨害行為を対象とするものであり、使用者の行った行為により、組合の結成を阻止、妨害したり、組合を懐柔し、弱体化したり、組合の運営や活動を妨害したり、組合の自主的決定に干渉したりするものであると解される。そして、使用者が誠実交渉義務を尽くしていない不誠実な団体交渉については、団体交渉を無力化させるものであって、組合を弱体化させ、 その運営や活動を妨害する行為として支配介入に当たると認めるのが相当である。
  よって、本件団交欠席については、労働組合法7条3号所定の不当労働行為にも当たると認められる。
2 争点(2) (本件団交拒否が労働組合法7条2号、3号の不当労働行為に当たるか否か。)について
(1) 不誠実団交の成否(労働組合法7条2号該当性)
イ 会社は、C1が組合との交渉の際、組合員から大声で怒鳴られ、恐怖を感じたという出来事があったため、警察に相談したところ、警察からB1社長は女性であり、危険であるから、団体交渉の場には行かないように等の回答を受け、これに従ったものであるとして、本件団交拒否について正当な理由があった旨主張する。
  しかしながら、会社の上記主張を前提としても、警察からの回答内容は、B1社長が単独で団体交渉の場に赴くことを避けるべきであるというものに止まり、これをもって組合との団体交渉自体を拒否する正当な理由足り得ないことは明らかである。また、前記前提事実記載のとおり、会社が本件団交拒否に至った時期には、既に、B1社長に代わりC1ないし原告代理人弁護士らが団体交渉に出席していたことに照らしてもなお更である。
ウ さらに、会社は、組合側、特にA1委員長との交渉の場面において、B1社長らの身に危険が及ぶおそれがあった旨主張する。
  証拠によれば、確かに、C1が出席した団体交渉の場において、組合員が強く抗議するなどして混乱した様子がうかがえるが、このことから直ちに団体交渉自体を拒否する理由が生じたとまでは認め難い。
  また、B1社長は、平成23年4月20日以前の団体交渉に単独で臨んでいたばかりか、会社が警察に相談したとする平成23年12月以降も、平成24年3月28日、同年7月13日及び同年8月9日にそれぞれ開催された団体交渉に出席している事実が認められることは、前記前提事実記載のとおりである。しかも、原告代理人弁護士が辞任した後に開催された同年7月13日及び同年8月9日の各団体交渉においては、組合側としてA1委員長が出席しており、そのような状況においてもB1社長と組合とで平穏に交渉が行われており、B1社長の身に危険が及ぶような事態が生じたとは認められないのであって、この点に関する会社の主張も採用の限りでなく、その他、本件全証拠によっても、本件団交拒否について正当な理由が存在したことを認めるに足りない。
(2) 支配介入の成否(労働組合法7条3号該当性)
  支配介入に当たる行為については、前記認定のとおりであるところ、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否する行為は、正に、組合活動に対する妨害行為であることが明らかであるから、本件団交拒否については、労働組合法7条3号所定の不当労働行為にも当たると認められる。
3 争点(3) (団体交渉における会社の説明資料提出拒否及び不十分な説明が労働組合法7条2号、3号の不当労働行為に当たるか否か。)について
(1) 不誠実団交の成否(労働組合法7条2号該当性)
イ このような事実関係を前提とすれば、組合が、会社からの夏季一時金に関する回答及びその根拠に関し、合理的理由があるかどうかを確認するため、団体交渉を求めるとともに、業務量の増加を実感し、業績が向上しているはずであると認識している労働者と経営状況が厳しいとする使用者との対立点を可能な限り解消させる方法として、経営状況に関する説明資料の提出や十分な説明を求めることは、その要求として相当なものというべきであるから、会社においては、組合に対し、労使間の対立点について、その検討が可能な程度の経営状況等に関する客観的資料を提示するなどして、自己の主張の根拠を具体的に説明するなど相手方の納得を得るよう努力する義務を負っていたというべきである。
エ 本件において、会社が、組合からの団体交渉における説明資料提出及び説明に対する要求に対し、誠実交渉義務を尽くしたものとはいえず、この点に関する会社の交渉態度は、労働組合法7条2号所定の不当労働行為に当たると認められる。
  そして、以上のとおり認定した事実関係に照らせば、会社は、組合に対し、会社の業績や経営状況の判断に必要な資料として貸借対照表及び損益計算書等の財務資料を提供して説明するとともに、組合と誠実に交渉すべきであるといえるから、本件救済命令主文第1項において、会社に対し、平成19年度以降の財務資料を提示して説明するとともに、組合と誠実に団体交渉することを命じた香労委の判断に誤りはない。
(2) 支配介入の成否(労働組合法7条3号該当性)
  前記のとおり、使用者が負う誠実交渉義務を尽くしていない不誠実な団体交渉については、団体交渉を無力化させるものであって、組合を弱体化させ、その運営や活動を妨害する行為として支配介入に当たると認めるのが相当である。
  よって、団体交渉における説明資料提出及び説明に関する会社の交渉態度については、労働組合法7条3号所定の不当労働行為にも当たると認められる。
4 争点(4)(団体交渉におけるB1社長の事業閉鎖を示唆する説明が同条2号、3号の不当労働行為に当たるか否か。)について
(1) 不誠実団交の成否(労働組合法7条2号該当性)
ウ このように、B1社長は、団体交渉の場において会社整理や事業閉鎖を示唆するなどして、組合員にとって深刻な事態を危惧させる発言に及びながら、後日、同発言を雑談にすぎないと弁解するなどしているのであって、その他前記指摘の事実関係に照らせば、B1社長は、上記団体交渉の場において、組合に対し、真意に反して意図的に事業閉鎖を示唆する発言に及んだものと認めざるを得ないところ、このような交渉態度が、組合との誠実な交渉義務を尽くしたといえないことは明らかである。  
(2) 支配介入の成否(労働組合法7条3号該当性)
イ 前記前提事実のほか、証拠及び弃論の全趣旨によれば、B1社長が上記発言に及んだ当時、会社は、組合からの要求に対し、経営状況が厳しいので要求に応じることはできないとの姿勢に終始しており、これに対し、組合は、会社に対し、再三にわたり経営状況等に関する資料の提出を求め続けるも、会社がその提出を拒否するとともに、この点に関する十分な説明を受けられない状態であったことから、経営状況の悪化をいう会社の主張の真偽を確かめる術がない中、原告代理人弁護士からも、会社の経営に関し、将来的な事業開鎖の可能性を何度も示唆されていたことが認められる。
  かかる諸事情に照らし、組合としては、会社が主張するとおり経営状況が悪化しており、会社の事業閉鎖に伴って組合員が職を失うかもしれないとの不安を抱いていたことは想像に難くない。そのような状況下で、B1社長は、条件次第では確実に事業閉鎖をするという発言に及んでいることから、組合員が職を失うかもしれないとの上記不安は、一層深まったというべきである。
ウ そうすると、このような事業閉鎖を示唆するB1社長の発言は、組合の結成や組織に関して于渉したり、妨害したりする効果を生じさせるものであって、支配介入に当たるというべきである。
5 争点(5) (会社による組合員に対する仕事の配分差別の有無並びにかかる取扱いが同条1号、3号の不当労働行為に当たるか否か。)について
(1) 不利益取扱いの成否(労働組合法7条1号該当性)
イ 上記休業指定の内容について見ると、上記期間において休業を全く指定されなかった組合員は、当時の組合員6名のうちA7のみである上、休業を指定された組合員は、概ね1か月に10日前後の休業を指定されている。
  これに対し、非組合員である従業員については、上記期間において休業を指定された者は、当時の非組合員12名のうち3名のみであり、しかも、そのうち2名は平成24年6月に2日ないし3日の休業指定を受けたに止まることが認められる。
  このような休業指定の状況にかんがみれば、会社は、組合員と非組合員とを差別して、組合員である従業員ばかりを対象として休業を指定していると認めるのが相当である。そして、前記認定のとおり、休業指定を受けた従業員は、休業手当として基本日額の6割しか支払われておらず、休業指定を受けなかった者に比べて経済的不利益を被ったものであり、不利益な取扱いを受けたといえる。
  以上によれば、上記休業指定については、会社が、組合員であることの故をもって不利益な取扱いをしたものであり、労働組合法7条1号所定の不当労働行為に当たると認められる。
(2) 支配介入の成否(労働組合法7条3号該当性)
イ 会社は、前記のとおり、組合から、再三にわたり会社による組合員に対する不公平な業務配分について、不平等な取扱いであり不当労働行為に当たる旨強く抗議されていた状況にあったにもかかわらず、前記のとおり組合員を主たる対象として休業指定を継続させたものであり、かかる事情に照らせば、会社による休業指定は、組合活動を嫌悪してなされたものであると認めざるを得ない。
ウ 以上によれば、会社による休業指定は、組合を弱体化させ、その運営や活動を妨害する行為として支配介入に当たると認めるのが相当である。
6 争点(6) (10月説明会の開催の目的・意図及びそこでの原告代理人弁護士による発言が組合に対する支配介入として同条3号の不当労働行為に当たるか否か。)について
(2) 発言の時期及び目的について
イ このように、会社は、組合からの中止要請があったにもかがわらず、10月説明会の開催を強行しているが、当時の会社と組合の交渉状況等については、前記前提事実記載のとおりであって、B1社長が組合との団体交渉を欠席するようになり、会社の交渉代表者となったC1との間で行われた夏季一時金に関する組合との団体交渉が難航した結果、組合が時限ストを決行するに至っており、その後も組合が会社に対し、夏季一時金ゼロ回答に関して十分な説明や資料提出を強く要求するなど、労使間の対立が深刻化していた時期である。そのような中、会社は、前記認定のとおり組合からの中止要請を顧みず10月説明会を開催した経緯にかんがみれば、その開催の目的が、会社が主張するような、会社の全従業員を対象とした、当時の会社の状況や意見を説明する場を設けたものにすぎないとは認め難く、組合の弱体化を図ることにあったことが強くうかがわれるというべきである。
(3) 発言の内容について
  原告代理人弁護士による発言内容の要旨については、前提事実記載のとおりであり、確かに、原告代理人弁護士は、本件ユ・シ協定が無効であると発言してはいない。しかしながら、その内容には、ユニオン・ショップ協定について無効とする見解があることや、組合員には組合を脱退する自由があることを前提とした発言を複数含んでおり、原告代理人弁護士が、少なくとも本件ユ・シ協定の有効性に疑問を呈する内容の説明をしていたことは明らかである。そして、原告代理人弁護士のかかる発言は、同人が弁護士という法律の専門家であることや、最高裁判決を引用して説明していることも併せ考えると、説明会参加者に対して、本件ユ・シ協定が無効であるとの見解が合理的であるとの印象を与えるものであるといえる。
  そして、原告代理人弁護士による上記発言が、会社組合間における本件ユ・シ協定の効力に関する見解の相違が顕在化するなど、原告と組合との対立が深刻化していた時期に行われたことは、前記指摘のとおりであって、このような時期に行われた10月説明会において、原告代理人弁護士が、本件ユ・シ協定に関し、組合の主張と相違する見解であることを十分認識しながら、本件ユ・シ協定の有効性に疑問を呈し、組合員には組合を脱退する自由があることを前提とする説明をしたことは、正に、組合員に対して組合からの離脱を促し、その弱体化を図る趣旨を含むものであったといえる。
(4) 以上を前提に検討するに、会社が、組合からの中止要請を顧みず10月説明会の開催を強行した上、原告代理人弁護士が、あえて本件ユ・シ協定の有効性に疑問を呈する発言に及んでいることにかんがみれば、会社が10月説明会を開催した目的は、組合の弱体化を図る意図であったと認められる。
  したがって、10月説明会の開催の目的及びそこでの原告代理人弁護士による発言は、組合に対する支配介入として労働組合法7条3号の不当労働行為に当たると認められる。
7 争点(7)ア(3月説明会に係る不当労働行為(支配介入)の認定は、本件救済申立てにおいて申し立てられていない事実に対する判断として、審査手続に瑕疵がある違法なものか否か。)について
(1) 前提事実のほか、証拠及び弁論の全趣旨によれば、本件救済命令申立書には、平成24年3月29日の説明会についての記載はないが、「平成24年3月28日の団体交渉の席上で会社は『全港湾(※組合のこと)が従業員をひきとってくれるとの約束があった』と主張し、組合員を混乱させ、不安におとしいれた。」ことが記載されているところ、この記載は、同月28日の団体交渉の席上において上記約束について話題が出たことを受けて、B1社長が3月説明会において発言した内容が、組合員を混乱させ、不安におとしいれたという不当労働行為を構成する具体的事実に関する主張であると解するのが相当である。
  そして、3月説明会は、上記団体交渉の翌日に行われたものであって、両者の時期が接着しており、また、B1社長の発言内容は、同団体交渉において言及された従業員の引取りに関する約束について、3月説明会の場で従業員に対して説明したものであるから、両者は相互に密接に関連した、いわば一連の支配介入といえる。この点、A1委員長の陳述書に3月説明会について記載がされているのも、両者を区別せず一連のものと捉えていたからにほかならない。そこで、3月説明会におけるB1社長の発言による支配介入の点は、同月28日の団体交渉に起因する支配介入として、上記支配介入の記載に含まれているというべきである。
8 争点(7)イ(3月説明会におけるB1社長の発言が組合に対する支配介入として労働組合法7条3号の不当労働行為に当たるか否か。)について
(1) 3月説明会におけるB1社長の発言内容の要旨は、前記前提事実記載のとおりであり、その内容は、会社の経営状態がおもわしくなくなったときは組合が面倒を見てくれるという約束ができていることを従業員に説明し、また、組合の組合員は、組合が引き取ってくれる旨発言したものである。
  上記B1社長の発言は、組合の組合員であれば会社を退職しても転職先があるから不利益は小さいことを理由にして、組合の組合員に対してのみ自主退職を促すものであるといえる。
  そして、3月説明会が行われた時期は、組合との間で何度も団体交渉が行われるも、交渉が難航し、労使間で激しく対立していた時期であるばかりか、会社は、組合との団体交渉の場面等において、会社の経営状況が良くないことを繰り返し主張しており、しかも、その主張の真偽を確かめるに足りる十分な説明等を行っていなかったことを併せて考えると、B1社長の上記発言は、組合員を混乱させて不安を抱かせるものであったことが明らかである。
  さらに、証拠によれぱ、平成24年4月までの時点の会社の組合員は、11名であったが、同年5月には、組合員が7名まで減少しており、上記発言の影響がうかがわれるというべきである。
(2) 以上によれば、3月説明会におけるB1社長による上記発言については、組合の弱体化を図ったものと見ざるをえず、このような3月説明会におけるB1社長の発言は、組合に対する支配介入として、労働組合法7条3号の不当労働行為に当たる。  
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
香労委平成24年(不)第3号 一部救済 平成26年2月10日
高松地裁平成26年(行ク)第1号 却下 平成26年5月21日
高松地裁平成26年(行ク)第4号 緊急命令申立て認容 平成27年1月15日
 
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