労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  第一小型ハイヤー 
事件番号  札幌地裁昭和41年(行ウ)第9号 
原告  第一小型ハイヤー株式会社 
被告  北海道地方労働委員会 
参加人  第一ハイヤー労働組合 
判決年月日  昭和45年 4月10日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 会社が、違法争議行為を理由に組合幹部X1ら10名を懲戒解雇したことが、不当労働行為に当たるとして、北海道地労委に救済申立てがあった事件である。
2 初審北海道地労委は、全員の原職復帰、バックペイを命じ、その余の申立てを棄却した。
 本件は、これを不服として、会社が札幌地裁に行政訴訟を提起した事件であるが、同地裁は会社の請求を棄却した。 
判決主文  1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 
判決の要旨  1 会社が本件解雇の理由としてあげる組合のビラ貼り、本社事務室の占拠、寝具の持出し、車輌の占有運行の各行為は、春闘要求をめぐる深刻な抗争の中で行なわれたものであること、また右の過程において第二組合の結成、会社、第二組合による新賃金協定妥結、新勤務割りの実施、X2執行委員長の懲戒解雇をはじめ組合員多数の処分、(ビラ清掃を請負わせた)Zないしその輩下との間の暴力事件など組合を刺戟させた要因は多々あり、組合としても必要以上に実力を誇示する方向に誘われていった趣きも認められ、またそれ故に通常の市民生活の常識をもって争議における労働者の行動を判断することはときに労働者側に不当な不利益を強いる結果となり、厳に慎まねばならないが、本件においては右のような諸事情を考慮に入れてもなお組合の右各行為はいずれも正当な争議行為の範囲を越えるものというべきである。
 従って、これを企画、指導、実行した組合の執行委員が適切な方法においてその責任を問われたとしても、直ちに不当な措置ということはできないと判断される。
2 しかしながら、本件においては、会社は、争議終結のための交渉の際に違法な行為に対しては争議責任を追求するとしばしば言明しながら、結局(昭和38年)9月6日確認書作成にあたって何ら具体的な留保をなさず、全員を就労させたものであって、かかる事実に徴すると、すくなくともこの時点においては、会社は本件解雇の如き執行委員全員の解雇までは考えていなかったと判断される。
 そうだとすると、違法争議行為の責任を追求するとの本件解雇の理由にもかかわらず、会社にとっては執行委員全員を違法争議行為の故に企業外へ排除しなければならないほど切実な要求があったわけではなかったとみられる。
 またもし、当初から執行委員全員を解雇する意志を有しながら、確認書を作成し、組合員全員を就労させて形式的に団交に応じていたとするならば、これ又極めて陰険な措置といわねばならない。
 結局、本件のような形で1年以上も前になされた違法行為を理由とする本件解雇の会社の真の意図は、わずか、30名余りとなった組合の執行委員全員を解雇することにより組合が壊滅するか少なくとも弱体化すると考えたところにあると認めるのを相当とする。
3 以上のとおりであるから、会社がX1ら10名に対してした本件解雇は、同人らが組合員であることの故になされた解雇といって差し支えないから、これが労組法7条1号に該当するものとして会社に対し同人らの解雇を取り消して原職に復帰させることなどを命じた本件救済命令には何ら違法な点はない。
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
北海道地労委昭和39年(不)第6号 一部救済 昭和41年 7月14日
札幌高裁昭和45年(行コ)第3号 棄却 昭和47年 2月16日
最高裁昭和47年(行ツ)第49号 上告棄却 昭和52年 2月28日
 
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