概要情報
事件名 |
第一小型ハイヤー |
事件番号 |
札幌高裁昭和45年(行コ)第3号
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控訴人 |
第一小型ハイヤー株式会社 |
被控訴人 |
北海道地方労働委員会(第一審被告)
第一ハイヤー労働組合(第一審参加人) |
判決年月日 |
昭和47年 2月16日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 会社が、違法争議行為を理由に組合幹部X1ら10名を懲戒解雇したことが、不当労働行為に当たるとして、北海道地労委に救済申立てがあった事件である。 2 初審北海道地労委は、全員の原職復帰、バックペイを命じ、その余の申立てを棄却した。
会社は、これを不服として、札幌地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は会社の請求を棄却した。
本件は、同地裁判決を不服として、会社が札幌高裁に控訴した事件であるが、同高裁は控訴を棄却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1 当裁判所は、控訴人の請求を棄却すべきものと判断する。その理由は、次に付加するほか原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。 2 控訴人は、当審において、X1ら10名の解雇対象者の行為の違法性は、会社が組合を嫌悪していたとか、解雇により組合が弱体化するとか、解雇が行為後相当期間を経過してなされたなどといった事情によって減殺されないから、それらの事情は解雇の効力を左右しないと主張する。
しかし、右主張は、原判決理由説示のとおり失当である。原判決は、右のような事情が行為の違法性を左右するとはいっておらず、X1らに制裁されるべき事由のあることを前提としながら、解雇の決定的理由ないし真の動機を考慮すると、これを不当労働行為と評価せざるを得ないとしたものであり、その理由および動機を推認させる間接事実として控訴人のいう種々の事情をとりあげたにすぎないのであるから、控訴人のいうところは当を得ていない。 要するに、①組合のX2委員長ら数名の者については、問題とされた行為がなされたさい時機を失せずに制裁がなされているのに対比して、X1ら本件の解雇対象者については行為当時制裁を課するのに特別の障害事由もないのに、約1年2、3か月余を経過したのちに、それも労使間の紛争が解決し、X1ら10名全員も円満に就労し、就労後の労働条件について団体交渉が継続しているときに、まことにとうとつに解雇がなされたこと、②争議当時の会社の社長Y1はX1らの争議責任の追求を避けたいと考えていたことが認められるが、社長交代の直後に解雇がなされたこと、さらに、③組合は長期の紛争に疲れ、最後には当初の春闘要求をすべて取り下げ、かつ、立上り資金の問題も解決をみないまま争議を終結せざるを得なかったのであって、本件解雇当時には力関係は会社に圧倒的に有利に傾いていたとみられること、④その他本件にあらわれた諸般の事情を総合すると、本件解雇は、違法行為に対する制裁というより、当時の力関係を背景として組合を弱体化するということが決定的な動機となっていたというほかない。
そうすると、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当で、本件控訴は理由がない。 |
その他 |
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