概要情報
事件名 |
ゼンショー |
事件番号 |
東京高裁平成24年(行コ)第106号 |
控訴人 |
株式会社ゼンショー |
被控訴人 |
国(処分行政庁:中央労働委員会) |
被控訴人補助参加人 |
東京公務公共一般労働組合 |
判決年月日 |
平成24年7月31日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 会社が、アルバイト従業員の未払時間外割増賃金の支払等を議題とする組合からの平成19年1月17日付け団体交渉申入れ(以下「本件団交申入れ」という。)に応じなかったことが、労組法7条2号の不当労働行為に当たるとして、東京都労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審東京都労委は、会社に対し①誠実団交応諾、②文書手交及び③履行報告を命じた。
会社は、これを不服として、再審査を申し立てたが、中労委は、再審査申立てを棄却した。
これに対し、会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、会社の請求を棄却した。
本件は、同地裁判決を不服として、会社が東京高裁に控訴した事件であるが、同高裁は、控訴を棄却した。
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判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(補助参加費用を含む。)は控訴人の負担とする。
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判決の要旨 |
1 当裁判所も、控訴人の請求は、棄却すべきであると判断する。その理由は、〔一部〕改め、後記2のとおり付加するほかは、原判決「事実及び理由」中、第3に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 控訴人の当審における主張に対する判断
会社は、組合の申立適格、不当労働行為の成否について、原判決に、理由齟齬、判例違反、法令解釈の誤り、事実誤認等がある旨を指摘し、当審において縷々主張している。
しかし、会社の上記主張は、概ね原審での主張の繰り返しか、独自の見解による原判決の批判にとどまるものであり、原判決に、会社の主張する理由齟齬、判例違反、法令解釈の誤り、事実誤認等を認めることはできず、同主張によっても、原判決の内容に何ら変更の必要を認めない。
付言するに、会社は、一旦合意していた平成19年2月5日の団体交渉開催の方針を覆し、組合らに対し、団体交渉事項や労組法上の保護適格についての説明を繰り返し求めたり、自らは具体的な事実を示すことなく、過度な要求等をしたり(資格審査決定書への疑問、組合員名簿の提出要求等)しており、こうした姿勢は、不明な点を明らかにして団体交渉開催の環境を整えるというよりは、団体交渉の回避・拒否など別の目的があったのではないかとの疑問を生じさせるところである。
また、会社の初審事件、再審事件、原審及び当審を通じての主張には、集団的労使関係における独自の見解が多数みられ(不当労働行為救済の申立適格を使用者側が争う適否、憲法28条の「勤労者」、労組法2条・3条の「労働者」の各概念、合同労組の労働組合性の否定、非常勤職員を中心にした労働組合の非民主性など)、こうした主張で、会社の団体交渉拒否を正当化することは到底できない。
したがって、当裁判所の判断は、原判決を概ね引用して、前記1のとおりとし、会社の上記主張を採用しない。
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その他 |
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