労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  ダイワボウレーヨン(緊急命令申立て)  
事件番号  松江地裁平成24年(行ク)第1号  
申立人   島根県労働委員会  
被申立人   ダイワボウレーヨン株式会社  
決定年月日   平成24年11月1日  
決定区分   認容  
重要度   
事件概要  1 会社が、申立外組合の支部長であった申立人X1に対して、不当な配置転換を行い、解雇を示唆するなどして関連会社への転籍を強要することにより、同人を会社から退職させたことが、不当労働行為に当たるとして、島根県労委に救済申立てがあった事件である。
2 島根県労委は、会社に対し、①X1の退職をなかったものとして取り扱い、退職前の職務に復帰させること、②文書掲示を命じた。
 これに対し、会社はこれを不服として、松江地裁に行政訴訟を提起したため、島根県労委が緊急命令の申立てを行ったのが本件であるが、同地裁は、申立てを認容した。
決定主文  1 被申立人は、被申立人を原告とし、島根県を被告とする当庁平成23年(行ウ)第7号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、島労委平成21年(不)第2号不当労働行為救済申立事件について申立人がした平成23年12月1日付け命令の主文第1項に従わなければならない。
2 申立費用は、被申立人の負担とする。  
決定の要旨  1 会社は、本件救済命令の命令書写しを受領した後も、今日に至るまで、本件救済命令主文1項を履行していないと認められるところ、本件救済命令の取消請求事件の判決が確定するまで不履行の状態が継続した場合、本案訴訟の補助参加人X1が多大な経済的損失及び精神的苦痛を被り、その行う組合活動が大幅に制約されるおそれがあると認められるから、本件緊急命令発令の必要性がある。
 これに対し、会社は、①X1は既に転籍先の会社を退職している以上、転籍前の会社の職務に復帰させることは不当労働行為に対する救済としてあり得ず、救済の利益がない、②X1が会社を退職した際に退職金を受領した上、転籍先の会社も退職し、その際にも退職金を受領していることなどから、即時救済の必要性がない旨主張する。
 しかし、上記①については、X1が会社の職務に復帰することが客観的に不可能であり、その救済が現実的におよそ意味を持ち得ないとまでいうことはできないから、X1の救済の利益が失われたとはいえないし、上記②については、これらの事情によっても、X1の即時救済の必要性が大きく減殺されるものとはいえないから、本件救済命令によって、会社が被る不利益の内容及び程度を斟酌しても、会社の指摘する上記①及び②の各事情は、いずれも緊急命令の必要性を障害し、その発令を妨げるべき事情とはいえない。
2 本件救済命令において、県労委がした認定及び判断に、それが違法なのではないかとの重大な疑念を抱かせる点は見当たらない。
3 以上の次第で、本件緊急命令の申立てについては、その発令の要件を充足しているものと認められるから、これを発令することとする。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
島根県労委平成21年(不)第2号 全部救済 平成23年12月1日
松江地裁平成23年(行ウ)第7号 棄却 平成25年4月22日
広島高裁平成25年(行コ)第8号 棄却 平成25年11月13日
 
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