労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  ブックローン(継続雇用) 
事件番号  東京高裁平成22年(行コ)第92号 
控訴人兼補助参加人  ブックローン株式会社 
控訴人兼補助参加人  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 
被控訴人  国(裁決行政庁:中央労働委員会) 
判決年月日  平成22年9月9日 
判決区分  棄却 
重要度  重要命令に係る判決 
事件概要  1 Y会社が、①組合員X1の継続雇用問題について、平成19年1月18日付けの団体交渉申入れに対して、改正高年齢者雇用安定法に係る継続雇用制度に関する労使協定の締結資格がないなどとして応じなかったこと、②組合員X1に対し、定年後の継続雇用の措置をとらなかったことが、不当労働行為に当たるとして、大阪府労委に救済申立てがなされた事件である。
2 初審大阪府労委は、上記①については不当労働行為に当たるとして、Y会社に対し文書手交を命じ、②については不当労働行為に当たらないとしてX組合の申立てを棄却した。
 これを不服として、Y会社は、団体交渉拒否による文書手交の取消しを求めて、X組合は、団体交渉の応諾及び組合員X1の継続雇用を求めて、それぞれ再審査を申し立てたところ、中労委は本件各再審査申立てを棄却した。
 これに対し、Y会社及びX組合双方は、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、双方の請求を棄却した。
 本件は、同地裁判決を不服として、Y会社及びX組合双方が、東京高裁に控訴した事件であるが、同高裁はいずれの控訴も棄却した。 
判決主文  1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、控訴人らの各負担とする。 
判決の要旨  1 当裁判所も、控訴人らの本件請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、付加訂正し、2において判示するほか、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の1ないし4において説示するとおりであるから、これを引用する。
2 当審におけるY会社の補充主張について
(1) X組合の本件団交申入れが継続雇用制度そのものに対する抗議や嫌がらせであることが明白であるから、Y会社が本件団交拒否をする正当理由が存在するとのY会社の主張については、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の2(2)において判示するとおり、X組合はY会社に対して、継続雇用制度等の高年齢者雇用確保措置や定年制改善問題について団体交渉を要求していたものの、Y会社が全くこれに応じないために何らの進展も見られないまま、X1組合員の平成19年1月27日の定年退職日が間近に迫ってきたことから、同月18日、X1組合員の60歳以降の継続雇用を交渉議題とし、かつ、同組合員の身分上に関わる事項につき早期の団体交渉再開を求めるとして、本件団交申入れをしたものであって、本件団交申入れが抗議や嫌がらせであることを認めるに足りる証拠はない。
(2) 中労委の本件命令は、その必要性がなく、労働委員会の裁量権を濫用、逸脱した違法なものであるとのY会社の主張については、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」の4(1)において判示するとおり、Y会社による本件団交拒否がされた後、X組合の団体交渉権に対する侵害状態が未だ除去、是正されたとは認め難く、本件命令が実質的には労使関係を阻害すると認めるに足りる証拠はなく、本件に現れた事情を総合すると、将来、Y会社が本件団交拒否のような不当労働行為を行うおそれは否定できないと認められるから、Y会社に対し、文書手交を命ずる救済の利益ないし必要性がある。
 したがって、この点に関する本件命令が、その裁量権を逸脱した違法なものということはできない。
業種・規模   
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成19年(不)第16号 一部救済 平成20年3月31日
中労委平成20年(不再)第16号・第17号 棄却 平成21年3月4日
東京地裁平成21年(行ウ)第217号・第363号 棄却 平成22年2月10日
 
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