概要情報
事件名 |
論創社 |
事件番号 |
東京高裁平成22年(行コ)第385号 |
控訴人 |
東京・中部地域労働者組合 |
被控訴人 |
国(処分行政庁:中央労働委員会) |
被控訴人補助参加人 |
有限会社論創社 |
判決年月日 |
平成23年5月25日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 Y会社が、①平成17年3月31日をもって組合員X1の雇用を打ち切ったこと、②X組合の申し入れたX1の雇用問題等に関する団体交渉に誠実に応じず、その後同問題に係る団体交渉を拒否したこと、③組合員を脱退させたり、インターネットの掲示板にX組合を誹謗・中傷する書き込みを行う等、X組合の活動に介入したことが、不当労働行為に当たるとして、東京都労委に救済申立てがあった事件である。 2 初審東京都労委は、Y会社に対し、①X1の新たな雇用条件について合意するまで、従前と同様の雇用条件が継続していたものとして取り扱うこと、②同人の雇用問題等に関する団体交渉に誠実に応じること、③これらに関する文書手交を命じ、その余の救済申立ては棄却した。 Y会社は、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令を取り消した。 これに対し、X組合はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、X組合の請求を棄却した。 本件は、同地裁判決を不服として、X組合が東京高裁に控訴した事件であるが、同高裁は控訴を棄却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のように補正するほかは、原判決の「事実及び理由」中「第3 争点についての判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。 2 控訴審における主な追加 (1) (平成17年4月以降X1を正社員とする合意の有無について) ア ①(代表者取締役)Y1は、Y会社が正社員を採用するときに1年以上の試用期間を設けることはないと供述していること、②Y会社では平成15年7月1日時点で従業員は8名で、経営状況も良くないことからすると、Y会社が、X1の人物像(仕事の能力、社会性等)もまだ十分に分からない状態で、何ら勤務条件の交渉も行わず、約2年後の正社員としての採用を約束することは到底考えられない。 イ 平成17年3月28日時点でX1が校正作業を続けていた本は1冊だけであり、これについてはY1が作業を引き継いでおり、他にX1が担当すべき業務はなかったから、X1が同年4月以降に発行が予定されている本を複数担当していたとしても、余人をもって代え難い仕事をしていたとまで認めるに足りる証拠がない以上、Y会社が同月以降もX1を雇用するつもりであったとまでいうことはできない。 (2) (Y1はX1に対し本件雇用の打切りを通告したかについて) Y1は、「すぐに結論を出す、はい雇いますというわけにはちょっといかないので。」と述べ、X1について「Y会社にはもったいない」とも述べており、これらの発言内容からするならば、第1回団体交渉において、X1の雇用の継続は前提となっていなかったと認めるのが自然である。 (3) (本件雇用の打切りはX1がX組合に所属していたことを理由とするものかについて) X組合は、Y1が「雇わないわけではないがY会社を最終選択にできないか。」と述べており、行き場がなくなった時に選択の余地があるということであり、本件雇用の打切り通告とは相容れない旨主張する。 Y1は、そのような発言はしていない旨供述する。仮に、Y1が、上記発言をしたとしても、その趣旨は、「最終」という文言からも明らかなように、相手を傷つけないようにえん曲的に平成17年4月以降の雇用を断っていると見るのが相当であり、本件雇用の打切り通告をしたことと矛盾しない。Y1も、「最終選択」という言葉の意味について同様の供述をする。したがって、X組合の上記主張は採用できない。 |
その他 |
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