概要情報
		
			
				| 事件名 | 昭和シェル石油 | 
			
				| 事件番号 | 東京高裁平成20年(行コ)第182号 | 
		
			
				| 控訴人 | 全石油昭和シェル労働組合 個人X1
 
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				| 被控訴人 | 国(処分行政庁:中央労働委員会) | 
		
			
				| 被控訴人補助参加人 | 昭和シェル石油株式会社 | 
		
			
				| 判決年月日 | 平成22年5月13日 | 
			
				| 判決区分 | 棄却 | 
			
				| 重要度 |  | 
			
				| 事件概要 | 1 ①Y会社及びY会社の100%子会社のA会社が、Y会社からA会社に出向している組合員X1の勤務地を変更したこと、②本件配転後、Y会社及びその職制等が、同社神戸事業所内でのX組合の組合活動を妨害したこと、③Y会社が職能資格の格付け、昇給などの人事査定において組合員X1を差別し、同人の賃金を低位としたことが、Y会社による不当労働行為に当たるとして兵庫地労委に救済申立てがあった事件である。 2 兵庫地労委は、③の一部(人事査定部分の差別)につき不当労働行為の成立を認めてバックペイ及び文書交付を会社に命じ、③のうち申立期間経過部分を却下し、その余の申立てを棄却した。
 これを不服として、X組合ら及びY会社双方が中労委に再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令のうち、Y会社に救済を命じた部分を取り消し、X組合らの再審査申立てを棄却した。
 これに対し、X組合らは、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、訴えを棄却した。
 本件は、同地裁判決を不服として、X組合らが、東京高裁にその取消しを求めて控訴した事件であるが、同高裁は、控訴を棄却した。
 
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				| 判決主文 | 1 本件各控訴をいずれも棄却する。(中労委命令を支持) 2 控訴費用及び補助参加によって生じた費用は、控訴人らの負担とする。
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				| 判決の要旨 | 1 争点(1):本件配転の不当労働行為該当性 (1) 当裁判所の判断は、以下のとおり付加訂正するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1に記載のとおりであるから、これを引用する。
 (2) ①本件配転当時、Y会社の100%子会社のA会社神戸事業所は既にA会社大阪事業所に統合され、事業所としての独立の存在を失っていたこと、本件配転当時、神戸地区担当のA会社大阪事業所の従業員はX1を含めて6名程度しかいなかったこと、大阪と神戸との距離にかんがみれば、X組合大阪支部を神戸を勤務場所とする従業員に対するものも含めた広報活動の拠点とすることは十分に可能であったことなどの事情からすると、X組合神戸支部の消滅がX組合の活動に致命的な支障を来すとまでは認められず、また、②X1の本件配転に業務上の必要性及び人選の合理性が認められることに照らせば、本件配転によって結果的にX組合神戸支部が消滅することになるからといって、Y会社によるX1の本件配転が不当労働行為となるとは認められない。
 2 争点(2):Y会社によるX組合の組合活動に対する妨害の有無等
 当裁判所の判断も、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の2に記載のとおりであるから、これを引用する。
 3 争点(3):X1に対する職能資格等級の格付け、昇給、人事考課における差別の有無等
 (1) 労組法27条2項の救済申立期間
 ① 当裁判所の判断は、補充の判断を示すほかは、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の3の(2)に記載のとおりであるから、これを引用する。
 ② X組合らが兵庫県労委に最初に救済の申立てをしたのは、平成2年8月3日であるから、それから1年間を遡った平成元年8月3日の時点でY会社による差別的な職能資格等級の格付け又は差別的な人事考課の査定の各効果が継続しているもののみが労組法27条2項の要件を満たすものというべきである。昭和64年1月1日付けで決定された本給及び勤務地手当は、平成元年12月20日の最終支払日までその決定の効果が継続している(平成元年8月3日の時点で効果が継続している)が、平成元年度夏季賞与については、その支払日である平成元年6月10日に当該賞与の基礎とされた平成元年度夏季賞与の効果は消滅したものというべきである(平成元年8月3日の時点ではもはや効果は継続していない)から、原判決がこれらを別異に取り扱ったことに矛盾はない。
 (2) 職能資格等級の格付け、昇給における差別の有無
 ① 当裁判所の判断は、下記のとおり付加するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の3の(3)に記載のとおりであるから、これを引用する。
 ② X1については、組合活動をしているがゆえに職能資格等級が永く低位に格付けられ昇給が遅れていたという推認はできないものというべきであり、したがって、X組合らにおいてはX1が組合活動をしているがゆえに職能資格等級が低位に格付けられ昇給が遅れていたものであることを立証しなければならない。本件においてその立証は成功していないものというべく、かえってX1にはそ職務遂行状況や勤務態度に種々の問題があって職能資格等級が低位に格付けられてもやむを得ない事情があったものと認められるから、X1が職能資格等級の格付けや昇給において差別を受けていた(職能資格等級が低位に格付けられ昇給が遅れていたことについて合理的な理由がない)とはいえない。
 (3) 人事考課における差別の有無
 当裁判所の判断は、付加訂正等するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の3の(4)に記載のとおりであるから、これを引用する。
 (4) 当裁判所の補充の判断
 ① 考課表の記載は基本的には尊重し得るものというべきであるから、本件考課においてX1にC評価を付けたことがY会社がX1の活発な組合活動を敵視したがゆえの合理的な理由のない差別によるものであったとはいえない。
 ② Y会社がX組合について「少数組合」との呼称を用いたとしても、それは事実としてX組合の組合員が少数であることを表現したものにすぎず、X組合を敵視し蔑視する趣旨で用いたものではないと認められる。
 ③ X1以外の他の組合員においてY会社から組合活動を行っているがゆえに不当に低い評価を受けた事実があったとしても、そのことから直ちにX1に対して組合活動を行っているがゆえに不当に低い評価がなされていたとはいえない。
 
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				| 評釈等情報 |  |